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『稲盛和夫一日一言』 7/17(月)

 こんにちは!『稲盛和夫一日一言』 7/17(月)は、「若い人たちへ ①」です。

ポイント:「青い鳥」を探すような幻想を追うよりも、目の前の仕事を好きになることから始めてみる。「自分の好きな仕事を求めるよりも、与えられた仕事を好きになることから始めよ」 

 2009年発刊の『働き方』(稲盛和夫著 三笠書房)の中で、仕事に対する「心の持ち方」を変えることの大切さについて、稲盛名誉会長は次のように述べられています。

 私はもともと、一生懸命努力することが苦手な、むらっ気のある青年だったように思います。ではそうしたどこにでもいそうな青年が、長い間ひたむきに働くことができたのは、どうしてでしょうか。
 それは、私が自分から仕事を好きになろうと努めたからです。「心の持ち方」を変えるだけで、自分を取り巻く世界は劇的に変わるのです。

 私は最初からファインセラミックスの研究という仕事を望んでいたわけではありません。就職した当初、この分野はまだ未知の分野であったことから、確立された文献などはなく、また貧乏な会社であったため、職場には十分な研究設備も整っていませんでした。そのような環境では、「仕事を好きになれ」というほうが無理なことでした。

 しかし、転職することもかなわず、そんな会社で働かざるを得なくなった私は、「心の持ち方」を変えることにしました。「この仕事に打ち込もう」と自分に言い聞かせるように努めたのです。すぐに仕事が好きにならずとも、少なくとも「この仕事が嫌いだ」というネガティブな感情だけは自分の心から追い払って、目の前の仕事に全力を注いでみようと決意したのです。
 それは今思えば、「仕事を好きになろう」と努めることであったかもしれません。


 まずは大学の図書館に出かけて関連の文献をあさることから始め、そこから得られた情報をもとに実験を行い、その結果から出てきた新たな知見を加えてさらに実験を行う。当時の私の仕事は、そうした地道な作業の繰り返しでした。

 そうするうちに、いつのまにか私はすっかりファインセラミックスの魅力に取りつかれ、次第にこれが素晴らしい可能性を秘めた素材であるということもわかってきました。
 ひょっとすると、このような研究をしているのは、世界で私一人だけかもしれない。そう思うと、地味な研究も輝いて見えるようになっていきました。

 なかば無理やり自分に強いて始めたことが、やがて自分から積極的に取り組むほど好きになり、さらには好きとか嫌いとかいう次元をはるかに越えて、その意義さえ感じるようになっていったのです。(要約)

 雇用慣行として長らく終身雇用や年功序列制度といったものが維持されてきた日本では、「就職」というよりも「就社」に近い働き方をしてきた人が多かったのではないでしょうか。
 一方、「終身雇用は崩壊した」という声が多く聞かれるようになった現代でも、まだ約半数の日本企業が終身雇用制度を続けているとする調査結果があります。
 また最近では、面白いテーマを見つけては様々なところで働く、あるいは自ら起業するといった就業形態を示す「就プロジェクト」という言葉もあるようです。

 今日の一言は「若い人たちへ」というタイトルです。自分が何が好きで、どんな仕事をしたいのかまだよくわからないという人たちには、ぜひ「目の前の仕事を好きになろう」と心の持ち方を変えてみることをお勧めします。

 しかしながら、65~69歳の就業率が50%を超えている現在、リタイアしたシニア世代の人たちにとっても、このことは無関係ではありません。
 生活の糧を得るためと割り切って好きでもない仕事を続けるのか、収入は少なくても自分の好きな仕事を求めて模索を続けるのか・・・

 その選択は、自分が生きている意味、意義といったものにもつながっているように思います。自らの選択に悔いを残すことなく、残りの人生をしっかりと働きながら生きていきたいと思っています。


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