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#119 【weekly paper news】2023.3.11

『紙について楽しく学ぶラジオ/Rethink Paper Project』
このラジオは、「紙の歴史やニュースなどを楽しく学んで、これからの紙の価値を考えていこう」という番組です。
この番組は、清水紙工(株)の清水聡がお送りします。
よろしくお願いします。

お知らせ

本題に入る前にお知らせをさせてください。
ソーシャルグッドな紙の作り方や使い方を提案するプロジェクト「Paper for good」第1弾の商品がリリースとなりました!
紙からできた、地球にやさしいピクニックシート「CITON(しとん)」です。
職人が一枚一枚手で揉んでシワを付けた和紙が4枚重なった贅沢なシートで、まるで綿が入っているかのような座り心地です。
色は、自然をイメージさせる淡いブルー、ピンク、グリーンの3色展開です。
シートを入れるオリジナルのバッグも付いており、ギフトにもピッタリです。
この「CITON」をもってピクニック行く場合と持って行かない場合で、満足度に5~10倍の差が出るとも言われています。
1月30日から予約開始となっており、ご予約いただいた商品は、5月から順次発送予定です。
番組の概要欄に、オンラインショップのURLを貼っておきますので、ぜひチェックしてみてください。

さて、本題に入っていきたいと思います。

今回は、皆さんお待ちかねのweekly paper newsです!
weekly paper newsは、僕が気になった主に紙に関係するニュースを取り上げていくという非常に画期的な企画となっております。
それでは、みていきましょう。

最初のニュースです。

紙ストローの不満を解消する「バイオプラスチックストロー」、製紙の副産物リグニンから生成

使い捨てのプラスチック製ストローは、海洋ゴミ問題などから「環境に優しくない」との主張があり、日本では2022年に施行された「プラスチック新法」によってコンビニやファストフード店などで紙製のストローに置き換えが進みつつあります。
しかし、一般的な紙ストローは液体に挿し入れるとだんだんふやけてしまううえ、ものによっては糊の成分なのか、口元がヌルヌルしたり、ベタついたりするなど、使い心地の面でプラスチックに劣ると言わざるをえません。
韓国・仁荷大学の研究者は、紙ストローにおける制約を解消する新たな代替品が作れないかと考え、樹木を形作る組織に多量に含まれる有機ポリマー(高分子)の一種である「リグニン」に注目、これをベースとしたバイオプラスチック製ストローを開発しました。
リグニンは木材の細胞壁に多量に含まれる高分子材料で、紙パルプ製造プラントでは、原料の木材チップをアルカリで溶解してリグニンを除去し、残ったセルロース繊維を使って紙にします。一方、除去されたリグニンは、他に使い道がなければプラント内のボイラー設備の燃料として消費されるのが一般的です。
しかし近年は、このリグニンにポリエチレングリコール(PEG)を混ぜるなどして改質し、プラスチック代替品として活用する研究が行われています。今回の研究もそのうちのひとつで、研究チームは、リグニンにジャガイモのデンプンや植物由来のポリビニルアルコール(PVA)を混合、さらにクエン酸を加えることで、粘性の高い性質を持たせ、これをフィルム状に薄くのばして円筒状に加工、乾燥したものを180℃で熱処理することで、バイオプラスチック製ストローを作りあげました。
研究チームによると、このリグニンベースのバイオプラスチックストローは、水に浸けても表面がベタつくことはないものの、屋外環境で2か月間放置した時には、著しく生分解が進行するのが確認されているとのこと。
他の多くのプラスチック代替品は、製造に余計な行程が必要だったり、エネルギー消費が嵩んだりと、結局環境や温暖化に対して優しいものになりにくいという難点がありました。一方、リグニンをベースにプラスチックを作る場合、そのリグニンそのものが他の産業の副産物として生産され、ほとんどが燃やされるか廃棄されるしかない代物であるため、安価に入手できる利点があります。
さらに、ストローに加工する前のバイオプラスチックフフィルムには、紫外線カットの効果もあることから、窓ガラスに貼り付けてUVカットフィルムとして使える可能性もあるとしています。
なお、ストローとして置き換えができるのであれば、他にもたとえば紙コップや紙皿などの紙製食器の代替にも使えそうです。もちろん生分解性があるからといってキャンプ場などで使い、放置してその場を去るのはもってのほかですが、仮にそうなったとしても、自然に還りやすければ環境への負荷も低くすむことでしょう。

TechnoEdge・2023/3/7

はい、最初のニュースは、脱プラの一丁目一番地「ストロー」のニュースですね。
バイオプラスチックを使用したストローとのことです。
ポイントは2つあります。

先ず1つ目は、これまでの紙ストローの不快感をなくしたこと。
紙ストロー、皆さんも使われたことがあると思いますが、どうですか?
紙業界の人間の僕ですら、使い心地に絶妙な不快感を覚えます。
何なんですかね、あの絶妙な不快感。
これを克服したということが1つ目のポイントです。

そして2つ目のポイントは、生分解が確認されたこと。
今回のストローに使われた素材は、バイオプラスチックです。
具体的に言うと、リグニン、ポリビニルアルコール、クエン酸を配合したものです。
リグニンは、木材に含まれるもので、紙をつくるときは除去されます。
近年は、このリグニンの活用方法が模索されています。
その一つの答えが、今回出たということです。
バイオプラスチックという名前で誤解が生まれやすいですが、全て生分解性の素材です。

今年も脱プラの話題は尽きないですね。

それでは、続いてのニュースです。

北米産パルプ3%高 9カ月ぶり上昇

家庭紙の原料となる北米産パルプの日本向け輸出価格が、9カ月ぶりに上昇した。2月積みは前月に比べて3%高い。米国やカナダの住宅需要が利上げの影響で鈍化し、カナダ産木材の需要が低迷。副産物である原料チップの供給が減った。北米景気減速の影響が製紙原料にも及んでおり、北米産パルプを使う日本の製紙会社にもコスト上昇圧力となる。

日本経済新聞・2023/3/10

はい、パルプ価格の上昇のニュースですね。
日本が最も多く輸入している、北米産パルプです。
昨年はカナダの洪水の影響で物流の混乱による価格上昇が続きましたが、最近は高止まりし、下げ基調に入っていましたが、またもや上昇となりました。

北米の住宅需要が鈍ったことで、木材の需要が落ちて、供給量が減った。
当然、副産物の製紙用木材チップも減って、価格が上昇した。

という流れです。

製紙メーカーは価格修正でコスト圧迫と戦っていますが、ここにきて、またもやコスト上昇の知らせです。
製紙メーカーにとっては、またもや厳しい局面となってきました。

という訳で、今回は以上となります。
本日も最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。

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