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京都大学11月祭レポートvol.2【KaiRA編part.2】

「京都大学人工知能研究会KaiRA」でAIデモを体験

国内外から押し寄せた観光客で溢れる京都に降り立った、11月23日。
日本一ノーベル賞受賞者を輩出する京都大学へ、「eスポーツ×生成AI技術イノベーション研究会」の技術協力をしてくださっている「京都大学人工知能研究会KaiRA(以下、KaiRA)」のメンバーに会いに行った。

ちょうど「京都大学11月祭」という秋の学園祭の真っ只中。
KaiRAではAIデモの体験会を開催していた。

前回は「手書き文字認識AI」をレポートしたが、今回はその他のAIデモについてご紹介していきたい。

忖度オセロAI

時間を忘れオセロに没頭できる、なんとも魅惑的なAIデモが「忖度オセロAI」。
対戦相手であるユーザー(人間)に対して、「忖度」し、手加減して勝たせてくれる可能性があるというAIである。

何十年ぶりかのオセロとなったが、まずは「忖度バージョン」の「手加減AI対戦」で早速体験してみた。

見知らぬ中年BBAに気を使いまくるKaiRAのメンバーに見守られる中、対戦してみた結果…

忖度されたにも関わらず、負けた。

「たった4点差です!」と全力で慰めていただいたのが、本当に申し訳ない。
自分でも驚くほど弱くてびっくりしたが、図々しく「強いAI対戦」にもチャレンジしてみた。

これほどまで圧倒的な「惨敗」を、皆さんは見たことがあるだろうか。
少し言い訳をさせていただくと、前半はすこぶる調子が良かった。
もしかしたら勝てるかも?というほど、一時優勢に立っていた。
しかし、最強オセロAIは後半から本領を発揮し始める。
見る見るうちに盤面が黒に覆われていった。

KaiRA会長の松田さんは「オセロがめちゃくちゃ強い方でも、「強いAI」には勝てませんでした。」と教えてくれた。

将棋の全タイトル制覇という偉業を成し遂げた藤井聡太八冠も、「AIで将棋を練習していた」ことで一時期話題になったが、確かに「セオリーにとらわれない戦術」を鍛えるには、AIは有効手段かもしれない。

将棋でもそうだが、何十手も先を読んだ上での「一手」であるため、AIは前半調子に乗っていた私の手の内を完全に読み切った可能性がある。
「コイツは目先の盤面しか見えてないぞ」といったところか。
感服である。

この「忖度オセロAI」には中毒性があるようで、オセロが絶望的に弱い私でも飽きることなく何回でもマッチが続けられた。
時間に制限がなければ一日中没頭してしまうことだろう。

こんな魅力的なゲームを作り上げてしまうKaiRA、恐るべしである。

歌詞からアーティスト判定AI

続いては、文章からどのアーティストの作品に似ているかを判定するAIのデモを見せてもらった。

まずは歌詞を入力。
今回は「あいみょん」の「マリーゴールド」の歌詞の一部を使用。

分析にかけると、ちゃんと「あいみょんっぽい!」と判定された。
「まあ、あいみょんの曲なんで笑」と、KaiRA副会長の山下さん。

「あいみょん」の曲ではあるが、「スピッツ」や「ZARD」も候補に挙がっている。
他にも「優里」「米津玄師」「緑黄色社会」なども判断材料に使われていたようで、個人的に「同じ系統の曲を歌うアーティスト」が候補に挙がっているという感覚である。

以前、生成AIで「Mr.Childrenっぽい曲を作って」といって曲作りに挑戦したことがあるライブ配信者と話したが、その時は「1ミリもミスチル味のない曲が生成された」と渋い顔をしていた。

「アーティストの個性」を特徴づけて判定することは、それだけ難しい。
ニュアンスをデータとして落とし込み、エッジを作らなければならないのだ。
こういった作業をAI技術で実現してしまおうというのが、この「歌詞からアーティスト判定AI」の凄さと言えるのではないか。

フェイク画像判定AI

今社会問題としても注目されている「ニセ画像の判別」ができるAIである。
KaiRAのデモでは「StyleGAN画像かどうかを判定」する。

「StyleGAN」とは、超高精度の画像生成AIである。
この生成AIの出現によって「写真が証拠になる時代は終わった」と言われるほど、本物と見分けのつかない超自然な写真が生成できてしまう。

「StyleGAN」で生成した画像を、KaiRAのAIにかけると…

フェイク画像かどうか、つまり「StyleGANの生成画像かどうか」の判定が行われる。
こちらの画像は「100%StyleGANの画像」という結果。

様々な生成画像で試してくれたが、相当な精度でニセ画像の認識が実現できていた。

時たま間違えることもあるが、山下さん曰く「90%の確率でStyleGANの画像かどうか判別できる」という驚異の精度。

ちなみに、他の生成AI画像で試してみたところ、判定は難しかったようだ。
こうした、生成AIごとに特化した「判定AI」で、ニセ画像を用いた「フェイクニュース対策」が行えるのではないか。
「毒には毒をもって制す」ではないが、「AIにはAIで対策を」という世界線に突入していく予感がした。


一つ一つのAIデモのクオリティが高く、ボリュームがターハイになってしまった…。
残りの2つは「part.3」でご紹介していきたい。

京都大学11月祭レポートvol.3【KaiRA編part.3】へ続く

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