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パタンナーとして独立した日のことを思いだして・・・

「衣服標本家の長谷川です」

と、自信をもって名乗ることができるようになった今、改めてパタンナーとして独立したときのことを書いてみる。

(正確には、私の仕事スタイルは「モデリスト」だが、便宜上パタンナーとする)

今回は、技術職が独立をするときに、必ず付きまとうであろう「設備投資」に関して記す。
なにを揃え、なにを省くことができるのか?ひとりのパタンナーの実体験をのこす。
独立を考えている方の参考になれば幸いだ。


27歳、独立。プロッターは見送った

まず私の場合、カッティングプロッターは買わないことにした。
その代わり、工業用ミシンとPCを新調した。

・工業用ミシン 260,000円
(付き合いの深い方経由なのでチョイお得。JUKIダイレクトドライブDDL-9000B-SS)
・ノートPC 160,000円
(3DCADを入れる前提で、マウスコンピューターのゲーミングPC G-Tuneを購入。SSD容量も追加した)

上ふたつが、独立当時の大きな決断&出費になる。
プロッターではなく、ミシンを購入したことなどを踏まえ、理由を説明する。

育児とパタンナー


2016年。5年半勤めた会社を退職し、独立をした。27歳だった。
まずは、自分の「家庭環境」「仕事スタイル」について考えた。

当時、1歳になる長男がいた。
子供はふたり欲しいと考えていたので、育児環境を整えることが最優先事項だった。(現在は4歳と2歳の兄弟がいる)

パタンナーの仕事道具は、アイロン・ハサミ・針と、子供との相性は最悪。
文鎮を積み木がわりに重ねるし、ボビンに巻いた糸は綺麗に引っ張りだされる運命にある。
彼らは名探偵だ。片付けていようが一瞬のすきに必ず見つけだす。

好奇心あふれる子供と、カッティングプロッターの共存は可能なのか?
結婚を機に引っ越した西五反田のアパートで考えた。
否、満面の笑みでロール紙をビリビリにやぶく姿が、鮮明に浮かぶ。

会社勤めのうちに「カッティングプロッターがないと仕事ができない!」という固定概念にとらわれていたが、冷静に考えると、そうでもない気がした。

都内にはプロッターを予約利用できる場所が幾つもあるし、出力代行サービスもググればたくさん出てくる。

やり始めてから必要だと思えば設置することもできるし、初期投資が浮くことは望ましい。

結果、私は独立から4年間は、月2ペースで恵比寿にある出力センターに通いパターンを出力していた。

育児期における自宅へのプロッター設置コストを考えると、外で使うほうがよっぽど得だろう。

なにより、カットプロッターの備品は、地味に高いのだ。
子供に壊されないかとビクビク過ごすのはストレスにつながる。

友人パタンナーのなかには、大判プロッターを導入している人も多い。
その魅力は値段だ。
カッティングプロッター比べ、大幅に安く済む。
しかし、必然的に手作業でのカットとなる。この点は、自分の仕事スタイルとよく照らし合わせた方が良い。

私の場合、トワル組み段階ではCADを使わずに、手で製図することが多い(メンズの囲み製図に慣れているから)

私がCADを使い、パターンを出力するときは「量産パターン」が必要なときだ。
量産パターン製作の微調整や縫い代つけ、グレーディングなどはCADじゃないとヤル気になれない。
パタンナー業務と同じくらいに、量産にむけた「生産管理の仕事」も、私には重要なのだ。

生産管理をこなすためには、カットプロッターでなければいけない。
量産パターンを手作業でカットするのは、ただただ、つらい。
心と頭をとなりに置いて、機械になったつもりで淡々とこなすしかない。

簡単にまとめてみると、


・都内には、カッティングプロッターの出力センターや出力代行が幾つもある
→すぐさま設置する必要はない。

・大判プロッターを導入するパタンナーも多い
→トワル組みやサンプル程度なら全然アリ。

・育児とパタンナー業務は、工夫が必要
→めちゃくちゃ考えてきたので、後ほど書く。

今回は、ここまでとする。

なぜ、工業用ミシンを導入したのか
PCをデスクトップからノートに新調して変わったこと
ノートでは、CADがやり辛くないか
CADの導入コストは
3DCADも入れるべきか

まだまだ書きたいことは尽きない。


おわりに、今回紹介した出力センター情報などを、まとめて記載する。


・フリーランスパタンナー御用達のプロッター屋さん
斉藤企画株式会社

・長谷川が利用する恵比寿の出力センター
ユカアンドアルファ
(私はユカのCADを使用しています)

・さまざまな情報を網羅する東レのサイト
日本アパレルシステムサイエンス

・原宿のコワーキングスペース
コロモザ


有意義なパタンナーズライフを過ごそう。

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