20210301「私と肩。私の肩。」

私は強肩だ。
私はボールなどの類いを人より遠くに投げることができる。
学校のスポーツテストの「ソフトボール投げ」「ハンドボール投げ」はいつも満点だった。
ドッジボールをさせれば相手チームは首を守った。
頭に当たれば首が飛ぶからだ。

特筆すべきは「野球をしていなかったのに」ということ。
生まれながらの鉄砲肩。
肩の天才だったのだ。
きっと母の胎内でへその緒を振り回し肩を鍛えていたのだろう。

そんな私の肩の天才っぷりをこのまま皆が知らずに死んでいくと思うと悔しくてたまらない。
私は皆に私の肩を知って欲しい。

まさか大人になって、こんなにも私の肩を披露する場が少ないなんて思わなかった。
皆で野球とまでは言わない。
ドッジボールさえできれば・・ドッジボールさえできれば・・私の肩を皆に見せつけられる。
あの美しい縦回転のスピードボールが皆の顔横を通った瞬間、私の肩はトラウマとして皆の記憶に残るだろうに。

ドッジボールやろうよ。
なんで皆、急にドッジボールやらなくなった?
昔はどんなに短い休み時間でも外にぶっ飛んでボールぶん投げてたじゃん。

大人になるってそういうことなの?
なんで大人は外でドッジボールをやらないの?

頭に当たったらセーフでいいからさ。
また皆でドッジボールやろうよ。

近距離で当てられそうになったらその場で必死にジャンプして避けたらいいじゃん。
まぁ俺のボールは距離関係なく半端ないスピードでぶっ飛んでくるけどな。

いま流行りの疫病が落ち着けば、外でドッジの合図をするよ。
皆、走って外出てさ。
やろうよドッジ。みんなでドッジ。
俺のバカ肩、見せつけてやっから。

ばびゅーーーーーん!!!!!

俺の肩だけが聴かせる音。



これは、脳みそを使わずに肩で書いた文章。いや、肩が書いた文章。


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