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目指すは「暖かく、掃除が楽で、本当に使いやすいハイコスパ風呂」。築35年の風呂をリフォームする話。

この記事は2024年前半に、築35年の自宅における在来浴室をユニットバスへとリフォームし、ついでに洗面台等も置き換えた自分の経験を読者の皆様にシェアするものである。

リフォームのきっかけ

2019年に母が突然亡くなった。
その後にコロナ禍によって世の中がリモートワークになった際、千葉市の端っこにある築35年ほどの元実家(戸建て)に住み着いてみた。
元実家ではあるが、自分自身はこの家には精々、1,2年しか住んでいないので、土地そのものへの思い入れも薄く、新しい会社の立ち上げでお金も無かったので、家賃を浮かせようくらいの気持ちだった。
その後、再婚して妻がこの家に住み始めた。それ以来、妻が度々口にする言葉が「この家は風呂が寒い」であった。

そもそも節約のために住み始めただけのこの家に金をかけるつもりはなかったが、ライフスタイルも変わってきたことで、ジャガーFタイプの購入費用として個人的に積み立てていた貯金を住環境向上に充てることにしたのである。

ちなみに、この風呂は実質的に私から妻への誕生日プレゼントだ。
如何せん我々夫婦の共有財産は大変少なく、風呂代にもならないのだから。

この記事では、2024年の最新のリフォーム事情と、我が家風呂選びの基準を提供しようと思う。

検討にあたっては特にTOTOサザナ,LIXILリデア,Panasonic ビバスをメインで検討していたことを先に記載しておきます。

コンセプト

風呂のリフォームにあたり、何を目指すか?つまりコンセプトを定めた。

一言で言えば、「暖かく、掃除が楽で、本当に使いやすいハイコスパ風呂」である。

最初にこのコンセプトを固めたことで検討する風呂の装備がある程度固まってくる。
実は、前に挙げた3社以外も一通り有名どころの情報は調べたのだが、ここ10年くらいはさほど進化しておらずどこのメーカーも多少の違いはあるものの似たようなものになっている。
そして、タイプごとの違いの理解も難しいので、コンセプトを決めないと選ぶ基準が無くなってしまうので、最初に定めることを心からおすすめする。

風呂選びの基準

私は様々な観点で検討を行ったが、主に決めていったのは下記のポイントだ。
それぞれに私の考えと決定事項を記載する。
全ては「暖かく、掃除が楽で、本当に使いやすいハイコスパ風呂」を実現するために。

  • 浴室のサイズ

  • 浴槽の保温性能

  • 浴室の断熱性と窓の有無

  • 浴室暖房設備の有無

  • 床材の素材

  • シャワーフック

  • その他設備

ちなみに、こういった基本設備は各社の上位モデルであるシンラやスパージュなどでも一緒なので差がつかない部分である。加えて各メーカー間も大した差はないと私は感じた。

浴室のサイズ

浴室のサイズは、多くの人がまず最初に悩むポイントだと思う。
広くて大きな風呂には憧れがある人も多いだろう。
今の風呂は限りなく1717サイズに近いサイズ感だが、これを広げるかどうするか。

結果的に、私は風呂を今より狭くすることにした。
一回り小さい1616サイズに落とすだけでなく、天井の高さも従来より低く加工する。

これによるメリットは下記の通りだ。

1.暖かくなる
浴室を小さくすると、その分、容積も減り、早く暖まる。
容積が小さくなれば、浴槽やシャワーのお湯、暖房設備によって部屋が温まるのが早くなるわけです。
広い部屋より狭い部屋の方が暖房が効きやすいのと同じ原理ですね。

2.パーソナル空間としての魅力が向上する
そもそも、風呂はパーソナルなものだ。あまり広いトイレが落ち着かないのと同様、広ければいいというものでもない。家庭の風呂に開放感を求めても仕方ない。
コンパクトのすることでパーソナルスペースとしての魅力が向上すると考えた。

3.安くなる。
一般的にユニットバスの基本価格は、風呂のグレードとサイズの組み合わせで決まる。サイズが小さい風呂はその分だけ安くなる。

浴槽

基本性能の一つである、浴槽の保温性能については、率直に言ってあまり悩む必要はないことがわかった。
TOTOサザナで言えば、「魔法びん浴槽」、LIXILリデアなら「サーモバスS」、Panasonicビバスなら「保温浴槽Ⅱ」などの浴槽が採用されている。
その保温性能は、基本的には4~5時間で2.5℃の温度低下と言われており、データ上はパナソニックが優れているものの、普通に追い焚きしたりすると思うので普段の使い勝手にはさほど影響が無いと思われる。
これに関してはどれを選んでもOK。

形状はTOTOならゆるリラ浴槽、LIXILならエコベンチ浴槽で検討。
ベンチ部分で半身浴も出来るし、将来子供を座らせるにも良いし、節水にもなる為。

TOTOのゆるリラ浴槽

浴室の断熱性と窓の有無

浴室の断熱性については、主に窓の有無と断熱材の追加オプション(あたたかパック等)を入れるかで決まる。
コンセプトの通り、温かさを重視するのであれば断熱材のオプションは入れていいだろうと考え、早々に導入を意思決定した。
電気的な設備等と違って劣化も少ないパーツので、ここから先ずっと役立ってくれるはずだ。

悩ましいのは窓だ。実際に風呂のカタログを見てみると多くの場合、開放的な窓があり、日が差し込んでいる事が多い。多くの家の風呂にも窓があるだろう。

しかし、私は今回、もともとは存在している窓を潰してあえて窓なし風呂にした。
最近の窓は断熱性能が高くなっているとはいえ、純粋な壁より優れているということはない。
また、昨今の換気扇の性能を鑑みれば換気という用途でも窓を開けるよりも換気扇回すだけで十分だし、窓を開けたら温度差で結露が発生する。
その結露した部分に外からのホコリが付いて乾いて黒く汚れるのがオチだ。
それに窓のサッシは掃除するのがめんどくさい。

しかも浴室を跨いで窓を開け閉めしたり掃除するなんて面倒くさすぎる。

今回のコンセプトに照らせば窓の存在は百害あって一利なしだ。

浴室暖房設備

浴室暖房乾燥機は昨今の風呂では比較的メジャーな装備だ。
しかしながら、私はこれの設置に対しては結構迷った。
前述の通り窓をなくし、容積を低くしたことで、お湯をはるかシャワーを出せばすぐに暖かくなると考えたからである。
また、乾燥については、我が家には乾燥機があるのでわざわざ風呂で乾かす必要もなかった。

ただ、最終的には、つけることにした。
当初予定していたオプションを減らしたことで設置予算が出来たからである。
ちなみに、TOTOは三乾王(暖房・乾燥・冷房)か、もう少し安い浴室暖房があるが、LIXILには浴室暖房乾燥しか選択肢が無かった。

床材の素材

ここはメーカー間の特徴の差が結構あった項目である。
乾きやすい床というのは当たり前ですが、TOTOには「ほっカラリ床」という少し柔らかい床があり、これに憧れる消費者は多いよう。
実はここが王者TOTOサザナと2番手LIXILリデアにおける数少ない差になっているらしい。
しかし、「ほっカラリ床」には弱点があり、それは床の目が細かく柔らかい為、水はけが悪く赤カビが発生しやすい&スポンジでは洗いづらい、デッキブラシは使えないという課題があるそうだ。

掃除の容易性という意味では、床のコーキングの打ち方も大事。このあたりLIXILやPanasonicに利がある。TOTOは床と浴槽や壁のつなぎ目のコーキングが角にあるが、LIXILやPanasonicは角に折り返しがついていて、コーキング部に水が溜まりづらい仕掛けが入っており、これによりカビが生えにくい。

ちなみにタカラスタンダードはタイル床になっていて、床の冷たさが弱点になっている。この点で我が家からタカラスタンダードが選択肢から外れてしまった。

LIXILは掃除のしやすさをアピール。柔らかいのが良ければTOTO一択。

シャワーフック

最近のシャワーフックは、従来の上と下につけるタイプのものではなく、自由な高さにシャワーの高さを動かせるスライド式のフックがある。
これについては、私はマイナスオプション(装備を標準から引き算すること)を活用し、従来型の上下2つのフックに変更した。
スライド式のシャワーフックは立っている時は上に、座っている時には下に移動させる必要があるのだが、正直いちいち上に下にやるのはめんどくさい。それに水垢をとる掃除もめんどくさい。

ちなみにTOTOサザナは基本的には両手を使ってスライドさせる想定になっているが、LIXILリデアは片手で操作可能だった。LIXILの方が優れていると考える。

手すり機能も若い人はいらないですよね。

お掃除機能

最近流行りの機能として、「おそうじ浴槽」を始めとする掃除系機能が挙げられる。私も最初は見積もりに含んでいたが最終的には削減した。

これらの機能は洗剤の補充などメンテナンスが必要なほか、結局のところシャワーと洗剤だけで落ちない、つまり擦らないと落ちないような汚れは落とせないと、TOTOやLIXILの担当者が口を揃えていっていたからだ。
もちろん予備洗いだと思えば掃除が楽になる効果は無いわけではないが、中途半端すぎるように思う。

TOTOのWEBサイトより

ドアの種類

浴室のドアには主に折れ戸、引き戸、開き戸の3種類がある。
それぞれにメリット・デメリットはあるのだが、私はオプション扱いの開き戸を選択した。
選択の理由は清掃性。
過去に住んできた家は引き戸や折れ戸が多かったが、それらは構造上ホコリが溜まり、カビが生え悲惨な状態になっていた。
もちろんきちんと掃除ができれば問題ない。
しかし私はマメでないので清掃が楽である開き戸を選ぶことにした。

ミラー

最近はワイドミラーが人気だ。確かに風呂が広々として見えるし、ショールームでみるとカッコよさもある。
ただ、私はこれについても従来型の縦長ミラーに変更した。
理由はやはり清掃性。
浴槽側のミラーは浴槽の湯気が付着するし、手も届きづらい。
私のようなズボラはそこまで絶対掃除しないので、あえてマイナスオプションへ。

ワイドミラーはかっこよく見えるのは確か

デザインについて

私は当初は、ブラックやグレーを基調としたスタイリッシュでモダンな空間を目指したいと考えていた。ブラックな浴槽とか。
しかし、清掃性や高級感を考えた結果、下記の方向でまとめることにした。

  • 照明はダウンライト系

  • 浴槽は白の人工大理石

  • 壁パネルは4面統一

  • 壁パネルはつや消し素材

  • 模様は横方向

  • 余計なフックや物置き場はつくらない

照明は早々にダウンライトとすることを決めた。
普通のライトだとライトの上にホコリが被りやすいのと、デザイン的にダサいから。

壁パネルのつや消しに関しては強い意志を持って検討していたが、この点においてはTOTOサザナとLIXILリデアではLIXILの強さが目立った。
最上級グレードのスパージュでなくても選択肢が豊富だったのだ。
TOTOの場合はシンラに比べると選択肢が明らかに少なかった。
模様を横方向にしたのは、縦は緊張感を高めるのでボーダーの方がリラックス空間として優れていると考えたから。
そして、壁から白を排すことにも気を使った。通常は3面白にアクセントパネルとして色をつけるケースがあるが、オプションを支払ってでも4面装飾パネルにすることを意識した。

価格について

基礎知識だが、基本的に風呂は定価から60%~70%程度の値引きがあることが多い。
特にTOTOサザナは売れ筋ということもあって値引き率は70%近くなるケースも多い。
LIXILもリデアになる前のアライズ時代はTOTOと同じか少し安いくらいの価格で取引されていたようだが、残念ながらアライズからリデアにモデルチェンジした際に定価が大幅に上がってしまった。
これによりTOTOの方が数が出て、安くなるケースが増えた。それ故、最近は特にTOTOを選ぶ人が多いとのこと。
これまで述べてきた通り、LIXILとTOTOには大した差がない。ならば安いTOTOでいいや、となるのが一般的ではないだろうか。

私の場合は最終的にTOTOが68%、LIXILが62%値引き、Panasonicが58%値引きとなったことを記載しておく。

また、ショールームでは「色々なオプションをつけるなら上位モデルの方が定価が安い」というセールストークがある場合もある。
しかし、代理店の担当者によると、上位モデルは値引き率があまり高く設定できないそうで、例えばTOTOサザナの上位モデルシンラでは30%~程度の値引きしか行えないとのこと。
もちろん上位モデルには肩湯があったり、間接照明の選択肢があったりするなど良い要素があるのだが、コンセプトにある通り「ハイコスパ」も重視した為普及モデルの選択を行った。
また、風呂としての基本性能は上位も中位もほぼ変わらないことも上位モデルを選択しなかった理由だ。


Panasonicはそもそも提案してくれる所が少ないのが残念だった。独自のマイクロバブル風呂である「酸素美泡湯」を欲しいかどうかで決まる感じかな。
ちょっとメンテナンスがめんどくさそうだったこともあり、今回は選択しなかったが、代理店が勧めてくれる場合は検討に値すると思う。

結果

これまで色々と検討してきたが、私は結果的にどこの風呂にしたのか・・・そしてどのような仕様にしたのかを記載する。
結論として、私はLIXILのリデア(1616サイズ)とすることにした。

正直なところ、ギリギリまでTOTOにするつもり満々であったのだが、サザナの赤カビ問題とコーキングの打ち方が気に食わなかったことや、ショールーム来場者向けの特典で値引きが色々と発生したことで値段がTOTOに近づいたこと、実物を見比べてデザインが好みだったことから、LIXILの採用に至った。

プランシート1
プランシート2

いかがでしたでしょうか?
今回のリフォームのポイントとして、窓をなくす、サイズを小さくする、あえてマイナスオプションを選択するなど通常推奨されることとは異なる選択を行っています。
それぞれの決断にはデメリットも存在する為、ご自身のリフォーム計画では十分に検討をすることを強くオススメします。

リフォームネタはまだまだ続く

実は今回のリフォームは、洗面所リフォームとリビング、廊下、玄関のクロス張替えも同時に行う事になった。
このあたりについては、また暇がある時に書いてみるかもしれない。

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