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弾丸旅行で兄の結婚式に参加

※1週間の休暇を頂いて、両親・長男と渡米して結婚式に参加してきました。帰国翌日の気持ちをFBに書いたので、以下はその転載(一部修正)です。

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Chicago近郊の街で、兄の結婚式に出席してきました。市役所での簡素な挙式と、寿司レストランでのとても温かな手作りパーティでした。

渡米して19年間、孤軍奮闘してきた兄はいつも「アジアからたった一人で来た留学生(自分)には何の保証もないから、毎日とにかく競争し続けるしかない。誰も頼れなくて孤独だけど自分がそういう道を選んだから」ということを言うのですが、そんな孤高の兄が結婚するとは本当に信じられない程嬉しい気持ちでした。
奥さんは南米ご出身の大学教員の方のためパーティ参加者も南米出身を中心とした大学教員をされている方が多く、兄いわく「身寄りのないアメリカで死ぬほど努力してきた人ばかり」とのこと。世の中にはここまで努力して生きる人がいるんやなという思いでした。

参列者の方々の、相手のバックグラウンドを尊重して理解しようとする姿勢は非常に知的で素晴らしいものと感じました(父がブラジル人の教授に「私達が日本語を話せれば良かったのですが。話を色々聞きたかった」と挨拶され感激していました)。「自分がマイノリティだと感じるかもしれない人」への最大限の配慮というのは過剰なポリティカル・コレクトネスとして揶揄されることもありますが、多様性の高い場所で生きていく為には不可欠なんだろう(そしてそれは別の時にマイノリティになりうる自分の身を守ることにも繋がるんだろう)と思ったのでした。ここは自分自身が仕事で参考にして改善していかないといけないところです。

研究者である兄の「死ぬほど優秀な人達が年中研究して、成果を得られるのはひと握り」「もしもう一度留学した時に戻るなら、まだAdvantageのあるMedical School(医学部)かDouble major(IT×生物、IT×哲学などの同時履修)を選ぶ」という話にAcademyの世界の厳しさを感じつつ、民間企業との待遇のアンバランスさを感じたり。ただ「個人のBack groundに関係なく努力すればするほど認められる」というAcademyの世界にはきっと、お金で説明できない魅力があるのだと思います。

その他にも、インドネシア出身のChemical engineeringの研究者とジェネリック医薬品や健康保険制度について意見交換したりと、自分も長男もたくさんの刺激を受けて無事に帰国しました。英語って楽しいですね。気持ち新たに、明日からまた思いきり働きます。

※写真は子供達に買ったお土産の一部です。バーンズアンドノーブル(米国の大型書店)めちゃ楽しかったです。

※本の紹介(Facebookへの投稿の転載です)

◆ヒルビリー・エレジー アメリカの繁栄から取り残された白人たち
J.D.ヴァンス
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→帰国後に読んだ本です。アメリカでも治安の悪いラストベルトのヒルビリー(田舎者)として家庭内トラブルに翻弄され続けながら、海兵隊からイェール大大学院を卒業して弁護士になったという著者の回顧録です。トランプ支持層の理解に役立つということで話題になリましたね。

「大切なのは貧困地域からホワイトカラー的なキャリアの成功を目指させることではなく、子供がなるべく安定した家庭環境でいられるよう早い段階でサポートしながら地域で幸せに暮らせる人々を増やしていくこと(意訳)」等の著者のメッセージは、経済低迷と治安悪化にあえぐ地方都市への愛情に溢れています。解決提案みたいなものはありませんが、2016年発行時点までの詳細ルポだけでも十分な情報量でした。

そして悪循環の中から自分で人生を切り拓いた人に共通するのが「信頼できる家族」と「身近なお手本」の存在だったという著者のラストメッセージは親として背筋が伸びる思いでした。

正直、程度の差こそあれ日本の地方都市でもある話だと思います。地方と都市部の対比や、ビジネスキャリアだけでなく幸せな生き方とは何かを考える意味で、今年読んで良かったかなり上位の本でした。既にベストセラーですがおすすめです。