柴藤亮介(アカデミスト株式会社代表取締役CEO)

「開かれた学術業界を実現し、未来社会の創造に貢献する。」を理念に学術系クラウドファンデ…

柴藤亮介(アカデミスト株式会社代表取締役CEO)

「開かれた学術業界を実現し、未来社会の創造に貢献する。」を理念に学術系クラウドファンディング「academist」や学術系メディア「academist Journal」を運営しています。クラウドファンディングに関心のある研究者・大学院生の皆さまは是非ご連絡ください!

最近の記事

【2023年版】世界の学術系クラウドファンディングサイトの今と academist の振り返り

年末恒例の記事も9回目となりましたが、昨年にひきつづき学術系クラウドファンディングサイトでは Experiment 以外の大きな動きが見られませんでしたので、Experiment と academist に絞って振り返りをしていきます。 第1位:Experiment@アメリカ(2,942プロジェクト:前年+338件) 今年のExperimentは、プロジェクトの増加率が昨年(+159件)に比べて2倍以上となり、流通総額も $1,000,000 近くの増加となりました。サポ

    • 資金調達の背景とねらい - 研究者と共に開かれた学術業界を実現する

      本日、アカデミスト社として3回目となるエクイティファイナンス完了のプレスリリースを公開しました。こちらのnoteでは、今回の資金調達の背景について説明します。 研究者と共に研究業界に新しい資金の流れをつくる これまでの仕事を通じて、たくさんのビジョナリーな研究者の方々にお会いしてきました。そのなかでも「academist」のチャレンジャーは、研究のVisionを自分の言葉で発信することで個人サポーターを巻き込む行動しており、その結果として研究者を応援する人たちは着実に増え

      • academist で「研究支援証明書」を発行できるようになりました - web2からweb2.xへ

        研究支援証明書とは本日、academist から「研究支援証明書」を発行できる機能を公開しました。 これは「academist」に掲載されたプロジェクトにご支援いただいた全サポーターに配布されるもので、支援したプロジェクト名や支援を受けた研究者名、支援日時、支援者名などが記録されており、「academist」のマイページから確認することができます。2018年3月29日以降に行われた全ての支援が対象です。支援金額に応じて背景色が変わりますので、複数のプロジェクトを支援した経験

        • アカデミスト分散型研究所構想 ver.0 - 新時代の研究スタイルを探究する

          先日、academist Prize 第3期の採択者発表会を実施しました。2023年9月から1年間、選ばれた若手研究者たちとともに第3期のテーマである「AI×◯◯学」の未来について考えていく予定です。採択者の専門分野も心理学、認知科学、ダイバーシティ、イノベーション、ロボット、社会学、材料科学、歴史学と多様でとても楽しみです。 学術系クラウドファンディングの本質とは私たちはこれまで、研究資金源の多様化を実現するために、学術系クラウドファンディングサイト「academist」

        【2023年版】世界の学術系クラウドファンディングサイトの今と academist の振り返り

          研究プロセスをオープンにする時代は来るのか? - 東京web3ハッカソン参加備忘録

          だいぶ前の話になりますが、2022年10月22日〜11月6日に東京web3ハッカソンに参加しました。良い経験ができたので、記憶をたどりながら整理していきます。 経緯きっかけは、佐藤さんのツイート。 web3事業に関心はあったのですが、実際にアクションしないと机上の空論になると感じていたため、佐藤さんに連絡しました(2018年6月のイベントでお会いして以来!)。申し込み締切にギリギリ間に合いKICK OFF sessionに参加することに。 KICK OFF sessio

          研究プロセスをオープンにする時代は来るのか? - 東京web3ハッカソン参加備忘録

          学術系クラウドファンディングのトークノミクスを考える

          以前の記事で触れたように、学術系クラウドファンディングの発展を実現するヒントのひとつに「トークノミクス」が挙げられます。本記事では、これまでも紹介してきた「FiNANCE [1]」や「VitaDAO [2]」などの取り組みを参考に、学術系クラウドファンディングにおけるトークノミクスを構想していきます。 トークノミクスとはトークノミクス(=トークン経済学)は下記のように定義されています。 ここでは、暗号通貨やトークンの特性を決定するパラメターを研究し、経済価値を創出するもの

          学術系クラウドファンディングのトークノミクスを考える

          【2022年版】世界の学術系クラウドファンディングサイトの今と academist の振り返り

          毎年恒例ということで、世界の学術系クラウドファンディングサイトTop5を紹介しようとしたのですが、今年は Experiment 以外のサービスで大きな動きが見られませんでしたので、8年目となる今回は Experiment と academist に絞って紹介します。 第1位:Experiment@アメリカ(2,604プロジェクト:前年+159件) 今年 Experiment では、流通総額が累計10,000,000ドルを突破(祝!)し、プロジェクト数も1年間で159件増加

          【2022年版】世界の学術系クラウドファンディングサイトの今と academist の振り返り

          研究活動をステークホルダーと加速する「academist Prize」の狙い

          academist Prize、第2期始動! 本日より、academist Prize 第2期がはじまります(プレスリリースはこちら)。選ばれた12名の研究者・大学院生が研究活動を継続発信し、自身の活動のサポーターを募るプロジェクト。四半期ごとに開催予定のハイブリッドイベントでは、総額100万円のアカデミスト賞に加えて、10万円の企業賞を受け取るチャンスがあります。 もともとacademist Prizeは、月額支援型クラウドファンディングの支援総額の拡大を目的にスタート

          研究活動をステークホルダーと加速する「academist Prize」の狙い

          web3時代における学術系クラウドファンディングの可能性

          web3時代を見据えた取り組みに注目が集まるようになりました[1]。前回紹介した「VitaDAO」をはじめ、アカデミア領域でも関連プロジェクトが続々と立ち上がっています[2]。このような流れのなかで、学術系クラウドファンディングはどのようにアップデートできるのでしょうか。この記事では、国内外における先行事例をヒントにweb3時代における学術系クラウドファンディングの可能性について考えます。 web3とは - 信頼から真実へweb3はコンピューター科学者・Ethereumの共

          web3時代における学術系クラウドファンディングの可能性

          長寿研究の民主化を目指す「VitaDAO」 - 分散型科学の先端事例

          基礎研究支援の新しい形社会実装までに時間のかかる基礎研究にはこれまで、運営費交付金をはじめとした公的資金を中心に、企業との共同研究費や寄付金などが充てられてきました。近年では、クラウドファンディングのほか、現在進行中の「10兆円ファンド」のようにファンド運用益を充てる形など、財源の多様化が進んでいます。 なかでも最近、IP(Intellectual Property)を分散型組織で管理することを通じて研究費獲得を実現する組織「VitaDAO」が注目を集めています。VitaD

          長寿研究の民主化を目指す「VitaDAO」 - 分散型科学の先端事例

          アカデミストのMission, Vision, Valuesについて改めて考えてみました

          こんにちは!アカデミストの柴藤です。この度、事業領域の拡大と外的環境の変化に伴い、2年ぶりにMission, Vision, Valuesの見直しを行いました。 Mission, Vision - アカデミストの使命と目指す未来Mission - アカデミストの使命- 研究者がいきる、私たちがつなぐ。 私たちの社会生活や産業活動の土台となっている「知」。これを支えるのが、学術業界の研究者たちです。予測不可能で変化の激しい時代においては、学術業界の「知」を新たな価値創造へ

          アカデミストのMission, Vision, Valuesについて改めて考えてみました

          国民投票で研究費を配分する?- Quadratic Voting の可能性を考える

          「シン・ニホン」から生まれた10兆円ファンド 2021年11月に岸田内閣が発足し、その記者会見では総理から科学技術立国を目指していくという発言がありました。その本丸とも言える「10兆円ファンド」は現在準備が進んでおり、2023年度に支援先の大学が決まり、2024年度から1校あたり数百億円規模が配分されていきます。賛否両論のある取り組みですが、個人的には安宅和人さんが著書『シン・ニホン』(NewsPicksパブリッシング、2020年)で描いた構想[1]が制度として世に出てきた

          国民投票で研究費を配分する?- Quadratic Voting の可能性を考える

          学術系クラウドファンディングの世界史(2012年〜2021年)

          世界的に学術系クラウドファンディングの取り組みがはじまり、約10年が経ちました。節目の年でもありますので、学術系クラウドファンディングの発展の世界史を整理しながら、これからの10年について考えていきたいと思います。 萌芽期:2012年〜2016年2012年:Petridish、Experiment の台頭 アメリカの2大クラウドファンディングサイトである「Indiegogo(2007)」と「Kickstarter(2009)」の登場から3-5年後に、世界初の学術系クラウド

          学術系クラウドファンディングの世界史(2012年〜2021年)

          アカデミストのこれまでとこれから【後編】 - 企業Vision×研究者Visionで新たな価値を創出する

          前編では、学術系クラウドファンディング(CF)の本質とacademistの今後について整理しました。後編では、学術系CFサイト「academist」の運営を通じて見えてきた企業のニーズと、新サービスの「academist Grant」についてお話ししていきます。 academist Grant の誕生academistを運営するなかで、企業の方から「◯◯分野の研究者の力を借りたいのですが、アカデミストさんとつながりのある方いますか?」と聞かれることが増えてきました。研究者と

          アカデミストのこれまでとこれから【後編】 - 企業Vision×研究者Visionで新たな価値を創出する

          アカデミストのこれまでとこれから【前編】 - 運営するなかで見えてきた学術系CFの本質とは

          こんにちは! アカデミストの柴藤です。 西早稲田オフィスに移転直後にコロナ禍になり、1年半が経ちました。最近はリモートワーク/オフィスワークを併用しながら「academist」を中心に各種サービスを運営しています。前回の記事ではアカデミストのVision, Missionについてご紹介しましたが、今回は academist を運営するなかで見えてきた学術系CFの本質について、整理していこうと思います。 学術系クラウドファンディング(CF)って、実際どうなの?これまでの実績

          アカデミストのこれまでとこれから【前編】 - 運営するなかで見えてきた学術系CFの本質とは

          理化学研究所iTHEMS×アカデミスト共同オンラインイベント開催決定!

          緊急事態宣言が発動されるなど非日常な毎日が続きますが、こういうときだからこそ社会の役に立てる仕事を考え、ひとつひとつのアウトプットにつなげていきたいと思います。先日のアカデミスト学会にひきつづき、理化学研究所数理創造プログラム(iTHEMS)さんと共同でオンラインイベント「数理で読み解く科学の世界」を開催いたします! もともと、理化学研究所の一般公開が4月18日(土)に予定されておりそのひとつとして本企画が予定されていたのですが、残念ながら一般公開は中止となりました。そんな

          理化学研究所iTHEMS×アカデミスト共同オンラインイベント開催決定!