俳優業が人間修行であるわけ。1

俳優をしていると、
特にフリーで活動していれば余計に、
様々なひとと出会うことになる。

〇〇組、劇団××など……名前は色々あるが、

毎回毎回、仕事の度に新たなひとと、現場と出会い、新たな作品を1から作る、ということになる。

仕事は、根底に信用が無ければ上手くいかない、と良く言う。

それはやはり、芝居の世界でも同じで。

この作品をいいものにしよう!
と同じ目標を見据えて集まった者同士であっても、

じゃあ「いい」作品ってどういう作品だろう?
この作品が目指せるベストは、何だろうか?

と毎度毎度考えなくてはいけないし、

と、いうことはつまり

「俺はこういうのが「いい」作品だと思う!」
「いや、この作品ならこういう方向性の演技を皆で目指すべきだ」

という議論や相談の中に身が置かれるのは、
もう日常なのである。

そして、ここからが本題。

そういった環境に身を置いて、磨かれることが大きく分けて2つある。

◆1つ
ひとと友達になる力。

「友達」という、なんとも定義があやふやな言葉を使ってしまったけれど、つまるところそれは、

初めて出会った、何考えてるかわからん人たちと、
互いに信用しあって1つの作品を作る

ということである。
これは、他の仕事をしていても必ず必要になる、
大人の要件なのではなかろうか。

◆2つ
他者を理解する力

特に芝居や役者は、「やりたいからやる」という人が多い。
だから、「これはこうやりたい!」という美学やこだわりを持った、
ひと癖もふた癖もある人がたくさん居るわけである。

初めて関わる現場で台本や企画を貰った際に、

その作品の何が面白いのか、
自分の役はどういう演技を求められているのか、
それがわからないということは、頻繁にある。

ひとを観察し、振舞いや言動から、
そして時には直接聞きに行って、

その作品や脚本に秘められたこだわりや美学を見抜く力がなくては、俳優業は務まらない。

つまり、

何を大切にしている人なのか、他者の価値観を見抜き、共感して協力する力

というのが養われるわけである。

今日はここまで。俳優業は素晴らしいし、役者は楽しい。人間修行は終わらない。

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