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写真を撮らない日があってもいい。

飲食店など、外出先でトイレを使った時、便座があたたかいとちょっとだけイヤだ。

こんな細かい違和感を気するようになったのは、きっと『ブラッシュアップライフ』を観たから。バカリズム脚本の作品(コントも含め)は、どれも本当に日常の共感力が高くて、悔しい気持ちでいっぱいになる。その共感、先に見つけたかった、ぐぬぬ、となる。

◇◇◇

年明けまでどこへ出かけるにもカメラを持ち歩き、写真を撮っていました。財布、スマホ、家の鍵と並ぶ必携アイテムでしたが、ここ数日、パタリと手に取らなくなりました。

これ自体は、たいして気にする必要ないですが、問題なのは「最近写真を撮っていない」と思ってしまったことです。

「楽しい」を理由に撮っていた写真が、いつの間にか「趣味として続けなければならない」という義務感に変わっていました。

気付いてしまったら、もう大変。次の日、慌てるようにカメラ片手に外へ出たものの、何を撮ってもしっくりこない。楽しくない。単焦点レンズの「写ってるー!!ボケてるーわ!!」って高揚を、2022年に置いてきてしまった気分です。

趣味との距離感には、いつも悩みます。

写真家の活動や毎日投稿など、情報をインプットするにつれ、写真好きのあるべき像なるものが、固まってきてしまったのでしょう。

純粋な気持ちで写真を撮ってたあの頃に戻りたい。そう思い、カメラを恋人に見立て、この1年間を振り返ることにしました。

◇◇◇

出会った頃は、どこに行っても、何をしてても楽しかったです。毎日のように話をして、街中でも人目を気にせず堂々と手をつないで。それはもう2人だけの世界。

ボケるだけで、それはもう楽しかった。

義務感なんていっさいない。ただただ、会いたくって。それだけです。

恋は盲目。他のことなんて考えてるヒマありませんでした。

なにせ、付き合うまでは、会いたくても会えなかったんですから。ドキドキしながら、話しかけに行くので精いっぱいなんですから。今までモンモンとしていた分、気持ちは一気に高まります。最高潮です。

夕日なんて意識することなかったのに。
自転車も一段とカッコイイ

※カメラの話です。

付き合って半年が過ぎ、さすがに浮足立った気持ちは落ち着いて来ました。

定番はおうちデート。ダラダラと思い出を見返したり、近くの商店街を散歩したり。

彼女のいる生活が日常になりました。

家の近くのお花
通勤時のいつもの風景

いつもの通勤、30分早く出て、彼女と歩こうかなんて。ささやかな楽しみが、彼女とだったら見つかる。そんな幸せがありました。

※カメラの話です。

「仕事だからしょうがないじゃん」

最近、彼女との会話が減り、ついキツく当たってしまう。彼女との時間は大切にしたいけど、人生のすべてを彼女に捧げるわけにはいかない。

毎日は難しいけど、その代わり休日はちゃんとしたお出かけをしよう。

そう、伝えると安心してくれた。

週末、久しぶりの遠出は天気に恵まれました。数日ぶりに握った彼女の手は、変わらず僕の手にピッタリフィットします。

水族館へ。
ふたりでイルカショーを見ました。

そうだ、この安心感が好きなんだよなあ。

※カメラの話です。

仕事で落ち込むことがあった。自分のことで精一杯、グルグルとネガティブな考えばかり巡らせてしまう僕に、彼女は別の視点を与えてくれました。

つらい通勤路を鮮やかに。怖かったオフィスビルを艷やかに。帰り道の小さな花に、気づかせてくれました。

下を向きがちだった僕に、前を見なと優しく声をかけてくれた。ありがとう。

君がいなかったらモノクロの世界を下ばかり見て歩いていたよ。

夕日はオレンジ色だった。
見つけたときヨシッと思った三角形。
一本路地に入るワクワク。

※カメラの話です。

ふたりで旅に出ることに。2週間の長い旅です。

飛行機、電車、船に乗り、全国をまわりました。北海道で見た初めての雪景色は光がとても強かった。世界遺産の厳島神社は、荘厳な雰囲気につい小声になっちゃって。

岡山では、キレイな星をふたりで見上げました。少し緊張して震えちゃったけど、あの瞬きはこれからもずっと覚えてると思います。

他にも、四国、横浜、名古屋。色んなところにふたりで。ずっと手を握って。

雪が降る中、頑張ってくれた金沢。
苦手な夜景撮影でも頼もしかった横浜。
青色は得意だから任せてと張り切った伊豆。
その大きさに見上げるしかなかった瀬戸大橋。
寒さと小雨の中でもちゃんと写してくれた厳島神社。

※カメラの話です

◇◇◇

最後は駆け落ちみたいな飛び回り方だったので、念押ししておきますが旅行です。カメラを持ったひとり旅です。

正直、旅行で写真を撮りすぎました。観光名所、絶景と言われる場所は、どこをどう切り取ってもキレイに写る。

被写体力が強すぎて。誰が撮っても変わらないんです。それに疲れちゃったのかも。

と同時に、身のまわりを、日常を撮ってたあの頃は、一番肩の力を抜いて写真を撮れていたことを、思い出しました。

つらい時期に写真が助けのひとつになったのも事実です。この恩を返すためにも、誰よりもカメラを使いこなしてやりたい。

何を撮るか、は大した問題じゃないと思う。大切なのはなぜ撮るのか。そして、写真を何に使うのか。

「日常を写真に残すことで、自分の生活を肯定する」

これが、今の自分の写真なのかもしれない。

よし、明日はカメラを持って出かけよう。いつもの商店街に。

- Profile -
1996年1月11日生まれ山羊座O型。求人広告ライター。趣味は写真。人が映らないストリートスナップエッセイ「at あしあと」を更新中。ラムネとグミをいつも食べてる。

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