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"My Way" 好きな3バージョン

フランク・シナトラのオリジナルの My Way は、いまで言えば終活の頑固おやじが、自分の人生振り返ってしみじみ語る歌、なかなか渋い。

マフィアとの関係が噂され、清濁併せ呑みながらハリウッドに君臨してきたシナトラの晩年のヒット曲。(そういうスキャンダルを聞きかじっているから感じるのか)ある種の闇の凄みと、枯れた哀愁があった。どうしても、映画ゴッドファーザーの馬のシーンを思い出してしまう。

枯れてはいても、この声は、華やかかりし時代の映画のサウンドトラックのテーマソングの歌声そのもの。その声は数多くの映画のオープニングを飾ってきた。その声で「いろいろあったが、自分なりに筋通して生きてきたよ、後悔は無い」とか歌われると、おやじ、かっこいいなとしか言いようがない。

シナトラのMy Way(Spotify Link)

実は、My Wayはこのオリジナルのバージョン以外は大嫌いだった。

とくに、日本のおっさんがカラオケで自分の歌唱力に惚れ惚れしながら歌っているのようなのは、できれば殴ってやりたくなるくらい嫌だった。

昭和の後期の時代にサラリーマンやった人にはわかると思うが、カラオケというものがビジネスで避けて通れないものだった時代があった。

バブルの頃、上司に、「よし、飲みに行くぞ」といわれると断れなかったし、よく意味なく、平日の深夜2時、3時まで飲んでいたもんだ。1次会どこかでたべて、2次会、3次会に、上司の行きつけのスナック(もう死語か?)に行き着く。そこには、かならずカラオケがあった。

いたんですよね。My Wayをしみじみ英語で唄うおやじたちが。まあ、彼らなりに高度成長期を突っ走りながら体張って生きてきて、しみじみ思うところもあったんでしょうけど、彼らの歌声にはシナトラの凄みはなかった。サラリーマンの悲哀はあったが。

英語で歌うから、それなりに国際業務やってきたおやじたちが多かったのだが、案外、仕事で外人にあうとヘコヘコ頼りなく、彼らが力強く英語で主張できたのは、I did it my waaaaay のこの歌のエンディングくらいだった。

こちらは密かに、おじさんたちよ、あんたたち語学留学したり3年とか海外赴任してきた国際派なんだろうけど、こっちは若くしてバックパック放浪とかしていろんな国のやつと草の根の国際交流を体張ってやってきたんよ、時代が違うよ、僕らはMy Wayは歌わないよ、とか口に出さず思っていた。口では「よ、さすが課長!英語おじょうず」とか言っていたが。

そんな頃だったか、ふとTVだったかラジオだっかで観て、この曲の固定化されたイメージふっきれたのは、このSex PistolsのSid Viciousが歌うMy Way。

パンクはとくに嫌いでも好きでもなかったが、これは衝撃的によかった。

この堅苦しい古臭い既存の概念を打ち壊すような、アナーキーなMy Way。最初はひたすら馬鹿にしたようなゆっくりした歌い方で始まって、途中から、パンクっぽいズズズズ、ズズズというベースとドラムにのせて歌っていく。不思議に、ふてぶてしく歌う歌声が、このオリジナルの曲の持つ、きれいなメロディーを逆に際立たせている気もした。

Sid ViciousのMy Way(Spotify Link)

そして、「3曲を熱く語る」、最後はこのジプシー・キングスのスペイン語版のMy Way、スペイン語で A Mi Manera (ア・ミ・マネラ)。正確に言うと、原曲の歌詞をそのまま訳したようなスペイン語版はちゃんと別にあって、これは、歌詞の内容がぜんぜん違うやつ。

この歌詞は、振られた恋は戻ってこないので新しい出会いに期待するぞ、という失恋の歌。あまりかっこいい話ではない。でも、かすれた声のジプシー・キングスが歌うと、俺たちはさすらいのジプシーというようなかっこよさがあって、最後、ライ・ラ・ラ・ライ♪~となるのが、ラテンださカッコよくて好きだった。

Gipsy Kingsの A Mi Manera (My Way)(Spotify Link)

#スキな3曲を熱く語る  

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