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『XXI』

ものすごく気になったので衝動買い!
プレイしてみたところ、ほんとうに「XXI型」のゲームでした。

UボートXXI型

連合軍の対潜装備の発展によって追い詰められたドイツ軍が新兵器として開発した潜水艦がUボートXXI型です。洗練された流線形のフォルム、大量の蓄電池、魚雷発射管の増量によって、従来のⅦ型やⅨ型よりも素早く、静かで、火力も高いという夢のUボートでした。

もちろん量産性にも気を使っています。ドイツ国内の各地の工場で船体の部品を作り上げ、それを造船所へ輸送してつなぎ合わせるというブロック工法(バナナの輪切りみたいな)で数十時間で1隻完成を目標にし、大戦末期にもかかわらず118隻を完成させたのです!

しかし、実際に哨戒に出たのは2隻だけで、戦果は何もありません。枢軸軍が大戦末期に計画した多くの兵器と同様に、日々悪化する現実とそれを打開するための理想の板挟みにされ、造船所と海を行ったり来たりするうちに、XXI型は実力を証明することなく伝説になりました。

XXI: The Naval Wonder Weapon 1943-1945

本作はそんなXXI型を主役にしたソリティアゲームです。

ゲームの流れは、内政パートでドイツ国内の工場で作られた部品を造船所に運び込んでXXI型を建造し、戦闘パートでは完成したXXI型を送り出して大西洋の輸送船団を狩るというものです。

勝利条件はXXI型をたくさん作って、大西洋の連合軍輸送船団を壊滅させたら大勝利。デーニッツの夢を実現させましょう。

内政マップ。アルファベットのエリアに部品がポップする。青色のエリア(8,12)が造船所。部品を造船所にもっていけばXXI型が完成。

ルールは非常にシンプルです。内政パートではカップからチットを引いてきて、それをターンのしかるべきタイミングで処理するだけですし、戦闘パートではダイスをジャラジャラ振るだけです。

シンプルなんですが悲哀はとてもよく伝わってきます。たとえば、戦闘パートではⅦ型が大西洋に向かうまでの間で為すすべなく撃沈され、これはXXI型の建造を急がねば…!と思った矢先、次のターンでえっちらおっちら運んできた部品が連合軍の空襲によって1発でおじゃんになったり…。

陸軍の戦況も組み込まれております。これもルールはかなりシンプルで、敵地上軍の数だけダイスを振って6が出たら戦況が1段階悪化するというもの。ドイツ陸軍が追い詰められるにつれて輸送できる部品の数が減っていき、最後の崖っぷちまでいくと、熟練乗組員が陸軍に取られてXXI型の建造どころではなくなります。

辛い!

しかも、その苦労して作り上げたXXI型は大して強くない!
さらに辛い!!

戦闘マップ。ダイス判定を繰り返して船団を攻撃する。

ですが、本作のプレイヤーの目的は単にXXI型を作るだけではなく、十分な数のXXI型を用意して、そして降伏後に西側連合国に自分を高く売ることなのです。

XXI型の建造は2回目から新型が作れるようになります。新型は必要な部品が少なくなり、しかも性能はグッと良くります。最終のdタイプはかなり強く、ダメージを受けることなく連合軍の輸送船団を狩り尽くすことも可能です。

感想

『プレイヤーはシュペーアとデーニッツ2人の役割を担い、ドイツ軍の新型潜水艦XXIを装備する艦隊の編成と完成を目指します。』(小さなウォーゲーム屋さんの商品説明文より)

どんなゲームなのかイメージができなかったんですが、プレイして納得しました。間違いなくこれはXXI型のゲームです。開発の苦労が追体験できます。あと1個で完成ってときに造船所が空襲喰らうのは本当にきつい。

私が一番グッときたポイントは苦労して作った最新式のXXI型がちゃんと強いことです。戦闘システムがシンプルなおかげで、その成長がハッキリと分かります。なかなかの感動。

実際にはXXI型は全く戦局に影響を与えなかったわけですので、もっと内政パートを厳しくして、代わりに敵船団を1回でも襲撃できたら勝利。のような、より歴史的な勝利条件もあるかと思います。ただ、やっぱりせっかくなら作ったものが活躍する姿を見たい!私的には本作の塩梅はかなり好みです。


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