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『ポエニ戦争』のオープニング

ポエニ戦争の序盤戦略についてちょっと考えてみたのでまとめておきます。

この記事で言いたいこと

リスク回避的なカルタゴプレイヤーはセットアップでカルタゴエリアに2個軍団置いたほうが良いかもしれん。

ローマ、自動的勝利の夢

このゲームには自動的勝利条件があります。それは、ゲーム中のいずれかのターン終了時に相手の本国の全てのエリアを支配することです。
ローマはこの点でカルタゴより有利です。なぜなら、アフリカのエリアは3つ、イタリアのエリアは4つだからです。
同じタイミングで自動的勝利を目指して相手本国への上陸を行った場合、1手差でローマが先に勝てます。

さてでは、そのような本陣強襲作戦はどの程度の勝算があるのでしょうか。ネックになるのは城塞エリアであるカルタゴの存在です。

『攻城兵器』を用いた戦闘での勝率

城塞の攻略には「攻城兵器」カードの活用がかかせません。まずは攻城兵器を用いた戦闘での勝率がどの程度か確認しておきましょう。

vs1個軍団の勝率
vs2個軍団の勝率
vs3個軍団の勝率

上図はそれぞれ城塞エリアにいるカルタゴ軍団が受ける損害の確率です。1ラウンド(1回ダイスを振る)終わったあとにカルタゴの軍団がどれだけ残っているかがまとめてあります。
0-0の一番下の行はカルタゴ軍団がいなくなったことを示すので、ここの数字がローマがこの戦闘に勝利する確率です。

4,5回サイコロを振れれば十分に攻略できることが分かります。攻城兵器カードを使うときは複数ラウンドを行えるようにカードとRPを準備しておくのが肝心です。

モデルケース1

セットアップ
カルタゴ:RPによる軍団購入はせず。カードは何か1枚。
ローマ:RPによる軍団購入はせず、ローマに4個軍団配置。カードは攻城兵器と艦隊。

1ターン目

第1インパルス
ローマ:RP使って先手を取る。ローマの4個軍団でティレニア海へ。
カルタゴ:カルタゴへ動員。

第2インパルス
ローマ:ティレニア海からカルタゴへ上陸戦闘。ローマ4個vsカルタゴ1個。RPが2、カードが1枚残っているので最大で4回ラウンドを回せる。カルタゴ攻略成功の確率は96パー。
カルタゴ:どうする……??

以降、戦争が続けばローマがウティカ、レプティス・マグナを占領して自動的勝利。一度、イタリアで動員して増援を送ったほうが良いかもしれません。
続かなくてもカルタゴが2VP、ローマが4VPで第1戦争には勝てます。

モデルケース2

セットアップ
カルタゴ:3RP消費で軍団をカルタゴに1個、パレルモに2個配置。カードは何か1枚。
ローマ:RPによる軍団購入はせず、ローマに4個軍団配置。カードは攻城兵器と艦隊。

1ターン目

第1インパルス
ローマ:RP使って先手を取る。ローマの4個軍団がティレニア海へ。
カルタゴ:カルタゴへ動員(1→2)。

第2インパルス
ローマ:攻城兵器カードで4個軍団がティレニア海からカルタゴへ上陸戦闘。ローマ4個、カルタゴ2個。RPが2、カードが1枚残っているので最大で4ラウンド回せる。カルタゴ攻略成功の確率は75%。(実際にはカルタゴの反撃があるのでもう少し低い…はずだが4ラウンドのうちに3ヒット与えないとローマ側のカルタゴ攻略成功の確率は変わらないので無視できると思う)勝てばモデルケース1と同じこと。負けると「元老院」カードの発動条件を満たしてしまうのでやや面倒くさく、またRPを使い切ってしまっていれば第1戦争で敗北決定なので辛い。
7割で第1戦争には勝てる、うまくいけば自動的勝利も狙える。3割で負けるなら賭けたくなる…よね。

どちらのケースでも、攻略に成功してターンが続けば自動的勝利で「はい、勝ち―」って言える可能性がかなり高いです。ターンが継続できなかったとしても、第1戦争はほぼ勝てると思う。RPを使い切っている場合、ターンが続くかどうかの判断はカルタゴが行いますが自動的敗北の恐怖がそこにあるのにゲームを続けるカルタゴプレイヤーは居ないんじゃなかろうか…。

モデルケース1、2のポイント

セットアップでカルタゴに1個しか軍団が置かれなかったら本陣強襲でたぶん勝てます。75%を外したら泣きましょう。セットアップはカルタゴが先なのでこの運ゲーを先に選んだのは向こうです。

ターラントからの出陣

前回のTSS参加記録に書いてあったターラントに大きな軍団を作って自動的勝利を目指す作戦ですが、これはちょっと無理でした。ローマから出発したほうが早いです。

ローマがこれを行うとき、ターラントに2回動員(2手番)、イオニア海へ移動(1手番)、レプティス・マグナに上陸(1手番)で準備に4手番必要です。
カルタゴはこの4手番で、1手番をパレルモからシラクサへの移動に使ったとしても、残りの3手番でカルタゴに動員できます。
セットアップでカルタゴに軍団を置いていなかったとしても、これで3個軍団の守りになるのでローマのカルタゴ攻略成功の確率は5割を切ります。

ローマには動員を減らして6個か4個軍団で出撃する手もありますが、それならローマから出撃したほうが良いでしょう。ローマからの出撃より1手番だけ多くかかるのが良くない点です。

また、この作戦には根本に解決できない問題があります。それは、ローマがこの作戦を行うのに3枚のカード(独裁官、艦隊、攻城兵器)が必要な点です。
カードが手に入るのはターンの始めだけです。そのためこれらのカードを揃えるためにはターン終了が必要です。
イオニア海へ移動する前か移動したそのときでターンが終われば良いですが、そうでなかった場合かなり厄介な問題が立ち上がってきます。
ローマが次のレプティスマグナに上陸したところでターンが終わると、VPがカルタゴ2点、ローマ3点になり次のターンの先攻をカルタゴが取ることができてしまいます。(RPが残っていれば)
そうなるとカルタゴ攻撃の1手番の前にカルタゴは動員を行ってさらに防御力を高めることができます。こうなるとローマのカルタゴ攻略成功の確率はかなり低くなります。

よって、ローマは最初のターンが終わるまでレプティスマグナに上陸できないわけですが、カルタゴへの攻撃開始が伸びると、当然カルタゴを守る軍団数が増えます。自動的勝利の夢は届かないところへ…。

理想のタイミングでターンが終わっても、カルタゴがインパルスを延長したらそれで終わりなので、自動的勝利の観点からは取るべきではない作戦だと言えます。

しかし、この作戦にはシラクサを狙えるという利点がありますし、レプティス・マグナに居座ってVPの有利を狙うのも良いでしょう。自動的勝利を目指さないのであればターラントからの出陣も十分有力な作戦です。

感想

まだまだ入り口のところですが、オープニングからフルスロットルでぶっ飛ばして自動的勝利を掴み取る可能性を探ってみました。

テンプレかなーと思っていたカルタゴに1、パレルモに3のセットアップが自動的敗北の危険をはらんでいるのは驚きでした。
セットアップでカルタゴに2個軍団を置いておきましょう。

また第2戦争以降でもローマはこの作戦を用いることができます。カルタゴが先にセットアップする戦争の準備のときには、ティレニア海の支配をローマが持っていれば3個軍団、持っていなければ2個軍団をカルタゴに置いておくことが必要でしょう。

自動的勝利が望めないときのローマの一番良い戦略は………これから考えます。なんとなくガリアチザルピナとサルデーニャが鍵のような気がしています。


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