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【山雅】可変するならそれを活かしたい|J3第17節【レビュー】

イングランド・プレミアリーグが好きで全試合観ている戦術オタクによる、松本山雅のレビュー。



2023.7.8
J3 第17節

FC琉球
×
松本山雅FC



監督・選手のコメント↓



~スタメン~

琉球(赤):4-4-2
山雅(白):4-2-3-1


~はじめに~

山雅は開始早々、綺麗に崩して先制することができた。

先制点の流れ

しかし、この得点は、相手のミスによるところが非常に大きい。


まず一つは、DFラインにギャップが生まれてしまっていたということ。

右SB高安が少し前に出過ぎていたことにより、その背後にスペースができていた。

DFラインにギャップがあった。

そのため、滝は裏を狙いやすくなっていた。
しかも、滝に対して、CB柳がついてくるわけでもなかった。

誰も滝についていけない。

結果として滝をフリーにしてしまっていた。


そしてもう一つのミスは、菊井をフリーにしてしまっていたということ。

CB森が、目の前にいる菊井にしっかりついていけず、ただシュートを打たせてしまっていた。

菊井に簡単に振り切られ、フリーにしてしまう。

かなり致命的なミスだったと思う。


些細かもしれないが大きなミスが二つ重なったおかげで、山雅は得点することができた。

逆に言えば、そうでもない限り、なかなか相手の守備を崩して得点できないということでもある。

もしチームがこの得点を成功体験と捉えているとしたら、今後の成長に期待するのは難しい。


~試合結果~

FC琉球   2
84' サダムスレイ  90' 阿部拓馬
松本山雅FC 1
2' 菊井悠介


~可変するならそれを活かしたい~

なかなかボールを動かすということで、中の人間がもっともっとボールを受けなければいけないし、つけなければいけない。「中があるから外がある」とずっと言ってきたんですが、簡単に外に逃げてしまうし中でボールを受けなかったので、しっかりボールを持つ時間が少なかったと思います。

監督

「中の人間がもっともっとボールを受けなければいけないし、つけなければいけない」とあるが、今の山雅ではそれをできない。

理由として一つ挙げるとすれば、ボールを持つCB(あるいはボランチ)と前線の選手たちの距離が離れすぎている、ということ。

出し手と受け手の距離が遠い。

距離が離れている場合、パスはどうしても強くなってしまう。
その場合、パスがズレてしまう可能性があるし、受け手がトラップミスしてしまう可能性も上がる。
そして、離れているということは、単純に考えれば、パスが届くまでの時間も長くなるので、相手MFのスライドも間に合いやすい。

パスが出ても、寄せが間に合う。

つまり、中の選手にパスを出しても、奪われる可能性が高い。
それを選手たちも感じているから、外の選手にしかパスを出せない。
しかし、外に対しても相手SHが狙っているから、寄せられて奪われる。

外へのパスも狙われる。

「中があるから外がある」と言うが、実際のところは、「中がないから外しかない」という状況になってしまっている。


どうすれば中を使えるようになるか、ということを考えていきたい。


3バックに可変する意味

山雅はボランチが下りてきて3バックに可変することが多い。

2枚から3枚になることで、相手の2トップに対して数的優位を作ることができる。

ではなぜ数的優位を作るのか。
3バックに可変するメリットは何か。

その一つとして本来考えられるのは、相手2トップの脇からボールを運んでいくことができる、という点である。

相手FWの脇からドリブルで前進。


山雅の3バック

「相手2トップの脇からボールを運んでいくことができる」というメリットを、山雅は享受することができていない。

そのようなシーンはほぼ皆無と言ってもいい。

なぜなら、山雅の3バックは幅を取らずに、中央に固まりがちだからである。

幅を取らないから、3バックの左右の選手が運ぼうにも、相手FWに容易に止められてしまう。

幅を取らないと、前進できない。

そして、仮に幅を取れている場合でも、簡単にボールを運べるわけではない。
当然、相手FWが横にスライドして止めにくる。

幅を取るだけでは前進できない。

だから工夫が必要だ。

具体的には、相手FWを左右どちらかに釣り出す、ということである。

例えば、常田がボールを持っている場合。
常田がすぐにパスを出さずに、なるべくボールを持ち続けるようにする。

そうすると、(相手の守り方にもよるが、基本的には)FWが常田の方に寄ってくる。

常田がボールを持ち続ける限り、相手FWは寄ってくる。

FWを十分釣り出したタイミングで、逆サイドの野々村へボールを渡す。
この状態なら、野々村はFWに止められることなく、ドリブルで運んでいける。

相手FWに止められることなく、ドリブルで運べる。

このように相手FWを釣り出すというプレーをできるのが理想なのだが、山雅のCBたちはこれができない。

常田も野々村も橋内も、ボールがあたかも時限爆弾であるかのように、焦って味方にパスをしてしまう。
だからボールを運んでいくことができない。

常田が相手FWを釣り出せなければ、前進できない。

とにかくテンポよく繋いでいくことが大事だ、という考えになってしまっているのかもしれない。


改善できた場合

3バックの左右から運んでいくことができるようになった場合。

運んでいくことで、前線の選手との距離が近くなる。

前進できれば、出し手と受け手の距離が近くなる。

近くなれば、無理に強いパスを出す必要はなくなり、丁寧なショートパスを出すことができる。

また、近いということは、その分相手はあらかじめ受け手となりそうな選手に寄っておく必要が出てくる。

相手はあらかじめ受け手の選手に近づいておかなければいけなくなる。

そうなれば、他の選択肢が生まれてくる。

相手が動いたことで、新たな選択肢が生まれる。

「中があるから外がある」というのはこういうことだと、自分は思う。


「中があるから外がある」と監督は言うけど、後ろの選手たちはなかなか幅を取れないし、相手FWを釣り出すということもできない。

これらをチームに落とし込んでいないような気がする。
落とし込んでいるなら、できないにしても、できないなりにもう少しやろうとするはずである。


~終わりに~

三笘薫が所属するブライトンでは、CBがギリギリまでボールを持って相手FWを釣り出す、というのを徹底している。

それだけ、ビルドアップにおいては重要なプレーだということである。


最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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