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世界の森と文明

割引あり

世界の森林は高緯度地方と低緯度地方に多く、中緯度で森林の発達する地域は少ない。インド東部からインドシナ半島北部を経て中国から日本・朝鮮半島・沿海州に至る地域と、地中海の北のフランスからユーゴスラビア辺りの地域、そして北米大陸東部の地域だ。文明が発達したのも、これらの地域と、乾燥地帯の中でも大河が流れて水を確保できる地域であったことから見ても、文明の発達に適した地域というのは、限られていたということがわかる。

弥生人の祖先はバイカル湖畔か遼河のあたりに住んでいたと思われるがその地域ももちろん森林の発達する地域だ。日本に伝わった餅、納豆、こんにゃくなどは、中国南部の雲南省あたりからの照葉樹林文化の要素である。養蚕も桑の木を必要とするのであるから、森の成立する気候から伝わってきたのだろう。茶や梅もそうだ。

世界の地表のうち、森林の占める面積は3割程度らしい。しかもそのうちの多くは寒帯か熱帯の森であり、日本のように温帯の森が成立する気候は貴重なのだということが言えるだろう。

普段目にするような世界地図では、その国の地形や植生は示されておらず、単に広さだけで考えてしまうことが多いと思う。そんなときに、この森林分布の図を思い出してみると、世界の歴史の見え方や現在の状況の見え方も変わってくるだろう。温帯地域の森の成立する気候を中心に農業生産量が増え、文明が発展した。そのうえで、この発展した文明の力により他の地域を征服し、農地や工場を作って世界を支配したのがヨーロッパだったということになるのだろう。

日本について考えると、ヨーロッパなどに比べて緯度が低く、降水量も多いことから、森もよく発達したのだと思う。だから日本は木の文化、森の文化ということもできる。神は乾燥地の生んだ一神教の神ではなく、植物の命に囲まれた生活が生んだ八百万の神である。

森を切り開いて設置されるメガソーラーなんて許せませんよね。

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