2023/09/29 スリル・ミー 松岡×山崎ペア 感想備忘録(原液)


今年、今日までに鑑賞したスリル・ミーの感想記事

まえがき

 前回(2023/9/20)の記事の反省(出すのに時間がめちゃくちゃかかった結果、これってほんとに見たときままの感想か…?と疑心暗鬼になったこと)から、今回は取り敢えずその時思ったことのメモをそのままここに写してお出ししようと思います。
 例によってネタバレ満載ですのでご了承ください。また、当たり前ですがこれはあくまで個人の感想であることご留意の上、お読みください。
 尚、今回の記事は、今まで観劇したスリル・ミーの別回との比較がそれなりに含まれておりましたので、そういうのが苦手な方は読み飛ばす、または読まないなどの選択を取ってくださいますと幸いです。

スリル・ミー歴(前提)

① 2021(日付失念)の松岡×山崎ペア
② 2023/9/17の尾上×廣瀬ペア
③ 2023/9/20の松岡×山崎ペア
④ 2023/9/29の松岡×山崎ペア←今回はこれ

以下、観劇後書き連ねた感想の原液

  • 2021年に自分が見た松岡×山崎ペアからの正当進化(深化)版に見えた。

  • 彼がめちゃくちゃ強くなってて(2023/9/20比)、もちろん今日も強い私に対等に渡り合い、冷笑し、食い合っているように見えた。

  • 3回目にして初めて幼さを感じない山崎さん演じる彼を見た。感動した。父や弟の影響を彼の意識の及ぶ範囲では絶対に表に見せたくないような彼に見えた。

  • 今回は間違いなく、私は彼を必死に止めようとしていたように見えた。

  • 本当に本気で止めようとしてそれを実践するもやはり彼は止まらなくて、ズルズルと止めることができないまま一連の事が起こってしまったように見えた。

  • そのあまりの真摯さと自然さに、それまでは「今回の私は眼鏡を偶然落としてしまったのではないか?」と思ったが、脅迫状のシーンで「完璧だ」と私がいったときにやっぱこの人はわざと眼鏡おいてきたなと確信した。

  • おどけて見せてるときほど私は冷静なようにみえた。

  • 2人とも冷静で、幼いまだ子どもである19歳というより、分別がついているはずのほぼ大人である19歳というように見えた(「成長途中の子ども」というより「大人(ただし実は足りてない部分もある」みたいな)。

  • 『スリル・ミー』で抱きしめて欲しいと言ったときの私は、その瞬間だけ想いと実感が溢れすぎて今当に供述している53歳に戻ったように見え、そう聞こえた。

  • 『スリル・ミー』の両者のぶつかりあいはものすごかった。私は、内に溢れる激情をどうにか飼いならしながら、当たり前のことをなぜ履行しない?と論理立てて容赦なく詰めていくようで、そして時折、曲の序中盤、彼に迫って胸ぐらを掴むところは私が確かに常に持ちながらもいつもはうまく隠せている本性の一つが彼を喰らい尽くすほどに見え、圧倒された。

  • 『僕はわかってる』でやはり私は彼にとって特別なことは当たり前で、そうだろう?と彼に語りかけていて、そう願っていると言うより、「そうであることはこのように明らかだっていうのに、君もそれがわかってるだろうに、そして君が僕を必要としてること、大切にしていることすら僕にはわかってるのに、どうして君はそうつれないんだい?」とそんな気持ちで歌い上げているように、最後の確信めいた余裕をもった不思議そうな微笑みも相まって、そう言っているように見えた。

  • 彼から私への親愛の情は2021年のときのように余り見えなかった。

  • 今回は彼からの父、弟への歪み恨みつらみは薄味に見えた。

  • 今日の彼はあまりに身勝手で、理性的に罪を犯していてそれで自分の愉しみ、スリルのために他者を踏みにじっているようにみえて、途中途中、共犯者の私すらも確かに冷笑して彼が認めた私だからこそしっかり組み合い常にマウントを取ろうとしているように見えて、そして、そこからの落差もあり、最後の『死にたくない』の彼なんて最高に惨めでかっこわるくって(めちゃくちゃ褒めてます)、2021の原点回帰といった感じで、それでいて表現力とか歌唱力とか説得力とか魅力とか所作とかがしっかりパワーアップしてて本当に最高で最高に最高で最高だった。

  • 今日は耽美さ、色気といった部分はだいぶ控えめだったように感じられた、過去一控えめだったように思った。その分私と彼との駆け引き、ぶつかりあい、いかに私が彼を止めようとするか、彼は私を思い通りに扱ってスリルを味わうかのバチバチヒリヒリとしたやり取りに集中でき、固唾を呑んで見守ることができた。

  • 誘拐殺人後、私は、いかに彼とそして観客を、「巻き込まれた共犯者以外の何者にも見えないよう、自分に意図など何もないように欺くか」に終始し実行していたようにみえた。絶対彼にも、そして初見の人にもそう見えていて成し遂げただろうと思った。凄かった。

  • 53歳になって供述してる私も、19歳の回想中の私から、中身は何も変わっていないように見えた。

  • 53歳の供述の時、子どもを殺したことについて私は、その事実を認め、それが悲惨なことで自分がそれをやった、悪いことをしたと認識自体はしていそうだが、肝心な部分での反省とか後悔はしていないし、する気もなさそうに見えた。

  • 判決がくだされた際、「自由?」と繰り返し声を発した時、また、そのあと釈放される際の表情は、自由になることを、そして、彼といた場所から離れることを恐れているように見えた。

  • フィナーレで、彼の「レイ」と呼びかける声は、劇中の中でも一番優しかったように見えたし、表情も穏やかで優しいものに見えた。

  • フィナーレで暗転する前、最後に「スリル・ミー」と呟いたあとの私の満足げな表情がとても印象的だった。ようやく欲しかった彼が手に入ったという満足の笑み?どうだろ。

  • 私も彼も各所でセリフのように歌うのがとても新鮮で聴き応え見ごたえがあった。まさに彼らの過去あった事実を覗き見しているような、そんな彼らの自然さ、日常の一部感があった。

  • 私が自白する前の、『戻れない道(リプライズ)』の口ずさむようで声色や歌い方は、どこか少し楽しそうにさえ見えて、不穏で心ここにあらずなように見えていろんな考え感情が内部で渦巻いているようで、歌声は静かなのに非常に素晴らしかった。

  • 今回は色気は抑えめと先述したが、スリル・ミー歌う時の私に関してはそんなことはなかった。だけど今日はまだ彼へ叩きつける欲を制御できてたようにみえた(2023/9/20比)。とはいえあれがあまりにもヤバすぎただけで、今回もしっかりめちゃくちゃ劣情とか征服欲とかそういうものは感じた。愛って怖いね。

  • 自分に対して、なんというか、基本的に人とは(というか私は)物事を相対的に観て思考・思案することしかできないんだなあと思った。

  • 2023/9/20の回はやっぱ特殊だったんじゃね?って思った。

  • 2年ぶりに新鮮にど外道クソ野郎の彼(褒めてます)に会えて嬉しかった、2023/9/20の彼はあまりにかわい子ちゃんだったので。それはそれでまじで見れてよかった。

  • というか、9/20と今日の公演の両方、更に言うなら2021年のスリル・ミーを見れたこと、まじで嬉しすぎるし素晴らしすぎるなと思った。

  • 9/20はどうしておめーらあんないい感じだったのにこんな酷い惨劇起こしちまったんだよ!と嗚咽し咽ぶ感じで、全然ワンチャンジュブナイルへの道があったんじゃないかと別の可能性を思ってしまうようなところがあったけど、今回はうめき声とともに起こったことをしっかり見据えたうえで、起きたことを認めざるを得ない、どこからどうやってやり直せばいいかわからずにそれこそどこで道に迷ったかわからんがこれは誰かに止められる代物ではなかった(諦念)、そんな感じの劇後感覚だった。

  • 私は、様々なやり取りの中、どうしようもなく彼の言動が止められないことが私の賢さと彼への愛からくる観察力、経験からわかってしまっているように見えた。

  • 2023/9/17の回で見た松也さんの私は、こっちをみて!って感じだけど、9/20も今回も、松岡さんの私は生々しく、すべての意味で一つになりたいという印象を持った。様々な欲を感じる。賢い人ってやっぱめちゃくちゃ欲深いんだなみたいな(偏見)。

  • 今更なんだけど山崎さんも松岡さんもラジオやニコニコチャンネルで見せる演じてない姿を劇中ミリも感じさせなくて、本当に凄いなと感動した。劇中その姿を脳内に過ぎらせることを許さないほど、そこに完全に別人の私と彼が生きていた。素晴らしかった。

  • 今回改めて気づいたんだけど、松岡さん演じる私は今までみた三回全部どの回においても、火に灯油かける時、まじで気が進んでないし、一刻も早くこんなとこから立ち去りたいと、そして、火をつける行為をバカバカしいと思ってそうだなと思った。

  • また、少なくとも今回に関しては、盗みを働いた時も、人を殺すとなったときも(それこそ「バカバカしくて」の声色がガチだった、)本当に仕方なく手を貸してるんだなと感じた。

  • 『99年』で今まで真相に気づかなかった彼に苦笑交じりに真実を語る松岡さんとても良かった、煽ってる感じはなかったけど、嘲ると言うか憐れんでるというか、ほんとにわからなかったの?、みたいな、前半の少しおどけて話す私の延長線上に間違いなく目の間のとんでもない計画をやり遂げた私がいることを実感できて身震いした。

  • 本当にこの回見に来れてよかったと思った。舞台は生き物?生物?であるということを心から実感できて、本当によかった。

  • 今回はしっかり私と彼に対してフラットに見れたように思えた(ちょっと9/20は彼寄りの目線で見すぎた気がしたので)。ちゃんと新鮮に私と彼に対して新鮮に怒りや恐怖、不理解といった感情を持てたので、ちょっと安心した。

あとがき

 今回のスリル・ミー観劇で、しっかりちゃんと網膜と耳と脳に焼き付けることができて飢えが少しは治まりそうでよかったと思ったけど、やっぱり歌い方とか歌声とかがどうしても今この瞬間も抜け落ちていってて、どうにかCDでないか…?Blu-rayも…たのむ…どうか…たのむ…と早速またゾンビに逆戻りしてます。なんとかならんか。アンケートは毎回出して毎回言及してる。なんとかならんのか。
 ほんとは今年の別のペアももっと見たかったのだけど、いかんせんチケットとのご縁が結ばれなかった以上は仕方がないので、ここはやはりなんとか配信していただけないか…?とこちらについても呻いている、そんな感じです。
 こんなに一つの劇に対して短い期間中になんども足を運ぶということをしたのは、スリル・ミーが初めてで、それくらい引力と魅力の詰まった素晴らしい作品だなと心から思います。
 見終わってからも、他のことが手につかずいても経ってもいられない、熱に浮かされるような体気持ちのまま長文書き連ねたり、観劇するためにちゃんと色々頑張ろうと活力が湧いてきたりと、大変私事がすぎるあれですが、恩人のような作品なんだなあと今書いてて気づきました。
 これからも末長く何度でも愛され、再演されることを心から強く望みますし、また絶対観に行ったり、他の方の感想を読んだりしたいなと思いました。
 ここまでこの記事をお読みいただき、ありがとうございました。

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