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海外ラグビー情報(7/3版)

海外ラグビー情報7月3日版です。

○各国代表スコッド発表

・イングランド代表スコッド更新

衝撃のニュースが舞い込んだ。なんと世界最高のNo.8の1人であるザック・マーサー(モンペリエ→グロスター)がイングランド代表のワールドカップに向けたトレーニングスコッドから外れたのである。ダイナミックなキャリー、バックス顔負けのランニングセンスでフランスのラグビーファンを沸かせた彼の落選はSNSでも大きく議論されており、この件に関する注目度の高さが伺える。世界的に見ても現在彼より優れたNo.8を探す方が難しく、ボースウィックのこの選択が今後のイングランドにどのような影響を及ぼすかが注目される。

既にリリースされていたウィル・ジョセフ(ロンドン・アイリッシュ→ハーレクインズ)とべノ・オバノ(バース)の2名に加え、トム・ダン(バース)、ミッチェル(ノーサンプトン)らの9名も各所属クラブへとリリースされることになった。

得点力アップが課題のイングランド。アタックにおける万能さ(とりわけそのトライアシストの多さ)が光るミッチェルのテンポは、今年のシックスネーションズにおける平均ラックスピードが6カ国で最も遅かったイングランドのアタックを一気に加速させることが期待されたがまさかの落選。今年のシックスネーションズではファンポーフリー(レスター)の分配は決して効果的とは言えない場面が目立ったが、それでもボースウィックは2人のベテランとファンポーフリーにこだわった。

その他プレミアシップで素晴らしいパフォーマンスを見せたウォーやローバック(ともにセール)などの名前は挙がらなかったが、プレミアシップファイナルでも活躍したスィオ・ダン(サラセンズ)が選ばれるなど楽しみな選考も。2015年のランカスター(レンスター→ラシン92)のように多くの若手にチャンスが与えられるのは非常に素晴らしいことである。

リハビリ組(チェザム、ウォーカー、ローレンス、マコ・ヴニポラ)は引き続きキャンプに帯同し復帰を目指す。また、ビリー・ヴニポラ(サラセンズ)は膝の手術を受けたがワールドカップには間に合う予定である。

なおワールドカップでは2大会連続でオーウェン・ファレルがキャプテンを務めることも発表されている。

ワールドカップに臨むスコッド33名は8月7日に発表予定。

※ザック・マーサーはスコットランド代表、ニュージーランド代表資格も持っており、もしかしたらが有り得るかもしれない。

・ウェールズ代表スコッド更新

ウェールズ代表ヘッドコーチのウォーレン・ガットランドがラグビーワールドカップに向けたトレーニングスコッドを更新し、47名がワールドカップへの望みを繋いだ。

ケン・オーウェンズ(スカーレッツ)、ジョシュ・マクラウド(スカーレッツ)、ウィル・デーヴィス=キング(カーディフ)の3名が怪我のためにトレーニングスコッドから外れ、オスプリーズのサム・パリーがスコッドに加わった。

今回リリースされた3名はワールドカップスコッド33名には入らない見込みだが、怪我のカバーとしてのワールドカップ出場の可能性は残している。

シックスネーションズでもキャプテンを務めたオーウェンズのリリースの影響は非常に大きく、次のリーダーシップグループの選定も重要な課題となる。ガットランドは共同キャプテンも選択肢の一つであると発言しており、新キャプテンはダン・ビガー(トゥーロン)、デウィ・レイク(オスプリーズ)、アダム・ビアード(オスプリーズ)などの候補から33名のスコッドと同時に発表される予定。

・フィジー代表スコッド更新

フィジー代表ヘッドコーチのサイモン・ライワルイがワールドカップに向けたトレーニングスコッド39名を発表した。前回発表されたスコッドからは6名が外れ、ビックネームを中心に強力なスコッドに仕上がっている。

今回のスコッド39名のうち18名はフィジアン・ドゥルアから選出されており、フィジー国内の才能のある選手の強化、とりわけ代表との架け橋になるという点でドゥルアの目的が達せられた形となった。

最大の注目点はワールドカップに向けては誰が10番を着けるかということ。経験豊富なヴォラヴォラ(ラシン)、テラ(ドゥルア)の2人が有力候補ではあるが、今シーズン、ヴォラヴォラはまとまったゲームタイムが確保できておらず、ウォームアップマッチでの仕上がりが非常に気になるところ。一方のテラはドゥルアのフライハーフのファーストチョイスとして多くのゲームタイムを確保出来ており、ゲーム勘という点ではテラに軍配が上がりそうだ。若手のマンツ(ドゥルア)がどこまで状態を上げることができるかにも注目したい。

その他注目選手はレヴァニ・ボティア(ロシェル)。バックロー、センターのハイブリッドである彼は今や世界最高の選手の1人。特にブレイクダウンでの貢献度が非常に高く、劣勢の場面でもターンオーバーを連発するなどゲームの流れを大きく変えることが出来る。

ワールドクラスの選手だけでなく東京オリンピックセブンズのゴールドメダリストも複数スコッド入りしているフィジー。潜在能力が世界トップクラスなのは間違いないが、パフォーマンスに一貫性のあるハーフバックがそのタレントたちを活かすことが出来るかどうかに全てはかかっている。

○その他最新情報

○ロンドン・アイリッシュ移籍情報

  • 東京オリンピックセブンズ銅メダリストでアルゼンチン代表のルスィオ・スィンティはサラセンズへ。

  • ラシン92がヘンリー・アランデルとの契約を正式に発表。トゥールーズとの契約を延長したジャック・ウィリスとともにワールドカップ後も代表資格が認められるかどうかが気になるところ(ウィリスは今年のワールドカップまでは認められている)。

  • スコットランド代表のベン・ホワイトはトゥーロンへ。

○タイネ・プラムトゥリーがスカーレッツへと移籍。ウェールズ代表資格も持っている期待の選手。

○SANZAARの危険行為再調査委員会はスーパーラグビーパシフィックファイナルでの危険なタックルによりイエローカードを提示されていたチーフスのアントン・レイナート=ブラウンに対する処分を見直し、レッドカード相当の3週間の出場停止へと格上げした。これによりレイナート=ブラウンはザ・ラグビー・チャンピオンシップ最初の2試合に出場することは出来ないが、ワールドラグビーのコーチング・インターベンションプログラムを修了した場合のみ7月29日のワラビーズ戦にも出場可能となる。

○オスプリーズとの合併が噂されているカーディフが「今後もカーディフラグビーは続く」と声明を発表。

○南アフリカ代表のハンドレ・ポラード(レスター)がふくらはぎの怪我のためTRC欠場へ。一方、ダミアン・ヴィレムサ(ストーマーズ)は開幕節のオーストラリア代表戦に間に合う見込み。ストーマーズで素晴らしいパフォーマンスを見せたマニー・リボックとのポジション争いに注目。

○ビイ・アロがラシン92からイーリングへと移籍。補強を進めるイーリングは既にウェールズ代表のロイド・ウィリアムズ、元イングランド代表のビリー・トゥウェルブトゥリーズの加入を発表している。

○元ニュージーランド代表のマット・プロクターがレベルズへ移籍。ノーサンプトンでチームメイトのルーカン・サラカイア=ロトと再び同じチームに。

○オールブラックスXVにも選出されているジャック・グッドヒューがカストルへ移籍。

○スコットランド代表キャップも持つエディンバラのヤコ・ファンデルヴァルトがブルズへと移籍。

○セルジール・ピーターセンがリーグワンからブルズへと移籍。

○今季スーパーラグビーを制したクルセイダーズがインターナショナルツアーとしてマンスター、ブリストルとの試合を来年2月に行うことを発表。昨シーズン(2022/23)のURCを制覇したマンスター、大きく選手が入れ替わることが予想されるブリストルとの対決は非常に楽しみである。

○チャンピオンズカップファイナルの終了後にレフェリーのヤコ・ペイパーに対して好ましくない発言をしたとの疑いのあるジョニー・セクストン(レンスター)が7月13日に開かれるEPCRの懲罰委員会の公聴会に召喚された。発言が悪質と認められて出場停止処分を受けた場合、その期間によってはワールドカップに出場できない可能性も。

○SANZAARとシックスネーションズラグビーが2026年から新たな国際大会を開始するとの声明を発表。新国際大会には12カ国が参加予定で、シックスネーションズ側の6カ国とSANZAAR側の4カ国が参加見込み。残りの2枠はSANZAARが選考した2カ国が招待国として参加権を得る。大会はワールドカップとB&Iライオンズ遠征が行われる年を除いた隔年開催となる予定。2030年からはワールドラグビー主導のティア2の大会が開催され、トップティアとの昇降格も可能となる。

○元オールブラックスでサモア代表のトレーニングスコッドにも招集されているリヨンを退団したリマ・ソポアンガがリーグワンへ移籍。

○今年2月にフィジー代表のヘッドコーチを退任していたヴァーン・コッターが来季からブルーズのヘッドコーチに就任へ。アシスタントにはジェイソン・オハロランが加わる。


次回
現在開催中のワールドラグビーU20チャンピオンシップで気になった選手について特集します。長身フライハーフ、強力タイトヘッドなど楽しみな選手がいっぱいです。

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