『計画書』を読んで

推敲する前の、支離滅裂な感想文を置いておきます。1425字あります。完成版は、ご本人に宛ててファンレターとして送りました。

拝啓
色とりどりの花が咲く早春の侯となってまいりましたが、いかがお過ごしでしょうか。
この度は『計画書』重版決定、誠におめでとうございます!そして、『計画書』発売に際して開催されました3月初頭のお渡し会では、わずかな時間ながらお話させて頂きありがとうございました!頂いたサイン本とツーショット写真は、いずれも大切な宝物です。
さて、今回、お手紙を送らせて頂いたのは、『計画書』を読んでの感想を申し上げたいと考えたからです。読後のこの気持ちを140字程度で正確に伝えることは不可能だと思い、こうして筆を執らせて頂いた次第です。
まず、読み終えて真っ先に、「考えたいことがたくさんあるな〜!」と思いました。文中では書かれていなかったのか、はたまた私が単に見落としてしまっただけなのか、結局明かされないままだった謎が多く、すごくもどかしいのに、残りページはもうなくなっている、というのはこれまでに経験したことのない読後感でした(ミステリの読みすぎかもしれませんが)。私は特に、「計画書」の中の物語、それを読む金崎と若松の物語、そして私たちが手にする『計画書』の物語という幾重にも重なるメタ構造についてよく考えてみているのですが、「あれほど強調されているのなら、絶対に何かあるはず…!」と思ってはいるものの、納得する答えにたどり着けずにいます。このように、想像をこれでもかと掻き立てられるのは、我々の普遍と重なる要素を数多く抱えながらも、それ以上踏み込めない不可解を突きつけてくる物語たち、そしてそれらを0から構築したコウイチさんに翻弄されているようでとても面白い感覚でした。
また、これはご本人に宛てて書くようなことではないのかもしれませんが、無礼を承知で正直に書かせていただくと、読み始めるまで、私は「コウイチtvの視聴者」である以上、決して純粋に『計画書』を楽しめないのではないか、という懸念がありました。小説というジャンルに分類されているからには、本に記された情報以外を用いて小説世界を構築するのは好ましくないはずなのに、私は無意識に本文中から普段の動画の要素を探してしまうのではないか、と考えていたのです。しかしその不安は第一話にして杞憂であると分かりました。動画「田舎自慢がすごい奴」と重なる描写が、あくまで小ネタ的にあったことで、視聴者であることはこの物語の前では全く無意味であることがわかって、もやが晴れたような気持ちになりました。本当に失礼な話である上に、作品鑑賞が下手で、申し訳ありません…
そして、ラジオに出演された際にお話されていたように、コウイチさんが執筆にあたり、小説という舞台を“費用のかからない表現の場”と捉えていることが、個人的にはかなり新鮮な視点で、面白いなと感じています。『計画書』の中で、私が最も好きな一文は「水ってあんなに硬かったんだな。」だったのですが、この文における冷淡さとおぞましさの併存には、そのような価値観が大きく関わっているのかもしれないな、と勝手ながら思っています。なるだけ伝えんとしてもまだまだ考え足りない、書き足りないほどに謎多き『計画書』ですが、それゆえにとても魅力的な物語であると感じました!
これまで、伝えたかったことを一挙に書いてしまったため、冗漫かつ読みにくい文章になっているかと存じます。乱文・乱筆をどうぞお許しください。
これからのコウイチさんの多岐にわたるご活躍を心よりお祈り申し上げます!
敬具
涙風

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