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グラス

 「心の中のアルコールランプを灯すためのヴィンテージワイン」という歌詞が、Mr.Childrenの「十二月のセントラルパークブルース」にある。快い歌詞だと思う。そして、親に隠して燻らしておくことも、親しき誰かに打ち明けることも叶わない靄は、もしやお酒を燃料にしたら何かを照らすことが出来るのだろうか、とも思う。

 誕生日のお祝いメッセージに「19歳って微妙な歳よな」と添えてきた友人がいる。それを反芻してにやけるとともに、彼女が言ってのけたことは真である、と今更ながら感じる。
 私は、自分が見た景色を、彼女のようにそっくりそのまま相手に伝えることなんてできない。そのための観察眼も、度胸もない。彼女にあって私にないものなど山ほどあるのに。その逆はどうなのだろう。欲しがりなだけだろうか。

 私には、缶に入っている、混濁した「クリームソーダ」を許すことができない。あれこそが媚びであると否定したくなる。透き通った彩りと差し込まれた鮮やかさに照らされて、自分の空洞に気づく人生である。


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