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フンぺリムセ

遠い昔、アイヌの人々は日々の糧は神々が届けてくれるものと信じられていました。肉、魚、果実すべてそうです。

神々は山や里に実りを施し、魚や獣に化身して人々へ糧をもたらします。上からの届け物に感謝し、神自身(魂)を返すために祈りの儀式は大切でした。

自然と一体し、神々に生かされているので農耕の概念はなかったそうです。

釧路市音別と白糠町にまたがるパシクルという地域に暮らしていた人々は、カラス(パシクル)に導かれて海からこの地へ移り住んだコタン(村)があったそうです。

ちなみに不吉な象徴や意地悪者として忌み嫌われるカラスですが、アイヌの人々の考えでは「上等の黒服を着た神」とされています。

ある時期、一帯が大変な不猟続きとなって人々は飢餓に陥り神々に祈りました。やがて大きな鯨(フンペあるいはフンベ)が浜に打ち上げられコタンに暮らす人々は喜びのあまり即興で舞い踊り神に感謝したといいます。

それが「フンぺリムセ(鯨踊り)」の起こり言われ、郷土芸能(国指定重要無形民俗文化財・アイヌ古式舞踊)として受け継がれています。
このパシクルという地区が、映画「トラック野郎」の舞台になっていると聞いてDVDを借りて見たらタイヤを冷やすワンシーンだけでがっかりしました。

このフンペリムセ発祥の地であるコタン跡の丘には発祥の地を記念する碑が建立されています。

でも、鯨というよりナメクジに見えてゾワゾワするため、あまり近寄れません。


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