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健康×アート×社会

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健康とアート、社会の関わりについて執筆した記事をまとめています
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記事一覧

大阪府豊中市のインクルーシブ教育。南桜塚小学校訪問レポート【シリーズ全4回】

4月! ご卒業、ご入学、進学、新生活、みんなまとめて心機一転おめでとうございます。私はようやく毎日の送迎地獄から解放されました。ひゃっほい。と思ったら、登校5日ですでに学校がつまらないと言い出した末っ子と格闘する日々。なんかデジャブだな… まあいいや。 そんなわけで、私もご多分に漏れず4月からの新しい生活をめでたく開始し、なんとか息をしています。そして、それがね。うれしありがたいことに、新生活で出会った何人かの方がこちらのnoteを読んでくださっていると!びっくらぽんな事実

ダンス事始め日記 Ⅰ 「無くてはならない異物の存在」

前回書いたような経緯により、有志でコンテンポラリーダンスを続けよう!と始まった<das Leben ist der Tanz>。長いし発音できる気がしないので、以後、レベタンと略します。(さっそくかっこよさを脱落して実用化…) レベタン第一回は、講師の栄ちゃんが住む望月の公民館をお借りして実施した。久しぶりに集まったメンバーは4人。もともとダンスと近いところにいるカーコさんはいつも通りしなやかそうだったけれど、年末小指を骨折していたアイちゃん、いつもぽわんとしていて独特の世

ダンス事始め日記 序章

最初に出会ったダンスの記憶学生時代ガリ勉だった私には、読書以外のアートや文化的ななにかが入る隙間は殆どなかった。 でも、本当はずっと憧れていた。 ダンスにも、音楽にも、演劇にも、絵画にも。 ガリ勉が実を結んで大学に入学したはいいものの、居心地が悪くなって大学の外で仲良くなったのは、いつも大きなつばの帽子をかぶって指より大きな指輪をしていた絵描きの卵、空の写真ばかり撮っていた写真家の卵、四六時中音楽の中で生きているDJの卵、猫と女の子の絵と本人そのものがかわいいイラストレー

当たり前の、ウラガワで

朝起きると、ブリキ缶のようにベコベコと音がした。 ような気がした。 疲れているのかもしれない。 あわててここ数日を振り返る。 少し前に、普段海外に住んでいる夫と次女が急に帰国して、10日ほど滞在した。滞在中、夫は私に代わってせっせと料理をし、家事も分担してくれた。分担というか、リモートワークをしながらほとんどの家事を夫が担って私はぐーたら。 それなのに疲れてるとかそんなわけあるかい、と思うでしょう。私だって思った。だから心がベコベコしてることに気づいた朝、何度も自分にツッ

「いや、血ぃ、出てるよ? なんで痛がったらあかんねん」

2023年1月クール、「ブラッシュアップライフ」というドラマが話題になった。 主人公がよりよいものに生まれ変わるために人生を生き直すことでブラッシュアップし、徳を積むという話。主人公の職業は、最初は市役所職員だったのが、2周目の人生では薬剤師になり、3周目はテレビ局員、4周目は医者、そして5周目は…と物語が展開していく。 この「ブラッシュアップライフ」をみて、私ははて、と考えた。 人生ブラッシュアップしてやり直せるとしたら、私は一体何をどうブラッシュアップするだろうか。そ

私は謝辞を「読む」のをやめた 〜小学校卒業式謝辞全文公開〜

長男が小学校を卒業した。 年子の気の強い妹に、重心児で手がかかる下の妹、そして甘えん坊の次男。4きょうだいの一番上として、たくさんの複雑な思いを飲み込んできたであろう長男。 4年前、当時インドで通っていた学校に突如として絶対に行かないと言い出した長男。 その後母と息子の二人旅を経て、自分で自分の進む道を選択し、歩みだしたと思った途端、新型コロナによるロックダウンが始まり、切れるナイフと化した長男。 3年前、半年以上のロックダウン生活から逃げるように帰国した日本で、「ゲ

長女のピアスとルパンの思い出

「ピアスあけてけてみよっかな」 8歳の長女がある日言い出した。 「いいじゃん、この前アラハバードからうちに来たFちゃん(20歳)はインド人の友達に安全ピンでプスッて開けてもらったらしいよ」 「えー安全ピンで?それはちょっと・・・!」 フラフラしていて気まぐれで内向的な長男にかわって、率先して下の子達の面倒を見る長女。社交的で友達も多く、誰とでも仲良くする。 ふだんあまり話題にあがらないので、特に問題のない子なのだろうとお察しのみなさま、ご安心ください。実はちゃんとそ

運命の本を携えて、そこらじゅうでダンスを踊ろう。

9月下旬のその日、下北沢にはどしゃぶりの雨が降った。 うるんだ目をした若者たちが何人もびしょびしょに濡れながら慌てて駅の構内に駆け込んでくるのを見て、にぎやかでカラフルだな、と嬉しくなった。 学生時代、毎日のように通っていた下北沢だけれど、15年ぶりに訪れた私は完全に浦島太郎状態。毎日のように通っていたのは南口のマクドナルドでアルバイトをしていたからで、それを選んだのは、この街のカラフルな空気が一番感じられそうな場所だったから。モノクロームな私の世界に少しでもこの街のカラフ

できないことや意味のないことを排除しない社会を目指したい

※この記事は、2022年10月24日にFacebookに投稿した内容をもとに再編集したものです。 誰かにとって価値のある自分でいたかった10代中学高校時代、本当は最初、純粋に勉強が楽しいと思っていたんです。それなのに、受験というシステムを通過しながら、いつのまにか他人の評価や社会的な見え方を大事に考えるようになっていました。 普通に中学教育以降のシステムにのっかると、どうしても順位とか評価とか気になってしまうのは当然だったかもしれないし、そもそも自分の特性として、箱があれ

「誰か」を「あの人」にかえていく

「誰かの死と、あの人の死。全然違います。」 20年以上前に聞いた、中学校の国語の先生の言葉だ。先生の声が、未だに耳に新しい。 一つの出来事が、「誰かの」出来事から「あの人の」出来事になるには、一体何が必要なのだろう。 2015年、「障害のある誰か」が、突如として「障害のある我が子」になった。 第一子も、第二子も、びっくりするほど安産だった私は、出産なんてなんてことないと思っていた。 とんだ勘違いだった。母子共に無事に出産できることは、ほとんど奇跡なのだということを、

私は障害児であるハルのことをよく知っているけど、ハルじゃない障害児のことはよく知らない

みなさん、どうも。こちらの世界ではお久しぶりです。 久々にいろいろな肩書や役割を取っ払って、ただの心の露出狂として、キーボードを叩いています。 最近は、わかりやすい文章の書き方とか、タイトルの付け方とか、SEOとかいろんな話があって。そのどれも大事な話だと頭ではわかるんだけど、あんまりワクワクしなくて、そうこうしているうちに、文章の書き方がよくわからなくなってしまいました。 構成を考えて書くとか、目的や対象を明確に絞って書くとか、ライターを生業としている人だったら当たり前

私のこれまでが全部言語化されている本に出会ってしまった

「まともがゆれる」 常識をやめる「スウィング」の実験 木ノ戸昌幸 朝日新聞出版社 ========= きっかけは、大好きなノンフィクションライターである川内さんの新刊「目が見えない白鳥さんとアートを見にゆく」を読んだこと。ここに、「ギリギリアウトを狙っていく」というモットーとともに木ノ戸さんが運営するNPO法人Swingのゴミブルーはじめいくつかの"作品”が紹介されていて、ズキュンときた。 素晴らしすぎるモットー。素晴らしすぎる取り組みの数々。なんだここは!スウィングってな

私はレゴが作れない

子どもたち、レゴが好きだ。Youtube大好き現代っ子のレンチビ3歳も、レゴを渡すと1時間でも2時間でもひたすら無心に何かを組み立てている。10歳の長男も9歳の長女も、未だにレゴが好き。普段はそんなに興味を示さないのに、唐突に、しかも常にライバルの二人は同時にレゴブームがやってきて、やっぱり1時間でも2時間でもなにかしら作っては、最終的にパーツの取り合いをして大喧嘩になる。 レンチビは自分で作るのに煮詰まったり行き詰まったりすると、「ママプレイウィズミー」と言いながら、私の

風呂場の扉越しに聞いた、こどもたちの生死の話

風呂上がり、脱衣所で着替えていると、珍しく一緒に風呂に入っていた長男と長女が話しているのが聞こえてきた。 二人の会話のテーマはどうやら「自殺」らしい。 最近有名人が立て続けに自殺をしたニュースを見聞きして、そのことが印象に残っていたのかもしれない。 物騒なテーマをやけに軽々しく話してるな、と思いつつ、それでも二人が喧嘩をせずに仲良く風呂に入ってるのも珍しいので聞き耳を立てた。 長女「ねえ、もし目も見えない、耳も聞こえない、体はアトピーでぼろぼろだったら、どうする?自殺する?