反トランス差別の活動に一歩を踏み出す

やはり、日帰りで、早稲田大学のカルタイを聴きに行ったのが、疲れとなって残っている。
「トランスジェンダーの物語とエンパワメント:連帯の歴史を記憶するために」岩川ありささんが司会、発表、高井ゆと里さん、三木那由他さん、水上文さんという、豪華メンバーが揃われるということで、わたしのいまの体調、体力的には無理と諦めていたのだが、マストドンに書き込んだように、2日の夜、というか、日付は3日になってから、これはやはり聴きに行くべきではと、参加を決めた。
まあ、結果的に参加して良かった、この4人の方に同時に逢える機会なんて、この先もあるかどうか、ゆと里さんも書いているように、これが最後、かもしれない。
このシンポジウムに感動したし、エンパワメントされた。わたしは残り少ない人生を、トランス差別に抗して、文章を発表しようと思っていたが、その決意が一層強まった。
怖いのは孤立であるが、トランスジェンダーは数少ないゆえにみんな孤立して、孤独に、ひょっとしたら、だれにもカミングアウトできないこともあるかもしれない。
トランス、性別移行するということはそれまで送ってきた人生、生き方、友人関係などに決定的な不連続線を引いてしまう。うまく折り合いをつけることは、こんなにも難しいとつくづく思い知った。トランスを理解してもらうことは難しい、一番の関門はジェンダーアイディンティティの説明だと思っている。
最初、「心の性」として広まったが、これは一見わかりやすい言葉だけれど、なにも説明ができない。ゆえにトランス排除者には、「心の性」などないという、一言で切り捨てられるもので、シスジェンダーの人でジェンダーアイデンティティを意識する人がまれであろうから、この言葉一つでどちらが正しいのかわからなくなってしまうかもしれない。トランスジェンダーは生まれ持ったそのジェンダーアイデンティティーを選ぶことができないことがシスジェンダーの人にはここまで理解できないとは思わなかった。
なので、中年になってから、妻子もあって、「突然」性別変更してしまう人が批判の対象となり、子どもの頃からどうしてもその性別でやっていけない、GIDが本物で、中年の移行なんて偽物みたいに言われがちなのだ。周りからは「突然」と見えるかもしれないけど、本人の中ではいままでずっと押し殺して、自分自身を否定し続け、ようやく決断できた、自分らしい生き方なのだ。
わたしはこれまで、文学学校、同人誌活動を通じて、徐々に性別移行していった。そして、表立ってそれに反感を示すような人など現れず、やはり、文学を志すような人たちなら、性別2元のあり方に囚われる、頭の硬い人はいないと思ってきた。
その文学の仲間はTwitterを多く使っていて、いままで交流の場所となっていたが、トランス問題が起こり、わたしは元々、自分の権利を主張するタイプではなかったが、ここまで、バカにされては黙っていられないとTwitterでの発言や、トランス差別反対の動きをRTしたり、自分でも主張するようになると、いままで友人だと思っていた文学の仲間はそれらに同調することはなく、徐々に距離をおかれていることを感じるようになる。決定的なのは、ほんとうにわかってもらえると思っていた、仲のよかった3人の友人から絶縁されたことだ。
おそらく、その他の文学の仲間との関係などにも影響されたのかもしれないが、一番大きかったのは、笙野頼子さんと栗原裕一郎さんの存在だ。この人たちの文学仲間への影響は大きい。

栗原さんは、文学の仲間で知る人が少なかっただろう、トランジェンダリズムという思想をTRAという組織が広め、差別禁止という名目で女性差別、言論弾圧をしているという主張を展開して、おそらくこれがいままでトランス問題に興味のなかった人の関心を呼び起こした。そして、それまで差別反対と言っていた人も、この問題は少なくともTRAもTERFもどっちもどっちではないか? うっかりこの問題に関わると危ないという意識を定着させたのではないだろうか? そういう意味で文学の世界での栗原さんの存在感は絶大で、わたしはもう同人誌の世界ではやっていけなくなったと悟った。大抵の同人誌は会員の出入りは自由で、トランス排除の思想を持っていても拒否されるわけではない。こういう世界ではわたしがいつ攻撃されても不思議ではない。無理と諦めた。この先、同人誌的な活動は欠かせないが、それは孤独な戦いになる。一人で発表を続けるしかない。
文学フリマ大阪が、今度の日曜、10日に開催される。https://bunfree.net/event/osaka11/
同人誌には所属していなくても、ここをみていると、いろいろな知人と再会できるし、情報収集ができるので、行こうと思っていたが、さすがに今回、親しい友人たちから、絶縁された傷が大きい。みにいってまたどれだけの攻撃、あるいは無視を受けるかもしれない。
しかし、理解を示してくれる人も皆無ではないので、文フリ大阪の会場、OMM近くまで行こうと思う。そして、わずかでもわたしに会いたいといってくださる方がいるのなら、トランスジェンダーについての啓蒙活動をしたいと思う。場所は非公開で、個人的に伝える。OMMの近辺とだけは言えるが。そして、『トランジェンダー入門』、『反トランス差別ブックレット』、『フェミニズムってなんですか?』この3冊を数冊づつ持って行こうと思う。定価購入、定価販売なので、わたしの利益はないが、いささかでも興味のある方に手に取ってもらえればと思う。そして、どうせ行くのだから、わたしの目からみた、この数年のトランス差別を、新聞記事とTwitterを中心にまとめたものを作って持っていき、配布しようと思う。
もし、興味があり、わたしに会いたい方がいれば個人的に連絡を願います。


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