こんな日は横光利一

なんとなくだるい感じがして、気が緩みやすいのが、新年度が始まって2〜3日経ったときのアルアルかもしれない。

特に、異動があって慣れない仕事に直面した人とか、新社会人になって現実を目前にして、自分の思い描いていたイメージとのギャップに愕然とし、「こんなはずじゃなかった」とショックを受けている人は、今ごろそんな気分に陥っているかもしれない。

そんな日は、インターネット上の青空文庫でも読める横光利一(よこみつ・りいち)の『蝿』という短編小説がオススメである。

疲れていても、そんなに負担を感じないボリュームの文章だし、多くの人は結末で目が覚めるだろう。

そして、作品全体を通して、いろいろと考えさせられると思う。

20世紀シリーズで取り上げてもよいのだが、他の出来事もあるので、ここで少し解説しておこう。

この作品は1923年に発表され、横光利一にとってはデビュー作になった。

蝿と馬と人間が登場する。

人間はいつ死ぬか分からない。

母子が不運な事故に巻き込まれる。

蠅は、生き残る。

日常の光景というのは、それぞれの人の生き方や考え方が、目に見えない糸で織り成されているものだと、改めて実感せざるを得ないストーリーである。




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