マガジンのカバー画像

本や漫画について

9
好きな本、最近読んだ本について書きます
運営しているクリエイター

記事一覧

「たゆたえども沈まず」

年末にこの本を手にしてから、まだ読むときじゃない、君の時じゃないとずっと置いていた。 作者・原田マハさんの名を他のnoterさんの記事で目にするようになって、 あぁ君の時期が来たのかなと1ページ目をめくった。 あらすじ 19世紀後半、フランス・パリで「若井・林商会」を経営する画商・林忠正と助手・加藤重吉が浮世絵を貴婦人たちに売っていた。ある時、無名画家フィンセント・ファン・ゴッホと画商の弟・テオドルドが目の前に現れた。フランスに憧れやってきた日本人、日本に惚れ込むフランス

「水の精霊」

横山充男さんの「水の精霊」 これは四部作構成になっています。 「幻の民」「赤光」「呪術呪法」「ふた咲きの花」 上橋さんの作品が完全なるファンタジーの世界の自然に私をいざなって、水の精霊はより現実の世界の自然に私を連れて行ってくれました。上橋菜穂子さんの作品を読んでいてちょうどハードブックのサイズが同じだったのもきっかけのひとつです。 あらすじ 主人公真人はある日、自分の中にある能力に気づく。その能力とある一族とのかかわり。日本に残る宗教との関係。彼が選んだ道の先に何が待つ

アニメとサイエンス

科学を基本としたアニメを三作品、紹介します。 ①エレメントハンターnhkの教育テレビで放送されていました。小学生の頃、はまったものです。テレビでよくある「dボタンで参加」があったんです。夕飯の前にすることがなくて、ちょうどよかった。 あらすじ 2029年、地中海沿岸でとてつもなく大きな地盤沈下が起こった。直径3キロにわたって地殻から突然「酸素」が消えたのだ。以来、地球上から様々な「元素」が消えていった。元素消失は、森林や畑、建物や古代の遺跡、そして生命までも消し去っていっ

愛すべき大人世代へ送る一冊「オヤジ改造計画」

今回は同じフィーリングの方がいれば同じような感覚を持つファンタジーと異なり、いろんな年代、立場によって感じ方が違う本を紹介します。 「オヤジ改造計画」は私の父にタイトルを見てオススメした一冊。 小説だと知らなくて、実用書だと思い手に取りました。 あらすじ 定年を迎えた主人公が家にいるようになり家族とすれ違っていく。自らの考えを娘、妻に否定され、残りの人生を快適するにはどうすべきか。家族以外とのかかわりを含めて考えていく話。 冒頭のシーン 定年を迎え、主人公は家にいるよ

「3月のライオン」

まだ春一番が吹いていないのに3月の名の付く漫画について。 藤原さくらさんの「春の歌」(スピッツカバー)を思い出してこの漫画を書こうと思います。 この漫画は”将棋”が舞台。 入り口は漫画、アニメ、実写映画化があるのですが、私はアニメでした。 あらすじ 東京の下町に一人で暮らす、 17歳のプロの将棋棋士桐山零 史上5人目の中学生プロデビュー棋士として周りから期待される零だが、 彼は幼い頃に事故で家族を失っており、生活の上でも盤上でも 深い孤独を背負っていた。 彼の前に現れた

原点~上橋菜穂子という作家3~

「原点~上橋菜穂子という作家~」はこれで最後になります。  あと少しお付き合いください。 上橋先生の最近の本だと「鹿の王」ですね。 「鹿の王」のあらすじ 強大な帝国から故郷を守るため、死兵となった戦士団<独角>。その頭であったヴァンは、岩塩鉱に囚われていた。ある夜、犬たちが岩塩鉱を襲い、謎の病が発生する。 その隙に逃げ出したヴァンは幼い少女を拾うが!? (上橋菜穂子 公式サイト 木漏れ陽のもとで) 疾走する主人公たちと周りの自然の描写はやはり好きです。今、生きているそう

原点~上橋菜穂子という作家2~

上橋菜穂子さんが書く作品は自然の描写がとにかく繊細で美しい。エリンの次に読んだ「守り人(もりびと)シリーズ」の闇の守り人の冒頭は何度読んでも好きですね。 闇の守り人 〜洞窟を抜けるシーン〜 バルサは、山の精気がたっぷりとしみこんだ水のにおいにつつまれて、もうずいぶんと長いこと立ちつくしていた。この高みからは、大地のしわのように、いくえにもかさなった青霧山脈がみおろせる。暑く、雨の少なかった夏がすぎ、山の緑は、少し色あせはじめていた。(闇の守り人 偕成社第7版 p8)より

原点~上橋菜穂子という作家~

私が本好き、自然好きになった作家、上橋菜穂子さんについて書こうと思います。 はじめて読んだ彼女の本は「獣の奏者エリン」という作品です。 まだ文庫本ではなかったハードブックだったころに好きになりました。 獣の奏者エリンのあらすじ 獣ノ医術師の母と暮らす少女、エリン。ある日、戦闘用の獣である闘蛇が何頭も一度に死に、その責任を問われた母は処されてしまう。孤児となったエリンは 蜂飼いのジョウンに助けられて暮らすうちに、山中で天を翔ける王獣と出合う。その姿に魅了され、王獣の医術師に