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森をトレースする

何か知らん
絵が描けなくなった時、
写真をトレースしていました。

旅先のカリフォルニアの山で撮った写真を、手描きでなぞっていく。
自然は、生まれながらに有機的な線を描き、どこをどう切り取っても、その形状は完ぺきである。草木はどれもうつくしいフォルムで咲き、鳥はそれぞれ驚くべき羽の色をえらぶ。何という驚くべきこと?!
そう思った私は「この美しさの秘密を紐解こうではないか」と、
森のトレースを始めたのです。

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この森は、二年前のカリフォルニアの山火事に遭いました。絵に描いた木は、もうないのかもしれない。
だけど再生しているのだろう、自然は。
ゆく河の流れは絶えずしてもとの水にあらず!
常に流動的で、知的で、ずっと同じ風景というものはない。森を出てもそうですね。自分の身体もそう。

今では、私もようやく絵がまた描けるようになり、描くことが、たのしいと思えるようになりました。気負いがないからなのかもしれません。それは、自分がアーティストではないのだ、と思い知ることからはじまったように思います。


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