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旅のお供は文庫本

旅好きな私は、ここのところ何かに導かれるように飛び回っている。

飛行機も好きだが、列車の旅はもっと好き。

眠い時は寝て、お腹が空いたら食べて、車窓の景色を楽しみつつ、読みたい時に本に集中する。

だから、列車の旅は3時間ぐらいがちょうどいい。

旅の予定が決まると、まず本を書店に探しに行く。

列車で読む本は、テーマが重くなく、サラサラ流れるような文体で、ほっこり幸せな気持ちになれるのがいい。

少し前の旅のお供に選んだのは、小川糸の「ツバキ文具店」とその続編の「キラキラ共和国」。

鎌倉を舞台に、先代との確執や思い出の中で、お客様に成り代わって手紙を代書していく主人公。独特の世界観にどっぷりハマって電車での旅がより豊かになった。

つい先日、ずっと行きたかった戸隠に行く機会を得た。

でも、熊本から戸隠、一体どうやっていくの?と思ってたら、名古屋から長野まで特急列車で3時間で行けると知り、旅のルートが決まった。
熊本から飛行機で名古屋へ。そこからは特急列車で移動して、長野駅からはレンタカーで。

今回の旅のお供は既に決まっていた。「騙し絵の牙」。参加しているエッセイ塾、ふみサロの今月のリブリオエッセイのお題がそれだった。

途中まで読みかけて栞を挟んだままの文庫本をカバンに入れて出発した。

物語がクライマックスを迎えたのは、旅を目一杯楽しんだ後の帰りの特急列車の中。
思いがけないドンデン返しでページをめくる手が止まらない。

でも、列車はあと少しで駅に着いちゃう。

とにかく結末を知りたくて集中して読んだもののラストまで読みきれず。気もそぞろに駅から空港まで乗り継ぎ、やっと空港のベンチに座って搭乗ギリギリに読み切った。

余韻に浸りながら空へ。
読後の爽快感と充実感、これがたまらない。

カバンに忍ばせた文庫本をパッと開くだけで、移動中でも物語の世界にスッと入っていける。

今日も旅の途中。
新幹線の中で、このエッセイをしたためている。

以上

10月の「ふみサロ」提出分のエッセイです。

「騙し絵の牙」おそらく書店に並んでても自分では手に取らない小説。
お題だから読み始めたものの、小説好きの私は、思わず物語の中にのめり込んでしまった(笑)

はてさて、この本からどんなリブリオエッセイを書こう?!と迷ったが、実際に旅の途中でこの本を読み切ったエピソードを書いてみることにした。

本と一緒に旅をすると、移動時間がより一層楽しめる。
脇目も振らず、読書に集中出来る時間が好きなのだ。


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