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悲しみの記憶を少し乗り越えた話。

あれは確か小学校低学年の頃。
初めて「犬と私の10の約束」を見た。

内容を詳しく覚えていないが、とにかくとても悲しかったという記憶だけが強く残っている。
映画が終わっても主人公と犬の気持ちになり、とてもとても悲しく、涙が止まらなかった。

そんな私にもう、早く寝なさい!とママから言われたのも覚えている。
当時は悲しすぎて涙の止め方がわからなかったのでママがこう言ってくれなかったら泣き疲れるまでたぶん泣いていたと思う(笑)
この出来事以来「犬と私の10の約束」は見ていないし、動物と人間の感動系は自分の中で心が辛くなると予想がつくので絶対見ないようにしている。

けれども、幼い頃から今まで見てきた作品の中には悲しくても、切なくても、辛くても、何度も見ている作品がいくつかある。
けれどもどうしても犬の感動系だけは「10の約束大号泣事件」以来見ることができない。

きっと小学生の時の悲しい気持ちが残りすぎて無理なんだろうなと自分でも想像がつく。
それに21年間の中で2匹の愛犬とお別れもした。
今の愛犬との別れもいつかある。
そういうものを想像してしまう。
なんなら今も書きながら悲しくなってくる。

最近ひとつ悲しみの記憶を一つ乗り越えることができた。それは中学2年生の時に読んだ小説、「ぼくは明日、昨日のきみとデートする」である。
なんとなくタイトルが気になり購入してその日に読んだ。案の定「10の約束大号泣事件」と匹敵するほど泣いた。さすがに中学2年生だったので大声では泣かなかったが過呼吸にはなった。笑
1週間ほど悲しさを引きずり、私はその本を本棚の1番下の2列目の左奥に封印した。
それ以来読まなかった。読まずとも内容を忘れることができないのだから。

大学3年生になり友人がこの映画をお勧めしてくれた。映画があることを知っていたが見るはずがなかった。映画の主題歌がback numberの「ハッピーエンド」だと友人に聞いた瞬間「ハッピーエンド」も聞けなくなるかもしれないと思った。
「ハッピーエンド」という曲は高校一年生の時に友達にback numberを勧められ、その中でもよく聞いていた曲だった。なのである意味青春の思い出的な曲だった。当時切ない曲だとは思っていたけどこの映画と組み合わさった時の攻撃力は危ないと予感はしていた。

けれども、ロケ地を知っていたので、それ見たさに映画を見ることにした。内容はばっちりだし、絶対泣くまいと思って「ぼく明日」をみた。
泣いた。大号泣した。過呼吸にはもちろんなった。エンドロールの「ハッピーエンド」が流れてきてさらに涙が止まらなくなった。

けれども気持ちはスッキリした。
映像が綺麗で街は美しかった。
当時中学2年生の私にとって、この物語は絶望の物語だった。けれども私も大人になっていた。
儚い花火のような物語だと思えた。


他にも自分の中で悲しみのトリガーとなる作品はいくつかある。
けれども、歳を重ねるごとに色々な感じ方ができるようになっているのだと思った。
それに自分は成長しているのだと実感できた。

「犬と私の10の約束」を見る勇気はまだない。
けれどもいつかもっと大人になって、自分に子供ができて、動物を飼うとなった時にもう一度見てもいいのかもしれない。

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