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双子

私には麻衣という双子の姉がいました。
一卵性双生児なので、瓜二つ。
親もたまに間違えるほどでした。

姉には子供がいました。
10歳になる百花という娘。
百花はある日、足を滑らせて階段から落ちてしまいました。
百花は死にました。

「由衣、百花はあなたにすごく会いたがっていたのよ」

私は仕事の都合で故郷から離れていたため、百花が物心つく頃には疎遠になっていました。
結局彼女とは言葉を交わせないままでした。

麻衣は泣きながら私に言いました。

「ねぇ由衣。今夜ここで一緒に過ごしてくれない?」

麻衣の夫は去年、不慮の事故で他界していました。
愛する娘まで失ってしまった
姉の頼みを断れるはずがありませんでした。
お通夜会場で一晩過ごすことにしました。




夜中



ふと目が覚めました。



すると



“ビィイィイィイィイ“



ひどく耳鳴りがうるさい



《何!?え・・・・体が・・・・・動かない》



生まれて初めての金縛り
起き上がろうとしても、体がピクリとも動かない
辛うじて目だけ開けることができました。
こんな経験は初めてなので、恐怖を覚えました。
無理矢理にでも目をつぶって、もう一度寝ようとしました。


すると


「・・・・・お母さん」



《え?》


目を開けると枕元に百花が立っていました。

私の顔を見下ろして、もう一度言いました。



「・・・・・お母さん」



《百花・・・・ま、間違えてるっ!!》




「・・・・・・お母さん、ごめんなさい」



《百花、私、お母さんじゃないよ!妹の方!!間違えてるよぉ!!》


否定したくても、声が出ませんでした。



「今まで悪い子でごめんなさい。ごめんなさい」



《違うよぉ!!間違えてるよっ!!似てるけどぉ!!》




「こんな私を、今まで育ててくれてありがとう」



《これ最後にお礼言いにきたんじゃない!?絶対本人に言わないとダメなやつ!!》


「初めてテストで100点とった時、褒めてくれてすごく嬉しかった」


《それはお母さんに言ってあげてぇ!私に言わないでぇ!!》



「ホントに私は悪い子だったね。ごめんなさい」



《そんなことない!!あなたは絶対良い子だよ!!謝らないでぇ!!》



「いつもいつも、お母さんを怒らせてごめんなさい」



《私は麻衣じゃないの!気付いてぇ!!》



「でもね、学校の先生にはちゃんと隠したよ。
体中のあざ、お母さんにつけられたって言わなかった」



《・・・・・え?》



「なのになんで・・・・」



百花は私の首を絞めて言いました。




「・・・・・・階段から突き落としたの・・・・・?」


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