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MGCを終えて -主に大迫選手の話-

感動しました。出場した選手には心からありがとうと言いたい。

よく甲子園なんかで「筋書きのないドラマ」という言葉が使われますが、まさに今回のMGCもそう。

ペースメーカーがいないことで、最初から展開が読めず、結末も最後の最後まで分からない。まるで一本の映画を観ているような感覚でした。時間もちょうど2時間ちょいですし。

昨晩も録画したやつを何となく再生したら結局最後まで観てしまいました。きっとこれからも何度も観ると思います。DRで録画してよかった!

そこで、MGCについての考察を、このブログで述べようか、2,3日迷っていたのですが、やっぱり歴史に残る大会なので、忘備録的な意味でも少し残したいと思います。まぁ素人の戯言だと思ってください。

大迫選手の表情から感じたこと

今回の注目ポイントの一つが、やはり大本命、大迫選手でした。前回の記事でも80%の確率で内定GETすると申しましたが、まさかの結果。

やはり日本記録保持者、そしてカリスマランナーとして皆から追われる立場になったことが想像以上のプレッシャーだったのでしょう、何となく走っている表情に余裕が感じられませんでしたね。

「本来は集団の後方に位置して力を温存するところだが、設楽選手のハイペースに少し焦りが出て集団前方で走ってしまった」と本人も言っていました。加えて僕が気になったのは、第2集団で仕掛けた選手への対応です。

神野大地選手、鈴木健吾選手らが、いきなりバーっと前方に出た時にいちいち反応して追ってしまうのです。これは解説でも「反応しすぎているかもしれません」とも言われてましたね。

ただ、服部勇馬選手も毎回対応はしていたんです。ただそのリアクションが全く異なっていた。服部選手は「おぉ、きたか」に対し、大迫選手は「まずい、追わなきゃ」という様子に見えました。

今回に限りアメリカで活動したことがマイナスに作用した?

僕はこの差に、2人の環境の違いを感じました。それはまず情報収集の面。

アメリカで周囲に惑わされることなく実質個人でトレーニングを積む大迫選手、片や、日本の強豪実業団で活動する服部選手。しかもトヨタからのMGC出場者は最多の4名。

加えて、母校である東洋大学のネットワークや、弟の弾馬選手もトーエネック(出場した河合代二選手が所属)ですし、強化合宿や記録会では、所属チームの垣根を超えて色々な交流があるでしょうから、誰々が調子良いらしい、誰々が故障気味らしいという情報が沢山入ってくるのは当然服部選手の方です。

実際に僕が先日大濠公園で福田選手とお話できたと書きましたが、その時もとある有名選手が不調だということを聞きました。その選手はやはり前線で戦えず下位に終わっていました。たとえ1人だけでも調子が悪いことが分かっていれば、その選手が仮に飛び出ても、追う必要はないと判断できるので大きいです。

大迫選手もネットワークはあるでしょうから多少の情報は入ってきたでしょう。ただその量は服部選手とは比にならないぐらい少なかったのではと思います。もともと孤高のイメージがありますから、周りの選手も簡単に声をかけずらいでしょうし(実際、MGCに向かうバスでも隣がしばらく空いていたみたいですね笑)。

よって、レース対策において重要な情報戦という部分でまず分が悪く、それが心理面に影響してしまったというのは多少あったと思います。

もう一つは、気候です。

大迫選手は天候に左右されづらい選手だと思います。今年の東京でのリタイアの印象もありますが、それ以外の3レース、ボストン・福岡国際は暑く、シカゴは途中雨であっても好記録を連発してきました。

とは言え、日本の夏は高温多湿で、世界的に見てもちょっと異質です。それは暑い国から来た旅行者も音を上げるほど。もちろん、夏早めに日本入りはしていたのでしょうけど、その環境下で長く追い込んだ練習が国内の選手と比べてできなかった大迫選手にはやはり不利であったのではないかと思います。

欲を言えば、仕掛ける側であって欲しい

大迫選手はトラックも含めて、中〜終盤まで集団の中で力を溜めて、最後に一気に前へ出て後続を断つというレーススタイルがメインです。これはこれで立派な戦術であり、卑怯だとは全く思いません。

しかし欲を言えば、もっと途中で牽制したり仕掛けたりする姿を見てみたいなと思います。優勝した中村匠吾選手の40km手前のスパートはもちろん、ずっと集団に付いているように見えた服部選手も、序盤で他の選手に「もっと行こうぜ」というようなジェスチャーを見せたり、中盤過ぎで前に出てみたりはしていました。

なぜ僕がこう思うかと言うと、BIG4と言われる選手の中で、実は大迫選手だけマラソン優勝経験がないからです。

設楽悠太 2019ゴールドコースト優勝
井上大仁 2018アジア大会優勝
服部勇馬 2018福岡国際優勝

大迫選手はMGC含め完走した4レース、全て3位。当然、出場選手のめぐり合わせもありますから仕方ないという面もありますが、あとの3人は外国勢相手にもしっかり勝ち抜いているのは事実。

これはやはり先述のようなレーススタイルも一つの要因としてあるのではないかと。実力申し分なし、ランナーの誰もが憧れるカリスマだけに、今回の設楽選手のような付いてこれるもんなら付いてこいや!みたいな姿勢も見てみたいなと思います。

MGCファイナル?100%狙うっしょ!

今回3位に終わり、五輪出場を確定させるためには、このまま静観して他選手が自身の日本記録を更新をしないことを祈るか、MGCファイナルシリーズで自ら打ち破るかの2択になりました。

彼は「コーチと相談して決める」と言っていましたが、彼の性格上、静観は100%無いでしょう。そんな半ば他力本願で五輪出場願うとなど望むはずがない。間違いなく、東京でGETを狙うと思います。

3月に出ても、本番の8月までだいぶ期間が空きますし、故障しない限りコンディションへの影響は無いはず。そもそも五輪出れるか出れないかモヤモヤしたまま来春まで日々トレーニングを積むなんてきっと出来ないはず。是非東京で攻めるレースを見てみたいですね。

やっぱり気になった選手のフォーム

僕は野球にしてもマラソンにしても、フォームオタクみたいなところがありまして、どうしても各選手がどういう動きをしているかに目が行ってしまいます。

まずは、優勝した中村選手のスパート時。2人に追われながら、最後突き放した時のフォームは個人的にも理想とする形でした。キツイときこそコンパクト!なのです。

終盤キツイ時はどうしても、上半身や腕が大振りになってしまいスピードも生まれないし余計にパワーロスをしてしまいます。大変おこがましいのですが、僕もタイムトライアルの時など終盤きつくなった時ほど振りをコンパクトに、脚も回転数重視で行くことを最近心がけており(全然出来ていないことが殆どですが笑)、中村選手のラストはまさにそれが完成されていてさすがだと思いました。


次に神野大地選手。彼はなかなか結果が出ないことが多いですが、なぜか毎回期待させてくれるオーラがありますよね。どうしても応援したくなってしまうキャラクターは天性のものだと思います。

インスタ等でケニア合宿の様子もチェックしていてだいぶ調子が良さそうだったので2位以内は厳しいかもしれないけど、上位争いに食い込んでくるのでは?と思っていましたが、割と序盤で遅れをとってしまいました。

これも素人の僕が言うのはどうかとは思うのですが、フォームがどこか不自然なのです。序盤は肩に力が入っていて他選手と比べてもぎこちないというか・・。で、力が抜けてくると、腕が横振りになってしまう。当然本人も把握しているはずでかなり対策はしてきていると思うのですが、どうなんでしょう。


最後に佐藤悠基選手。実績十分のエリートで、有識者からの下馬評でもかなり期待されている一人でしたが、コンディションが悪かったのでしょうか、良いところを全く出せず終わってしまいました。

そこで僕が気になったのはフォームというよりは体型。彼、こんなに細かったっけ??

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今年の東京の時など、腰回りがもっとしっかりしていたような気がしたのですが・・。ユニフォームの着こなしのせいでそう見えてるのかも知れません。

多少無理な減量があったのか、夏場のトレーニングで食欲が減退してしまったのか定かではありませんが、えらいほっそりしているように見えました。

最後に超どうでもいい話

MGC大変盛り上がりまして、東京五輪が終わった後も是非続けて欲しいと思います。とにかく、子供が将来出たいな!と思わせられないと、ある意味、箱根がゴールになっている日本の長距離レベルも上がっていかないと思います。

で、改めて中継を見直して、マラソンとは全く関係ないところで気になった点がひとつ。

第2号車、RKBじゃね??

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TBSで中継車足りなかったから福岡から借りてきたのかな?と、どうでもいいことを思ってしまったのでした。録画した方は是非見直してみてください。

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