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「映像研には手を出すな!」濃厚なものづくり世界に嫉妬さえ覚える。実写化という無謀な行為さえ楽しみになる今日。

NHKで日曜深夜に流された「映像研には手を出すな!」が12回でまずは完結。最後は、DVDを学校の外で売るために作った「芝浜UFO大戦」のビデオが流れて、浅草氏がさらなる未来に向かって駆け出して終わり。わかりやすいし、セカンドシーズンに期待は膨らむ

昨今、映像で描けないものはないと言っていいほど、様々な映像ができる時代である。そして、この原作は、アニメを逆に漫画という中に展開させるという神業を成立させている。多分、手塚治虫が嫉妬するくらいのものができている。

その原作を逆にアニメに戻す作業。観るものにとっては、カップラーメンにお湯を注いで3分間待てばできるように見えるが、実際、この緻密な漫画をアニメとして成立させることはかなり難しいというか、面倒な作業である。

そう、この原作の見所は、主役の浅草氏が勝手に妄想していることが、現実に見えるようにしていくことである。そして、複雑に設定された、ある面では昭和的な匂いさえ残っている芝浜の街の設定を土台に、そこにSF的なドラマを展開させるという無謀な実験なのである。観客が見事にその妄想の沼に嵌っていくという概念がかなり新しい。

そして、基本的なバックグラウンドは、学校の中の話である。生徒会が目をつけ、勝手な活動をしているサークルが乱立する芝浜高校という異次元な高校を舞台にする学園ものというところがミソである。そういえば、最終回はその辺りを出してこなかったですね。

原作者は、これを2050年の話だという。そう、この話自体がSFとして描かれていると思った方がいいのだ。高校生がアニメ制作の道具をこれだけ使いこなせるようになる30年後は必ずくるのだろう。ただ、アイデアを縦横無尽に世の中に吐露して現実化してしまうものたちが、存在するのか?という?はすごく興味深いところである。

2020年、人はどんどん猿化して、物事を考えずに、何もかも誰かが教えてくれるものだと思っている節がある。日々に刺激がいらないものがどんどん増殖しているのである。そう考えれば、今、絶賛拡大中のウィルス感染問題は、自然が人間になぞなぞを出している感じがして仕方ないのだ。ウィルスから人間を守る社会を作るにはどうするか?そういう発想がものつくりには常に必要だということを「映像研〜」は私たちに提示している感じがする。

と、偉そうに語ったところで、ものつくりをやっている本人たちは、ただ好きだからやっているというのは、私自身がそういう人だからよくわかる。多分、いつもこもりがちなオタク思考の皆様は、実際、ほぼ連れション文化圏外の人々なわけで、30年後も生き残っている可能せは大なのだ。そういえば、学校が再開されるらしいが、「連れションクラスター」とか呼ばれないように、清潔になるべく群れないようにしましょうね。

なんだかんだ言って、「映像研には手を出すな!」はすごい刺激的な原作なわけで、これをこれからドラマ化、映画化と続く中で、面白くならないわけがないとも思えるわけである。確かにアイドル映画というくくりの中で作られるのだろうが、まあ、異次元の話をどう料理していただけるかというところ?私的には結構な期待をしているんですよね。

そして、アニメのセカンドシーズンはまだまだ先でしょうが、必ず作られる気はしますし、それまでは原作を追いかけましょう。とにかくも、映像制作を行っている人にはすごい刺激になる作品でありました。まだ、存在を知らない方は、是非見ていただきたい。

世の中、今回の出来事で、社会がいろいろ一気に変わりそうでありますが、金森氏のようなえげつない利益追求、浅草氏のような妄想追求、水崎氏のような創作欲求は2050年までは無限に続くものなのでしょうと考えた、最終回でした。スタッフの皆様、濃い作品をありがとうございました!


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