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ボロ戸建て投資を考える

こんにちは。都内・埼玉で戸建てやシェアハウスを運営しているシサンと申します。副業で大家などのビジネスをやりながら、サラリーマンとして不動産会社で営業や施工管理などをしています。

ボロ戸建て投資が流行っています。
ボロ戸建てとは、いわゆる内装も外装もボロボロの、築年数が大幅に経過した戸建てを指します。築50年以上の住宅を「古民家」というので、そのイメージが当てはまるかと思います。
数百万円で取得できる安価さ・お手軽さに加え、将来への経済的不安から「大家としての副収入」を得るためにサラリーマンが戸建て投資界隈に多数流入しているように感じます。
きれいにリフォームして貸し出す、だけだから簡単そうですよね。
※ボロ戸建てという名称については賛否両論ですが、今回は特に訂正せずこの名称のまま文章を組み立てていきます。

私が今まで扱った戸建てはすべていわゆるボロ戸建てと呼ばれるものです。
一番築年数の浅い戸建てで36年ですね。自分よりも年上です。扱った件数は数件ですが、それを通じて下記のような考え方に至りました。

月額数万の売り上げに対して、工務店に丸投げして数百万円の資本を投下しても回収が極めて遅くなるため、DIYや分離発注、施主支給で費用圧縮しないと成立しないビジネスモデル。物件の劣化の程度によっては倒壊や修繕リスクが常に付きまとうため、回収率をいかに高くするかがリスクマネジメントになる。

簡単に言えば、ボロ戸建て投資はサラリーマンがお手軽な副業として始めるのは結構大変で覚悟がいるよという話です。

持続可能なビジネスモデルとして不動産賃貸業を回し続けるのであれば、下記のどこかで優位性を持たなければならないと私は思っています。それは、①仕入れ②修繕、の2つです。①は不動産屋になるか、個人で物上げするか、方法は多様ですが、交渉力や物件を見極める力などといった専門性と、ある程度の資本力が必要になるため、サラリーマンが副業として成果を上げるまでにはかなりの時間を要するかと思います。②については、DIYerがイメージしやすいかと思います。仕入れに優位性がないのなら、自ら修繕して加工料を下げるしかありません。ボロ戸建て投資家の多くがDIYerになるのはブームだからではなく、事業構造上ある種必然だと思っています。もちろんDIYをしたいという人もいるので一概には言えませんが。

さて、サラリーマンが「お手頃な副業」としてボロ戸建て投資を選ぶ場合、②の選択肢を選ぶ人が多くなると予想されます。なぜならDIYという言葉が市民権を得ていることからも、こちらはノウハウが世の中に出回り、数十万円でも投下すれば道具も資材も揃い、一人でも始めやすいためハードルが低いからです。一方で、①の物上げは不動産知識や交渉など専門知識や営業スキルなどが求められ、一人で始めるのは極めて困難なため、不動産関係者以外でこちらからスタートする人はほとんどいないかと思われます。

というわけで、ボロ戸建て投資からスタートした大家さんはDIYをされる方も多いでしょう。しかし、いわゆるお手軽な副収入がほしければボロ戸建て投資を進めていくのはあまりお勧めできません。理由は2つあります。1つは採算の問題、もう1つは時間の問題です。

採算の問題について言うならば、建物は築年数に応じて劣化し、それをすべて修繕すると採算が合いません。収益を上げたいなら最低限のリフォームにして、安価な家賃で貸し出し手法を選ぶ形になります。その場合、家賃に比例して入居者の質も低下しますので頻繁にクレームが来たり、修繕が多発する可能性が高まります。一方で、あまりクレームが来てほしくないなら最初に大規模にリフォームするという手法を選ぶ形になるわけですが、こちらは費用が大きくなるので、回収が遅くなります。つまり、かけた資本を回収するのに年数が経ち、肝心の「副収入」が遠のく、そういうジレンマがあるわけですね。自分が色々とほしいものを我慢してコツコツと貯めたなけなしの数百万円を投下したのに、思ったよりもリターンが少ないとか、修繕で出費がかさんで赤字ばかりだ、という話ですよね(※ただし、BS上は現金が土地・建物に代わっただけなので資産は増えています。購入金額と同等以上に換金できるならいいんですがね。)。

もう1つの時間の問題です。DIYをするというのは、職人さんや工務店の代わりになって動くということになります。本来職人さんに支払う人工代や工務店に支払う現場監督料や施工管理料を削減できるので費用は大幅に圧縮できますが、その分の労働力を投入しなければなりません。ここで考慮しなければならないのは、作業内容や工程がわからないため、①作業工程や必要資材を調べる時間、②必要な資材を購入する時間、③作業する時間、という形で想定する以上に時間がとられる点です。私もDIYをすることは多いですが、まず休日はまるまる1日つぶれますし、自分ひとりだけで進めているのなら週2日は作業しないと全く進みません。それでも60㎡ほどの戸建てでも3か月~1年はかかるでしょう。損傷がひどければもっとかかるかもしれません。
人生の時間は有限です。本当はどこかにお出かけできたのに、家族と一緒に過ごせたのに、日ごろの仕事の疲れを癒せたのに、そういった休日の別の選択肢を犠牲にしなければDIYで家一軒を修繕することは不可能です。経済学では機会費用といいますが、こういったことを認識したうえでボロ戸建て投資を進めるかどうかは考えた方がいいかと思います。
ちなみに私はDIYをしすぎて体を壊したり、家庭環境が悪化するという経験をしました。バランスが大事ですが、難しいですね。
また、職人さんに分離発注するといっても、そもそも指示を出せるのか、コミュニケーションが取れるのか、という問題もあります。あと築古なのでいろんなトラブルもあります。そういうトラブル耐性というか課題解決力も試されています。

繰り返しになりますが、結局ボロ戸建て投資はサラリーマンがお手軽な副業として始めるのは結構大変で覚悟がいるよ、ということを伝えたかったわけです。でも大丈夫、やる気と根性があれば大体解決します。やる気と根性は最強のソリューションです。やる気が足りなければ資本力で解決しましょう。

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