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メンタルが強い娘の ああ 勘違い

娘は3月の末に生まれましたが、3年保育で幼稚園に入りました。4月生まれや5月生まれのお友達と比較すると何をするにもノロノロ遅い娘は、きっと赤ちゃん同然に見られていたと思います。幼稚園で浮いているのではないか、馴染めず悲しい思いをしているのではないかと心配しましたが、先生やお姉さん方のお世話になりながら、それなりにやっていたようです。一度も嫌がることなく通えてはいました。

幼稚園には送迎バスがありましたが、我が家は近かったので自転車で送り迎えをしていました。

入園して2ヶ月程経った頃、朝送ってから忘れ物をしたことを思い出し、一度だけ幼稚園に戻ったことがありました。

もう早バスの子達が到着していて、教室はとても賑やかでした。教室のドアを開けようとすると、何やら揉めている声が聞こえてきてドキッとしました。


「だから、Aちゃん(娘の名前)のお席はそこじゃないでしょ!」

「早くどいて‼」

「そこはあたしの席だから‼」

「Bちゃんのお席だよ~、早くどいてよ」


思い切ってドアを開けると、教室の中央にある椅子に娘が座っていて、6、7人の女の子が娘を囲んで、文句を言っているところでした。

娘の顔を見ると、何故かニヤニヤしています。椅子の背もたれに思いっきり体を預けて、何と短い足を組んでいるではありませんか。その横柄な態度と不敵な笑みから、娘に反省の色も、席を空ける気もないことがわかりました。

私は顔を引きつらせながら、囲んでいたお友達に

「いつも遊んでくれてありがとうね」

と声を掛け、娘に持たせるのを忘れた、エプロンを入れた巾着袋を渡して、そそくさとその場を離れました。

心臓はもうバクバクです。何だったんだろう、今のは。娘はいつもあんな調子で皆から文句を言われたり、いじめられているのだろうか。

泣いているかもしれないと思うと、もう不安で不安で……。

やはり3歳になったばかりの娘に、幼稚園での共同生活は早かったのかもしれないと悔やんで、その日はお迎えの時間まで生きた心地がしませんでした。

こちらの心配をよそに、お迎えに行くといつもと何ら変わらない娘の様子を見て、つくづく感じたのは

この子、メンタル めっちゃ強い

ということでした。


娘が中学生になった頃に、何かの話から、

「幼稚園が嫌だった。楽しい思い出は何一つない」

と言っているのを聞いて、そうだったのか、と思いました。

我慢して通っていたということを初めて聞いて、ちょっとショックでしたが

「あっ、でも1回だけ、嬉しかったことはあったよ」

「へーぇ、それはどんなこと?」

「お母さんも知ってることだよ、ほら、幼稚園で私が皆に囲まれて、キャーキャー言われていたのを見たでしょ」

「???」

「あの時は皆に囲まれて本当に嬉しかったなぁ。初めて人気者になれたって思ったし、アイドルみたいって思ったもんね」

「???」

ま、まさか、あの時の⁉

あれは、キャーキャーではなく、ワーワーだったよ⁉

そうか、幼い娘にはお友達が何を言っているのか理解が出来ず、囲まれて人気者になったと勘違いしていたから、笑っていたという訳だ。

十年の時を経て、ようやく真相に辿り着きました。



娘は中学生になるその時まで、あの囲まれた一件を

「幼稚園時代の唯一の良い思い出」

だと思っていたようです。😂


あれから更に十年の時を経ました。

娘は私に似ず優しい子に成長してくれたことが何より嬉しいのと

メンタルが強いところが自慢です。😄


幼稚園時代楽しい思い出は1つもない、というのもたぶん娘の勘違いだと思います。

娘を幼稚園に迎えに行くと、私が「楽しかった?」と聞く前に、「お母さんは一人で寂しくなかった?」と聞いてくれました。きっと心優しい娘は「家に一人でいるお母さんが可愛そうだなぁ」と思ってくれた瞬間があり、自分だけ楽しんで悪いという気持ちから記憶が改ざん?されたのではないかと私は秘かに思っています。(しょってるかもですが)

お迎えの時の、娘のあの嬉しそうな顔が「楽しかったこと」を物語っていましたから。😊




最後までお読みいただきありがとうございました。(#^^#)


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