マガジンのカバー画像

自作小説

9
絵描きで小説書きな私の自作小説をまとめました。ジャンルはさまざま✿
運営しているクリエイター

記事一覧

連理の契りを君と知る episode2「文字は口ほどに物を言う」

←episode1「あなたに出会う日」 1 地面を埋め尽くしていた桜の花びらが姿を消し、草木の…

連理の契りを君と知る episode1「あなたに出会う日」

本作は私が2017~2022年にかけて執筆した短編連作の恋愛小説です。 episodeは全部で7つで、完結…

短編小説『魔王の庭の白い花』1

 満月が煌々と照らす不気味な古城。  人を喰らうという獣たちが徘徊する深い森の真ん中にひ…

短編小説『魔王の庭の白い花』2

「ど、どういうことだ……」  翌朝、男はある知らせを受けて狼狽していた。 「ちゃんと私の…

短編小説『魔王の庭の白い花』3

 それから男は怪訝な顔をする召使たちを尻目に、暇さえあれば厨房で本格的に人間の料理の勉強…

短編小説『魔王の庭の白い花』4

「ごちそうさま」 「ありがとう」 「おいしかったです」  シンプルに一言だけ。大した言葉…

短編小説『魔王の庭の白い花』5

 男は本屋に入ると片っ端から本を開いていった。  彼女が話すことが出来ない原因を調べるため、わずかでも可能性のありそうなことは徹底的に知りたかった。  あまりに熱心に本を読み込んでしまい、家来の少年がすっかり飽きてしまって「外で待ってます」と傍を離れてしまったくらいだ。しかしその言葉さえも、集中している男の耳には届いていないようだった。  医学書の類をひとしきり読んで買うものを選別してしまうと、ようやく家来の少年がそばにいないことに気がついた。  本屋の中をきょろきょ

短編小説『魔王の庭の白い花』6

「うっわ、地味な城……。うちの馬小屋の方がまだマシじゃね?」  日光に輝くきらびやかな鎧…

短編小説『魔王の庭の白い花』7(完)

「これはもうちょっとお塩を多めにした方がいいのよ、煮込んでると水分が増えるから」 「おお…