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ミンユンギと坂本龍一

坂本龍一の死がとても悲しかった。
坂本龍一をものすごくいろいろ知ってる方でもないけど、
「また一つ大事なものをなくした、未来はどんどん暗くなるばかりだ」と思っていた。
ふとシュガの来日時の戦メリを思い出した。
「シュガのあの物静かな感じでもう一度弾いてくれたら少しは悲しみが和らいで『良かったね』と言える気がする」
「『惜しい人を亡くしました』って少しでも語ってくれたら」
死を知った日は、そんな妄想で悲しみをすり替えて出勤したのだった。
闘病は知っていたし、調子が思わしくないのも知っていた。でもまだ別れには早すぎる。
ツアーで来日した時にでもシュガが追悼の一言を言ってくれたらな、とか。
9月の来日みたいにもう一度会ったり、コラボしてるところとか、ライブに見に来てくれる姿とか見たかったな。
そんなことばかり考えていた。
何より坂本龍一のように、言いにくくなってきたことを先頭に立って毅然と言える人を日本でまた一人失ったのは大きい。
当然気持ちが乱れるので、ツイッターはしばらく見なかった。

シュガが坂本龍一の死に、真っ先にコメントを出していたことをその数日後に知る。
「先生の遠い旅がどうか安らかでありますように」
ああ、シュガは本当に坂本龍一を尊敬しているんだ。
シュガが坂本龍一のことを語っているものを集め始めた。
シュガは坂本龍一のサイトに「私の好きな坂本龍一10選」全25回の連載のトリを飾っていた。
その連載でシュガが紹介した10選をユーチューブのリストに突っ込んだ。
ラストエンペラーの日本語版予告をそういえば数日狂ったように再生していた。
シュガはほんのり戦メリ好きで活動を少し知っている、私のような日本人よりもずっとよく坂本龍一を知っていたのだった。
それからさらに数日後、この祭りは始まった。

ソロアルバム曲のタイトルが発表される。
坂本龍一フィーチャリング曲の発表である。
ファンにとってこんないい知らせはない。
運命を考えたり、シュガと坂本龍一の計画性に感心した人は多かったと思う。
黙ってそんなトリも務めちゃうんだ…。
来日で対談したことは知っていても、ここまで予想した人は少ないのではないだろうか?
あまりにも都合よすぎてオタクの見た夢かと思うわ。
坂本龍一はもうわかっていたのだろうか。
運命は変えられるという言葉を表面でなく感じてしまった。
生き様でここまで体現する人は初めて見た。
悲しみがあったからこそその驚きが一層大きかった。

ディズニープラスのドキュメントの予告に坂本龍一が映って喜んだ。
「絶対にディズニープラスに加入しよう」と。
IUのパレットでも坂本龍一への敬意と追悼の気持ちを示してくれた。
死は悲しいものだけど、人生の向き合い方次第でこんなに充実して発見やプレゼントがあるものだとは知らなかった。

坂本龍一が死を覚悟して、数年前から準備をしていて
後悔はない、と残しているのを知った。

もう一つ遺作に関して坂本龍一と縁を感じるエピソードがあった。
シュガとは関係ないけど。
「こうやっていろいろ残して驚かせてくれると『世の中悪いことばかりでもない』って思えるな」
死は喪失しかないと思っていたから、悲しみが大きい分、驚きと感動が深く、石みたいな心が揺れ動くことを感じた。
私の感動を感じる部分の薄い鈍い心にはこれぐらいのインパクトがないと、
「死後も作品が生き続ける」とかそういう言葉は心で感じるものではなく、後付けの慰めのものにしか思えていなかった。
マイナスをなるべくゼロに戻していく作業だけでは実はわかっていなかった。
果てしなく遠い道だけど、はるか遠くの明かりがまた一つようやく見えたのかもしれない。
「そういう生き方をして、また誰かが『世界は悪いことばかりじゃない』って思えたら、そういう生き方をした自分をもう少し好きになるかもしれない」

バンタンって歌詞も言葉も行動も素晴らしいものばかりだけど、
まだ私は殻を破り足りないんだろうな。
ここから頑張って殻を破って人生の第二章でも始めるか。

とりあえずコンテンツが多すぎて、一向に終わらない。まだアルバム一周できてない。
まだpeople PT2とhaegeumとsnoozeとディズニープラスにいるし、それもしっかり噛みしめ切れていない。
他のARMYたちもこの大海ですでに呆然としてるのはわかるけど。
本格的な祭りはこれからだぜ、どうする?

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