マガジンのカバー画像

演歌の源流

12
運営しているクリエイター

記事一覧

演歌の源流 #12

演歌の源流 #12

☆仁木他喜雄2️⃣

演歌の源流 # 19

 このマガジンの1回目の前回では昭和10年までの作品を取り上げたので今回はそのつづき。
 
 ♫小さな喫茶店 から紹介して行こう。
 リアルタイムでも兎に角流行った。
 コロムビアの新進気鋭 中野忠晴の甘い独特のクセがある声が仁木のアレンジと程よく溶け合い当時の喫茶店には必ずあった蓄音器で何せよく流されたという。
 思わずコーヒーでも☕️飲みたくなる一

もっとみる
演歌の源流  # 11

演歌の源流 # 11

☆丹下左膳の唄 : 東海林太郎 1935

丹下左膳と言えばご存知大河内傳次郎の十八番だが原作は林不忘の「大岡政談」であり、所謂大岡越前守モノに夜泣きの刀の異名を持つ関の孫六の名刀、乾雲丸・坤竜丸という大小一対の刀を手に入れるために密命により江戸に潜入する家臣が丹下左膳であり、大岡越前の他、この争奪戦に加わった旗本鈴川源十郎、美剣士諏訪栄三郎、怪剣豪蒲生泰軒などとともに一登場人物に過ぎなか

もっとみる
演歌の源流  # 10

演歌の源流 # 10

☆今宵の雨 : 伊藤久男 1933

これが実質的な彼のデビューレコードである。
生涯一コロムビアレコード専属で通した辺りに彼の性格が現れている。
コロムビア一筋とは言えデビューのこの頃はコロムビアの傍系会社リーガルレコード専属で上の画像にその新聞広告を参考に貼り付けた。
後の大歌手も駆け出しはこうした扱いから先ず始まったものだった。
当時のレコードは広告にも

もっとみる
演歌の源流 # 9

演歌の源流 # 9

☆赤い椿の港町 : 霧島 昇1951

最近 椿の花を歌った歌が無くなった。

椿は散る時に…ボトって落ちる。
武士の時代には切腹して介錯した時の首が落ちる様を想起する…と言う事から一部の武家屋敷では敬遠されたらしい。
然し、江戸時代には武家から庶民まで大変流行したと言う。

明治の元勲山縣有朋の屋敷だった文京区の椿山荘も椿が好きだった主人が名付けた。
かの黒澤明も1961年に時代劇エン

もっとみる
演歌の源流 # 8

演歌の源流 # 8

☆大利根月夜 : 田端義夫1939

**元をただせば 侍育ち

腕は自慢の 千葉仕込み

何が不足で 大利根ぐらし

故郷(くに)じゃ 故郷じゃ妹が待つものを**

オース! バタやん こと田端義夫の出世作
♫大利根月夜 三番の歌詞である。
オース! と舞台登壇の時に必ずバタやんは客席に向かって声を掛けて観客のボルテージを上げた。

そのオース!にクレームを付けたのが美空ひ

もっとみる
演歌の源流  # 7

演歌の源流 # 7

☆**片瀬波 : 松山時夫 ** 1932

原野為ニ、金子史朗…作曲家でレコード会社ディレクターだった池田不二男が使い分けたペンネームである。
原野は親友で作詞、訳詞家の奥山靉がレコードは腹の為に書いてるから…と付けた名前でそれを面白がった池田が専属以外のレーベルで吹き込む時に使用した、謂わば隠れ蓑だ。
金子史朗は…金をこしらえろ、を人名にしたものだが、こうした笑いの感性

もっとみる
演歌の源流 6

演歌の源流 6

☆中山晋平

歌は流れるあなたの胸に 今歌謡界に燦然と輝くいちばん星 佐藤千夜子嬢唄うところの
♫ゴンドラの唄

司会者の名調子に乗せて歌い手がしっとりと唄いだす。
いまなら、徳光和夫か宮本隆治か いずれ名のある元の局アナ達。
この歌謡曲と言うジャンルも105年の歴史になる。
その最初をどこまで遡るかは識者によって分かれるところ。
小生は、この中山晋平が歌謡曲の流れの正に源流で有ろうと観ている

もっとみる
演歌の源流  #  5

演歌の源流 # 5

☆サムライニッポン : 徳山 璉 1930

郡司次郎正 原作「サムライニッポン」は幕末の桜田門外ノ変で大老井伊直弼が惨殺されるまでの話だが、暗殺した水戸浪士の中に混じって新納鶴千代という主人公が実は暗殺した井伊直弼の私生児だったという非情なドラマであった。

小生は昭和40年公開の東宝映画「侍」で観たが岡本喜八演出の筋運びのテンポが良く何度も食い入る様に観た。
アクショ

もっとみる
演歌の源流 # 4

演歌の源流 # 4

☆**流るる雲よ : 小沢 秀夫 ** 1935

戦前のポリドールレコードはマイク乗り🎙が良い。
1935年と言えば昭和10年だがこの頃のポリドールレコードのSP盤を再生してつくづく思うのは、その''丸さ"だ。
ドイツグラムフォン社の技術提携だから自然とユーロベースの音が聞こえるのである。
コロムビアやビクターのアメリカンな音とは一味も二味も違っていた。

もっとみる
演歌の源流  # 3

演歌の源流 # 3

☆旅の夜風 : 霧島 昇 ・ ミスコロムビア '38

現在に至る演歌の源流、この我が国独自の節回しの源流を探る流行歌にスポットを当てる小稿。
本日は作曲家万城目正を紹介する。

先づは彼の代表作♫旅の夜風 をお聴き下さい。

https://youtu.be/Fb91k68Ch5c
演奏は↑ココをタップする

如何ですか?
正直、小生と同世代でも既に懐メロと化していた曲ですが何と

もっとみる
演歌の源流  # 2

演歌の源流 # 2

☆マロニエの木陰 : 松島詩子 1937.3

松島詩子(うたこ)の出世作♫マロニエの木陰
をご紹介する。

松島はレコードコレクターズ誌によると昭和7年1932年に今で言うインディーズのヒコーキレーベルでの吹込みを皮切りにマイナー、メジャーにと数多の吹込み活動を続けていたが中々ヒットには恵まれていなかった。
昭和9年1934年に終生離れる事がなかったキングレコードに初吹込みをし

もっとみる
#1  仁木他喜雄

#1 仁木他喜雄

レコードの仕事のうちで一番目立つポジションなのに最も地味な仕事と言えば編曲で有ろう。
よくこの曲は誰それの作曲…などと曲の善し悪しを論ずるときに作曲者が遡上に上りがちだが、実際にレコード録音の為にスタジオで楽器の配置をしたり…ここでサックスにフェイクさせようと録音上の音の"隙間"を埋めたり、そもそも作曲者は曲は書いてもレコーディングで采配をするのは編曲者の仕事なのである。
曲を書くのと

もっとみる