ラケットで打つ~バドミントン~の科学

手にラケットを持って、そのラケットでシャトルを打つ。
このタイプの動作は身体の末梢に高速運動を起こすもので、バドミントンに限らず、いろいろなスポーツで見られる。「投げる(野球・ハンドボール・投擲種目)」「蹴る(サッカー)」「手の先の道具で打つ(バドミントン・テニス・野球のバット)」。

「運動連鎖の原則」とか「ムチ的動作」と呼ばれるという。

この研究は2011年度ー2013年度の公的研究費助成対象のもの。
投げる・蹴る・打つなどの動作の1形態として「投動作」を取り上げ、末端速度を最速にする条件探索を行っている。

投動作における運動連鎖においては、近位ほど重く、近位ほど強い力を発生できるという条件が提唱されているという。また、近位関節が逆方向に動くことで遠位部が加速することも示されているという。

本研究では、体幹・上腕・前腕・手とそれらを連結する関節をモデル化し、各関節部の動きと末端の速度とをコンピュータシミュレーションプログラムにした上で、末端速度を最速にする関節運動パラメタを遺伝的アルゴリズムで推定している。

パラメタが複雑そう。。。
野球などの投動作とバドミントンのラケット打ちとでは、モデルがかなり異なるので、ここでの研究結果はバドミントンの動きの理解に直結しないが、こんなことは言えそうだ。

体幹・鎖骨・肩・肘・手首・手の握りのそれぞれが、役割の大小はあれ、ラケット最速化に影響を与えている。
また、「最速」とは言うものの、関節各部の動きを表すパラメタたちが作る空間に広がる『ラケット速度』函数は、単純な最速点を持つわけではなさそう。
したがって、相当たくさんの「極大点」があっちにもこっちにも広がっていそうだ。
このたくさんの極大点があるからこそ、探索アルゴリズムでは遺伝的アルゴリズムが使われているのだろうと思われる。

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