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Hooking the Rubber

『ペドロ・マルティネス自伝』を読み、様々なことを知りました。その中の1つがタイトルにもある「Hooking the Rubber(フッキング・ザ・ラバー)」という投球技法です。この言葉を見た時、聞いたことないやり方だと思いました。この投法はペドロ・マルティネスがルーキー時代に、サンディー・コーファックスから教わった(正確にはドジャース・アカデミーにいる時に教わったが難しすぎて取り入れてなかった)と書いてありました。

調べるとプレートに軸足を置く時に、足の半分くらい乗せるやり方と似ている(ほぼ同じ?)というのを知りました。僕自身、この技法はどのようなものなのか正確には伝えられないと思います。『ペドロ・マルティネス自伝』以外にもBASEBALL REBELLION(https://baseballrebellion.com) という野球塾(?)のサイトやRob Friedmanさんのツイートにあったものを引用してまとめます。

1. Hooking the Rubberの方法

簡潔に言うなら、その名の通り、the Rubber(プレート)を軸足でHook(引っかける)やり方です。やり方として『ペドロ・マルティネス自伝』にはこう書かれていました。

「これはボールを投げる瞬間、軸足(右利きの僕の場合は右足)のスパイクの裏の親指部分で、ピッチャーマウンド(ラバー)の手前側の端を約45度の角度で踏みしめるようにして投げるというものだ。」(『ペドロ・マルティネス自伝』P51)

最初に見た時は「?」としか思わなかったので、色々検索してRob Friedmanさんのツイートでカーショウがやってるものを投稿した( https://twitter.com/pitchingninja/status/786183186174709760?s=21) のを見て書いてあることが分かりました。

やや粗いですが1枚目、2枚目を見ると左足のスパイクとプレートの間に影が出来てるのが見え、3枚目の赤線で示したようにスパイクが傾いているのが分かります。スパイクがプレートの手前端を踏む形になっており、この傾きが、ペドロの自伝にも書いてあった「ラバー(プレート)の手前側の端を約45度の角度で踏みしめるようにして投げる」、Hooking the Rubberの状態です。これはドジャースの伝統的な技法で、今でも若手投手に教えているどのことなので、カーショウはコーファックスから学んでいると思います。

画像がやや粗いので、この状態は軸足がプレートから離れてるように見えますがちゃんとついています。カーショウのフォームはまず正面を向いているので、横を向いた時にプレートにスパイクのおよそ半分が乗っている形になっていて、体重移動の際にプレートの手前端に引っかけるような形になっています。プレートに触れない状態で投球をしてしまうと反則投球になります。

2. Hooking the Rubberのメリット

サンディー・コーファックスが取り入れてたのもあり、この技法にはしっかりメリットがあります。

ペドロは元々軸足の外側をプレートに当てるようにして投げていました。ただコーファックスはそれだと軸足が地面にスライドし力が入りにくくなり腕の角度やリリースポイントも低くなると言いました。プレートに引っかけるようにして投げれば、プレートの上に立つ形になり、高い位置からボールを投げ、フォームは安定し、ボールの勢いも増し、コントロールも定まりやすくなるとのことです。(『ペドロ・マルティネス自伝』P51〜52要約)


また、このやり方は体重移動がやりやすいです。BASEBALL REBELLIONではこのように書かれていました。

Hooking the Rubberは、投げる時に膝や尻を前に動かす際に、足を下方に移動させる(forcesと書かれているので自然とそういう形になることと思われる)。全体の動きでこの角度を維持するのは、骨盤を前に自然と出しやすくなる。」(BASEBALL REBELLION "Step Back to Swag: Creating Character in Your Delivery")

Hooking the Rubberは投げる際にスパイクが傾く形になります。プレートに足の半分を乗せて前に体重をかけると、スパイクが傾き自然と身体が前に倒れていきます。前への体重移動が意識せずとも行われ、マウンドの傾斜も合わさって強い球を投げることが出来ます。また、自然と体重移動ができる形になってるので力むことなく、投球動作中は力を抜くことが出来ます。

ただ、このやり方はプレートに半分足を乗せるのでバランスがとりづらいです。実際ペドロもアカデミーにいた時に教えてもらったものの、難しいと思いその時はやっていなかったそうです。バランスはプレートに足の外側をくっつける方が取りやすいと思います。

Hooking the Rubberは理にかなった技法だと思います。宣伝ぽくなりますが、これだけでなく、ペドロが学んだチェンジアップや彼の投球術など『ペドロ・マルティネス自伝』はとても読み応えのある1冊です。

出典…

『ペドロ・マルティネス自伝』、ペドロ・マルティネス、マイケル・シルバーマン、翻訳 児島修、東洋館出版社、2017

Rob Friedman(@PitchingNinja) https://twitter.com/pitchingninja/status/786183186174709760?s=21

BASEBALL REBELLION Step Back to Swag: Creating Character in Your Delivery https://baseballrebellion.com/step-back-to-swag-creating-character-in-your-delivery/

#野球 #mlb #投手

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