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ポール・オースター、好きな作品ベスト5

ポール・オースターにハマっている。

最近、仕事が忙しいからか、それとも単純に読書に飽きてきたからなのか、本を読みはじめても途中でやめてしまうことが多い。理由は不明だがちょっと困ってしまう。

でもそんななか、ポール・オースターの作品だけは、飽きずに最後まで読めてしまう。
気付いたら、日本で刊行されているオースターの作品は(ほぼ)全作品読んでしまった。

ということで、僕が好きなオースターの作品をベスト5にして述べたいと思います。

第5位 『偶然の音楽』
オースターの面白さに初めて気付いた作品。これ以前に『幽霊たち』『ムーン・パレス』も読んでいたが、ものすごく面白い、とまでは思わなかった。80年代に流行った作家、寓話を描くのがうまい、くらいの印象でした。
でも、この作品は前半のリアリズムの部分と後半の寓話が相まって、リアルな物語でありながら、読者によって様々な解釈が可能な物語になってます。リズミカルな文章によって、引き込まれ、物語のなかで築かれる壁の意味や、衝撃的なラストまで様々なことを自然に考えさせられます。

第4位 『内面からの報告書』
小説でなく回想録(メモワール)。といっても単純な思い出話ではなく、思春期に観た映画、青年期に恋した相手へのラブレターなど、自分以外の対象(モノ)を描くことにより、間接的に自分について語っています。
特に映画について語った章は、その映画を観ている以上に面白いのでは、と思います。
メモワールなので、ストーリーの続きが気になるというのはないですが、その分、詩的な文章の美しさはオースターの作品のなかでも随一だと思います。

第3位『サンセットパーク』
オースターの作品では珍しく、現在を描いた作品。
若者と、一人の中年男性の(オースターの分身か?)群像劇です。
物語としては、余計な部分や脱線が多い気がしますが、「誰かを愛することで、人は大人になる」という温かくシンプルなテーマが好きです。ラストの解釈は分かれますが、登場人物たちのその後の話を読んでみたい気持ちになりました。

第二位『ブルックリンフォリーズ』
暗い作品の多いオースターのなかでは、もっとも明るく気軽に読めます。
ニューヨークの下町ブルックリンを舞台にした群像劇です。読んでる間、そのあまりの面白さに終始にやにやしてしまいます。次の展開が気になる、物語の面白さではオースター作品随一だと思います。

第一位『オラクルナイト』
オースターいわく室内楽、だそうです。スケールは小さいてすが、オースター作品の特徴(書くとは何か、物語内物語、想像力について、そして愛することについて)が最もうまく表れてると思います。
複数の物語内物語がありますが、すべてが圧倒的に面白いのも売りです。暗い結末の多いオースターにしては珍しく、救いのあるラストも好きです。ちなみにこの作品はあまりに好きすぎて読書会をやったほどです。https://www.manabica.com/posts/8525484?categoryIds=2244251


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