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ポール・オースターの魅力

ポール・オースターにハマっている。この文章では、オースター作品の好きなところを挙げてみました。同時にオースター作品の薦めみたいになっています。

僕が好きなところとしては、以下の4つがあります。

1、リズミカルで音楽的な文章
 とにかくまずこれ。翻訳ものですが、文章がリズミカルで次々と読んでしまう。村上春樹が「音楽的な文章」と評するように、文章それ自体に味わいがある。例を挙げるときりがないので止めますが、文章の良さを味わうには、初期よりも後期の作品の方がオススメです。
ちなみに文章のリズムの良さ、美しさを味わうにはメモワール(回想録)『冬の日誌』、『内面からの報告書』が最適だと思います。

2、先が気になるストーリー展開
 2つめは、語り口のうまさからくるストーリーの良さです。物語の先が気になり、ついついページをめくってしまいます。ストーリーテラーとしての腕は、あの村上春樹以上なのでは、と思います。物語の楽しさを味わうには『ブルックリン・フォリーズ』、『幻影の書』あたりがオススメです。

3、本や映画がよく出てくる
 僕自身が本や映画が好きなので、本と映画が出てくるとついつい嬉しくなってしまいます。ほとんどすべての小説で本や映画に対する言及があります。また物語内物語も面白く、『オラクルナイト』に出てくる、ニック・ボウエンという過去を捨てる男の物語はそれ自体独立した面白さがありオススメです。

4、普遍的な友情や愛を描いていて、読み終わったあとの余韻がいい
これは、後期の作品の方がよく描けていると思います。(というか作品のテーマが、後期に入り、自己から他者へと移ってきた、ということでしょうが)『オラクルナイト』の主人公夫婦の愛、『リヴァイアサン』の主人公とサックスの友情、『サンセットパーク』のマイルズと父親の心のつながりなど。また脇役ですが、『幻影の書』に出てくる、ヘクター・マンに一生涯の恋をするノーラなども忘れ難い印象を残します。

 オースターは日本で人気が高く、海外文学を普段読まないという方にもオススメの作家です。読んでいる時はその文章の美しさと物語の面白さに酔い、読み終わった後はしんとした気持ちになれます。想像力のすごさ、人生の不思議さ、そして人を愛することの尊さに満ちています。ぜひ、オースター作品に触れてみてください。

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