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シンデレラ

1年で、時計の針が最加速する12月。

今年やれなかったことは、来年やるしかねぇと腹を括るしかない最後の日曜日。

いかがお過ごしですか?

仕事は納めましたか?

コチラ、東京。

帰省に踊る意気込みを詰め込んだ、膨大な数のキャリーカートの僅かな隙間をかいくぐりながら歩いています。

そんな私も、31日に地元、北海道釧路に帰ります。

まだ20代も前半の頃、私は札幌に住んでいた。

仲間たちと、すすきので呑み散らかすための週末の約束。

時計の針が24時を指す頃、誰かが言う

「やべぇ!終電だわ!」

そんなヤツに浴びせられる

「お前ぇ、シンデレラかよ!南北線がカボチャに変わっちまうってか!笑」

「悪い、朝早いんだわ」

「細せぇこと言ってやがんなぁ イケるべ」

しかし、帰るヤツってのは 頑なに帰ってしまうし、一方、残ったヤツらは数分で帰ったヤツの事など忘れてしまう。そんなもんだ。

終電という名の シンデレラ・エクスプレス は走り去り、舞踏会の残党は皆、何も考えられないカボチャ頭に変わってしまい、黄ばんだ朝日に目をしばたかせながら、モチロン馬車などは無く、将棋の桂馬のごとき歩みで始発が待つ地下への階段を汚れたスニーカーで降りていく。記憶を落として。

そして、再びやってくる週末 。

“ 忘れたことを忘れた ” いつもの仲間たちが集まり、更には、その夜 出会ったヤツも仲間となる。

東京に移り住んでも、そんな夜は数え切れないほどあった。

今では、1~2年に1回帰る札幌。

すすきのの夜に、昔からの仲間が集まってくれる。

時計の針が24時を指す頃、誰かが言う

「やべぇ!終電だわ!」

そんなヤツに私が浴びせる

「お前ぇ、シンデレラかよ!南北線がカボチャに変わっちまうってか!笑」

私以外の全員が言う

「悪い、朝早いんだわ」

皆40手前の父親。

家族の顔を思いながら終電が待つ地下への階段を革靴で降りていくシンデレラたちを見送り、私は独り、舞踏会に取り残される。

まぁ、そっから 余裕ですすきの独り舞踏会をしに行くんだけどもさ、釧路の夜中に放っぽり出されたら どこも閉まっちゃってんじゃね?と思うから、釧路のみんな そのあたりシクヨロ方面で☝致死量 オン ザ ラインまで呑むべ

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