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変わりゆくスポーツ中継の魅せ方&楽しみ方

ライブスポーツイベントはこの時代唯一と言っても良いぐらい視聴率が確保出来るコンテンツとされています。そのため日本時間2月4日に開催されるスーパーボウル中継のコマーシャルは30秒帯1つが約5億4800万円で売買が行われている程です。

生いわゆるライブというのが最大の武器であるスポーツ中継。長年米国のスポーツ中継を見ていて最近はファンの楽しみ方の変化に合わせて、魅せ方も変わってきていると思います。

現地のスポーツ中継を見た事がある皆さんも感じているかもしれませんが、実況席にいる皆が心の底から楽しんでいるという事です。そのため話がよく脱線してしまい、現地放送で何が話題となっているかを通訳する身としては非常に困ってしまう事も時にはあります。これはいつまで経っても変わらないスポーツ中継の良さではないでしょうか。地方局になればなるほど、そのアットホームさは居心地良いものであったりします。

ですがその楽しめている裏には多大なる準備絶大なる知識が自信となって表現されているのかと思います。そのため中継中に出てくる情報やネタの豊富さにはいつも驚かされます。現場でも記者顔負けの取材力で色んな話を選手や関係者達から引き出し、それを中継に活かしています。

中継アナリストから現場復帰への道筋

世の中に多くのデータが溢れる事で中継の魅せ方も変わってきています。中継を彩るアナリストの役割も重要度を増しています。ライブで出てくる数字を噛み砕いて、視聴者に上手く伝えていく必要があります。元選手がゲスト解説という立場ではなく、アナリストとして中継チームに加わる事が多い米国のスポーツ中継。現役選手を引退後にアナリストとして自らの知見を披露し、監督やコーチとして現場に復帰するケースも増えてきています。MLBでは名門球団とされるニューヨーク・ヤンキースやボストン・レッドソックスでもその動きがありました。

アメリカンフットボールの世界でも先日行われたAFCチャンピオンシップで中継アナリストを務めていた元ダラス・カウボーイズのトニー・ロモ選手の解説ぶりが評価されています。

変わりゆくスポーツ中継の楽しみ方

そんな中、実際にファンもスポーツ中継を見るだけでなくインタラクト出来る新たな仕掛けを行ったのがNBCワシントン局でした。ワシントン・ウィザーズのオーナー会社であるモニュメンタルスポーツ&エンターテイメントがパートナーとしている局です。

先日のワシントン・ウィザーズとミルウォーキー・バックスのNBA中継にて試合中もう1つのチャンネルを用意して、そこでは視聴者とのエンゲージメントを高める事を可能とするベッティング機能を加えました。

試合開始5分後にリードしているチームを予想したり、特定の選手が1つのクォーターに10点取る事が出来るかどうかを予想したりなど対戦カードに興味がない人をも惹きつける仕掛けを行いました。

このPredict the Gameと題したゲームの勝者には500ドルの賞金も与えられましたが、米国でスポーツ賭博が合法となった州が増えてきた事によって今後スポーツ中継との掛け合わせも大きな可能性を秘めてきます。この中継のスポンサーについていたのはMGMナショナルハーバー。総合型リゾート運営会社MGMがワシントンDC付近に運営するカジノを含むリゾートホテル施設です。

ウィザーズのオーナーであるテッド・レオンシス氏も今回の取り組みについてコメントしています。

「お客様に選択肢を与える事を意識しています。このようなコンテンツに興味のない視聴者も多くいると思いますが、その人達はNBCワシントン局がお届けする通常の中継を継続して見ていただければと思います。ですが極一部このようなコンテンツに物凄く興味があるファン層もいます。」

この試合は結果としてシーズン平均より視聴率が26%高く、チャンネルを合わせた20%の人がベッティング機能を加えた中継を視聴していたそうです。

これまでは豊富な情報量やお茶の間の視聴者を楽しませる事が醍醐味だったかと思いますが、これからはファンも共に楽しめる中継というのが求められていくのかもしれません。切れ味鋭い分析をする元選手やアナリストの皆さんの意見に耳を傾け、それを元に自分も予想をして競い合っていく。多彩な視聴者に合わせ、カスタマイズしていく柔軟性溢れる中継作りが新時代のスポーツ中継を作っていく事になるのかもしれません。

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