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ぼかれびゅ:130年越しのラブレター/nenene,

 曲掘れワンワンぼかれびゅワン!

 ……という挨拶を考えてみたんですが今回のボカコレで流行りませんかね? あ、ダメですか分かりましたハイ。

 ともあれ! こちらの記事は挨拶の通り、曲をさらに深掘りして考察する長文ぼかれびゅとなっております。
「ほへ〜こんな考えもあるんだな」程度にゆるっとお読みください。

 さて紹介する楽曲ですが、【ハロ、オーヴェル。】(ボカロP:nenene,)です。

https://www.nicovideo.jp/watch/sm42358763


 ちなみにこちらは先月1月21日にニコ生で行われた、ボカロビブリオバトル企画「ぼかれびゅ合戦」で自分が紹介した曲です。
アーカイブはこちら↓
https://www.nicovideo.jp/watch/sm43345625

この記事と合わせて楽しんで頂けたら幸いです。
参加者の方々、皆さん良〜〜〜〜いぼかれびゅしてるので、ボカロ好きは楽しめると思いますよ!

 ということでぼかれびゅ合戦の内容と被る部分もあるのですが、「ハロ、オーヴェル。」という楽曲を紹介するにあたってやはり外せないのは『情熱的』という印象でしょう。

 ではなぜ情熱的なのか。
 個人的には、ドラムがその役割を担っているのではないかと思います。

 曲を聞くと伝わると思うのですが、低音であるバスドラムが強めで、心臓がドクドクと響いているような心地になりませんか?
 言うなれば曲の土台に〝鼓動〟が存在しているんです。
 しかもバスドラムだけでなく、全体的な印象としてドラムのリズムがかなり多彩だと感じました。

 一番二番三番と各種サビを聞き比べてもらえると分かりやすいのですが、ドラムのリズムが全然違っていて、同じサビでも印象が違って聞こえます。
 まさに曲全体を動かす〝鼓動〟だと感じました。

 では鼓動によって巡る〝血潮〟はなんなのか。
 ここはやはりギターを推したいです!

 始まりから最後まで縦横無尽にメロディを変化させて、曲全体を生き生きと輝かせている。
 それが特に感じられるのがサビ直前。

曲の0:30~付近

 滅茶苦茶カッコよくないですかここのギターの入り!
 いやカッコいいって!

 そんな血潮が巡るからこそ曲に熱が生まれ、曲の〝顔〟であるボーカルが際立っているんじゃないかと思いました。
 しかもここまで情熱的に盛り上げてきた各種楽器とは対照的に、ボーカルのミクさんは悲しみさえにじむような静かな歌い方……。
 加えてサビでは後ろの方に、シンセの高音がそっと彼女を後押しする。
 なんだこれは。〝顔〟をより美しく見せる化粧かアクセサリーか?
 仕事ぶりが完璧過ぎんだろ!

 そんな風に曲が瑞々しく〝生きている〟。
 だから『情熱的』という印象を抱いたわけです。

 もちろん自分の音楽知識は乏しいので間違っているかもしれません。そこはご容赦してくださって……というか間違ってたらむしろ教えてください!(ジャンピング土下座)


 とまあここまでは音楽的な観点からのぼかれびゅ。
 ここからは、MVも含めた物語的な観点からのぼかれびゅです!
 これなら音楽知識がなくてもできるぜ。やったね!

 
 では皆さんにお伝えしたい魅力とは一体何なのか。
 やはり、MVにも出てくる「星月夜」の絵画とその作者。
 そう――ゴッホです。

 ぼかれびゅ合戦では「曲紹介のサビ」なんて言いましたが、やはりこの曲の魅力を100%味わおうと思うと、ゴッホという存在は外せないと思います!

 例えばタイトルである「ハロ、オーヴェル。」のオーヴェルが何なのか知っていますか?
 こちらはフランスのオーヴェル=シュル=オワーズという村のことで、ゴッホ終焉の地でもあります。

 そんな場所に「ハロ」と声をかけているのに、終わりを意味する「。」がついている。
 まるでこの世を去った彼には、二度と会えないことを突きつけるように。

 歌詞にも注目すると、情熱的なサウンドとは違って悲しみが際立ったものになっています。
 そう思うとこの曲がゴッホの――ピストル自殺で最期を迎えた彼の悲しみを歌っていると感じてしまうのは僕だけでしょうか。

 さらに言うとMVに度々現れる「星月夜」の絵画。
 左側に大きく長く描かれた糸杉が印象的ですが、これは一説には『死への架け橋』を意味しているとも言われます。

「星月夜」

 そんな不吉な絵をMVに用いているのは偶然でしょうか?
 いいえ。
 共に動画に出てくる少女に注目すれば、それが必然だと分かるはずです。

 彼女の右手。
 まるで引き金に指をかけているようにも見えませんか?

 涙する彼女が銃を握りしめているのだとしたら、その銃口はいったいどこに向いているのか。
 もうお分かりでしょう。
 彼女は彼女自身に銃口を向けている。
 ピストル自殺で生涯を終えた、ゴッホと同じく。

 そして曲の終盤に、唐突に音が途切れる瞬間があります。
しかもそこに差し込まれるのは、まるで心電図が止まった時のような無機質な電子音と、死の象徴である糸杉が映った星月夜。

 このシーンこそ、僕の伝えたい曲紹介の大サビです。
「ハロ、オーヴェル。」はゴッホを歌った曲だと言いましたが、さらに踏み込むと、彼の死の瞬間を歌にした曲
僕はそう感じました。

 では改めて、ここまで読んでくれたあなたに問いたいです。
 この曲をどう感じましたか?
 題材であるゴッホのことは?

 悲しい。

 その印象が浮かびましたか?
 僕も初めはそう感じました。

 けれど、実はもう一つ。
 曲始まりの方にパッパッパッと数回、一瞬だけ映し出される英文がありますよね。

 この英文を読み解いた瞬間、「ハロ、オーヴェル。」がただの悲劇の曲なんかじゃないと確信しました。

 実はこちらの英文、Google翻訳のオランダ語→日本語で翻訳することができます。
 ここはあえて!あえて内容を語ることはしません!気になった方はぜひ調べてみてください。

 ともかく僕が伝えたいのは、そんな隠されたメッセージに書かれていた作曲者――nenene,さんの思いの美しさです。

 確かに「ハロ、オーヴェル。」は悲しみを歌った曲に違いないでしょう。
 それは「星月夜」という『死への架け橋』が描かれた絵画をMVに使っていることからも明らかです。
 もしかしたらこの曲は、死んだゴッホと生きている僕たちを繋ぐ架け橋なのかもしれません。

 でもそれは決して、死の世界への誘いなんかじゃない。
 むしろ逆。
 ゴッホの生きた証を歌ったこの曲は、明日を生きる僕らへの希望に他なりません。

 どうしてそんなことを言い切れるかって?
 だって前半で散々言ったじゃないですか。

 この曲は『情熱的』で瑞々しく、〝生きている〟と。
 今を生きる僕らが、鼓動を動かして生きているように。

 だから僕はこの曲が好きです。
 今を生きるための力になってくれるから。

 そしてゴッホという炎の画家の存在を、この世界に蘇らせているから。

 もしかしたらタイトルには、そんな意味もあるのかもしれません。


 そ!し!て!

 そんなエモエモな、ゴッホへの約130年越しの愛を送ったnenene,さん。
 来たるボカコレ2024冬(2/22〜2/25)にも参戦されるようです!
 ここまでのぼかれびゅを読んでくださったあなた!僕の大注目のボカロPの一人です。どうぞニコニコ、ツイッターなどをフォローして当日待機しませんかという宣伝でした!
わーお露骨う!


 もちろんnenene,さんだけでなく、注目しているボカロPが数多く参戦されるボカコレ。
 皆さんもwktkしたり胃がキリキリしていることでしょう。

 だけどその思い全てが、あなたが生きているという他ならぬ証拠です。
 どうせなら鼓動動かして血潮巡らせて、情熱的にこのイベントを楽しんでいきましょう!

 以上!「ハロ、オーヴェル。」の長文ぼかれびゅに乗せた、ボカコレへの期待を書いた記事でした!

 いっぱい曲掘れワンワンぼかれびゅワンしてくぜえええええええええっ!


2024年2月20日 

ガストでフルーツヨーグルトボウルの酸っぱさにソフトクリームトッピングしときゃよかったと後悔しながら。  高広亮

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