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【飲食業界】ローコストオペレーションを考える際、採用コストや定着コストを下げる観点も必要である。

ども、スマレジの新垣です。
飲食店の採用と定着について考えてみます。

私は、飲食店の採用戦略は、経営戦略のど真ん中だと思っています。
正社員だけではなく、パート・アルバイトも含めた採用戦略です。
採用戦略は、文字通り「採用する」ことが中心ですが、「人材育成」や「定着」させることも戦略的に行う必要があります。


飲食店の80.4%が非正社員が足りない

帝国データバンクの調査データを見ると
 ↓

非正社員の人手不足割合を業種別にみると、「旅館・ホテル」が81.1%で最も高く、正社員と同様にトップとなった。次いで「飲食店」が80.4%で続き、この2業種が群を抜いた人手不足状態に陥っている。

引用元:帝国データバンク 人手不足に対する企業の動向調査(2023年1月)

こんな声も上がっているようです。

飲食店業界からは、コロナ禍の相次ぐ時短営業で離れてしまった働き手が戻ってこないという声が多く聞かれる。そうしたなか、「まずはモバイルオーダーを導入した。さらに効率化を進めようと配膳ロボットを導入しようとしたが、店舗のレイアウトの関係で導入が難しく、次の手を模索している」(酒場・ビヤホール、福岡県)のような、あらゆる打ち手を重ねているが苦戦が続く状況がみられた。

引用元:帝国データバンク 人手不足に対する企業の動向調査(2023年1月)

これらを読んで思いました。
飲食店は「ローコストオペレーションをどう構築するかが、より一層重要になるのではなかろうか」と。

採用の観点も踏まえローコストオペレーションを構築する

「人を採用しにくいからこそ、ローコストオペレーションを構築するべきだ」これが私の考えです。

通常、ローコストオペレーションは売上や粗利益に対して「販売管理費(人件費、店舗の賃料、光熱費、広宣伝費)」を下げることを言います。
がしかし、飲食店がローコストオペレーションを考える際には「採用コストや人材育成コストもどう減らすかという観点」も必要ではないかと思っています。

単に販管費を下げるのがローコストオペレーションではなく、採用や定着などにかかる「見えにくいコスト」をどう削減するかが、これからの飲食店の課題です。

人を採用し、育て、定着させるのにもコストがかかっています。
育成や定着にかかるコストは、見えにくいコストなので取り扱いが少々困難です。

「採用コスト」や「育成コスト」を減らしても、店舗運営が成り立つよう、オペレーションの構造自体を工夫する必要があるのではないでしょうか。
つまり、オペレーション(店舗運営)の構造自体を工夫すること。これが飲食店にとっての課題です。
先日の日経新聞に、示唆多い記事が上がっていました。
 ↓

店舗オペレーションを工夫すれば、採用と定着もうまくいく

物語コーポレーションが北海道に初出店させた「丸源ラーメン」が良い事例です。
日経新聞の記事
 ↓
北海道初上陸の丸源ラーメン、ローコスト運営で客数2倍

「待たせない店づくり」をコンセプトに、テーブルとカウンターの全席に注文用タッチパネルを備え、レジは完全セルフとセミセルフのレジ2台が稼働しているようです。

オープンしてやがて3か月がたとうとしていますが、採用した約70人のうち、離職者は1人のみのようです。すごいですね。

同社は「過去に例のない少なさ」(池田頼信事業部長)と胸を張る。メニューを詳細に覚える必要がなくなり、注文やレジ周りの業務が減ったことが従業員の定着につながっているとみる。

引用元:日経新聞の記事

注文時のミスはなくなり、会計もスムーズに、結果、店舗の回転率は上昇し、来店客数や売上高はともに全店平均の約2倍に高まったとのこと。

新人従業員に対するトレーニング時間も、従来の3分の2程度に減少したようです。見えずらかった、育成コスト削減に成功したということだと思います。

店舗のオペレーションを工夫すれば、採用と定着もうまくいく。これこそが、これからの飲食店のローコストオペレーションで目指すべき目標だと思うのです。

この事例のポイントは、開店時から、ローコストオペレーションを構築したという点です。これが新しい飲食店の開業方法であり、きっとこれが当たり前になってくるでしょう。さらに言うと、このような店は人材を確保できるが、それ以外の店は人材を確保できないという現象が起こり始めるはずです。

①接客でオーダーを受ける必要があり、レジ打ちも発生する店
②お客様自身でオーダーから会計まで済ませることができる店
この2つの店の求人があるとします。
どっちのほうが、覚えることが多そうだと思いますか?①のほうが多そうですよね。
家から距離が同じ、時給も同じだとしたら、どっちに応募が集まるでしょうか?おそらく②に集まるのではと思われます。①のお店は、人材が集まらないし定着しないので、ずーーーーと、採用コストと育成コストが発生し続けるということになります。年末や夏休み中の繁忙期などでは、人材確保が困難になり、既存スタッフの負担が増し、退職してしまうかもしれません。遅かれ早かれ、こんな現象が目に見えて起こり始めるはずです。(都会と地方での差はあるかもしれませんが)飲食店経営者は、このような業界の流れが起こっていることは認識しておく必要はあると思います。

採用と定着に対するコスト削減も考える

ローコストオペレーションを考える際は、どうしても人件費という見えやすいコストを下げることばかり考えがちです。
がしかし、
これからの飲食店は、人件費を抑えるということだけではなく、採用と定着に対するコスト削減も考えながらローコストオペレーション(店舗運営の工夫)を構築するのが重要だと思います。

ITやデジタル、AIなどが台頭し、新しい職業も生まれてくるでしょう。飲食店にとって、ますます人材採用が難しくなります。

商売を持続させるために、採用と定着のコスト削減の観点を踏まえたローコストオペレーションの構築が求められます。

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