俺はいいけど、うちの〇〇がなんて言うかな?

私の会社には一つの商品しかない、
私である。

㈱キャピタリアンの目的は、商品であるところの平野亮を売って、金を稼ぐことである。
一方、平野亮の目的は、愉快に生きることである。

㈱キャピタリアンの行動原理は、最小のコストで最大限の利益を求める「最大生産努力」である。
平野亮の行動原理は、最小の労力で最低限の暮らしを愉しむ「最小生計努力」である。

㈱キャピタリアンの判断基準は、事業の再現性・拡大可能性であり、その市場価値である。
平野亮の判断基準は、経験の一回性・唯一無二性であり、その私的価値である。

㈱キャピタリアンは、商品を売るために平野亮の「ベネフィット」を世に知らしめる必要がある。
一方の平野亮は、自分のことを「天下無用」の人間だと公言して憚らない阿呆である。

が、平野亮は実のところ「ブランド品」らしく、本来はもっと儲けられるはずらしい。
しかし悲しいかな、経営者が後先考えないお気楽馬鹿なので、㈱キャピタリアンの業績は一向にぱっとしない。

㈱キャピタリアンは仕方なく、唯一の社員である平野亮を、休みも与えずこき使っている。
だが当の平野亮は、話は聞かない何を言ってるのかもよくわからないトラブルメーカーである。


ご覧のとおり弊社は、不良商品、無能経営者、問題社員で成り立っている(正確には成り立っていない)。
こんな「困りもの」を受け入れてくれる会社は他にあろうはずもないので、私は薄給に文句も言わず愉快に働いている

おひねりはここやで〜