裸の王様
7月27日金曜日、晴れ(復帰丗一日目)
台風が近づいているせいなのか、今朝も非常に過ごしやすく快適な気温。計ってないので、あくまで体感の話。
こどもの三者面談のため朝、学校へ。
それにしても夏休みに学校に来て仕事をせねばならないだなんて、学校の先生も大変だ……。
って、あれ? 学校の先生は夏休み期間って、夏休みなのかな? 運動系の部活の顧問なんかだと付き添いがあったりで大変だろうけれど、日直の場合を除いて出勤する必要はなさそうな気もする。
ひょっとして有給休暇状態、なの?
だとしたら、それって素晴らしいことだなあ。
* * *
『最初の約1ヵ月は、本当に家でだらだらしてました。』
『これがほんとに最高でした。』
文字通り読んではいけないのかもだけれど、僕は休職期間に家でダラダラすることは、気が咎めてできなかった。
世間の皆さまが、家族が働き学校で勉強しているときに、自分だけ自分のことだけをして楽しむだなんてとんでもない。
せめて何か役に立つことをしないといけない、と、そんな風に感じていた。気がする。(5月から note(ノート)をつけている。復職するまでの6月までの記録をふりかえると、ほんとうにそれだけだったかは確認できそう)
いや、今回の休職はそれでも自分の趣味に時間を使うこともできたし、外出するときも、ご近所の目を気にすることなく歩くことができた。
ひどかったのは前回。
いい大人が。
自分で自分の精神面の管理もできず働けなくなって。
真昼間っから生産的なこともせず。
穀潰し。
クズ。
お天道様に顔向けできぬと、心療内科に行くときも人に見られないよう文字どおり体を縮こめ、とにかく1日でも早く復職できるようにと自分を追い立て、一通目の診断書に書かれた3ヶ月の休職期間で復帰可能の二通目の診断書をもらい、職場に戻ってからも仮面をかぶって「普通に働けます大丈夫」をアピール。結果、稀にみるほどスムーズに復職できた例として人事に言われた、記憶が、ある。
* * *
僕は、おそろしいほど冷たく、人に厳しいんだとおもう。
鬱を患う人に向けられる心無い言葉というのがあるけれど、まさにあれを人に投げつけるような人間なんだとおもう。ずいぶん軽くなった、いや軽くしようとしているけれど、いまだに平日の真昼間にパチンコに打ち興じている人を見ると心中穏やかでなくなる。
そう、
だからやっぱり今でも、おもってしまうんじゃないかって怖くなる。
は? 体調を崩した? なに甘えてるの?
そんなことでよく一人前の顔をできるね。
穀潰しが!
そしていざ自分がそのときになって、人に向けてきた刃のひとつ一つが残らず自分に向き、自分を引き裂く。
因果応報。
* * *
「じかんプロジェクト」と称して、人事から勤務時間を短くするようメールが発信された。
ただでさえ個人がこなさなければならない業務が溢れているのに、この上、時短? どうやって責務を果たせばいいのですか?
そう噛み付いた人がいた。
妻も、残業禁止と言われ、こなせない量の仕事を積み上げられ、こんなのどうすればいいの? と悩んでいる。
日本企業は、ある程度の規模を誇るところはすべからく、奴隷を絞って絞って絞り尽くして、壊れたら幾らか払って替えを用意すればいい、そんな風に考えている節がありはしないだろうか?
なんら工夫もせず考えもせず「でーきーまーせーんー」と答えるのはどうかとおもうけれど、休憩も取らずトイレに行く時間も惜しんでシャカリキに取り組んで、それでなお終わらない仕事を「はい、やれ」と積み上げられた状態で「与えられた仕事を果たす責任」というのも、やっぱりどうかしている。
現場の創意工夫で乗り切ってほしい、か。
たしかに、乗り切らないと職場が潰れ、あるいは馘首され、明日からの給料がもらえなくなるという恐怖は抑えがたい。
でも、これまたおかしな話だ。
失われた20年と言われて久しいけれど、この間、企業の内部留保は上昇し続けている。労働者の懐具合はますますお寒くなっているのに反して。
僕らはあまりに従順で、だから見えなくなっているんだとおもう。
大きく力強く育った象である自分が。
自分を縛る紐と結ばれた杭は、あまりにちっぽけで、ほんの少し力を入れるだけで引っこ抜けることに。
* * *
あるいは、踏み出した未知の世界で生きていくことへの怖れ。
あまりに少ないエサだけれど。
虐待もされるけれど。
それでも、まさか殺されるようなことはないだろう。
まわりの仲間も同じような待遇で耐えているんだし、これが当たり前。
そんな自己弁護。
でも、なんだかんだで僕は二度、壊れた。
ぽつぽつと見かける、過労死のニュース。
そして外れつつあるタガ、高度プロフェッショナル制度。
「できないものは、できません」
まっとうな声を上げる時がきているのだとおもう。
「王様は 裸だ!」
ねえ、あなたも気づいているでしょう?
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