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職場見学会

8月3日金曜日、晴れ(復帰丗六日目)

(疲れ果てていて帰宅後、着の身着のままで布団に倒れ伏し日付が変わる前に声をかけられ起きはしたものの居間で椅子に座ったまま朝まで寝落ちするという、なんとも情けない夜を過ごしてしまったおはようございます)

お父さん、お母さんが働いている場所を実際に見て(企業名)のビジネスや職場、仕事への理解を深めよう! と、こどもたちに向けて、そして共に暮らしを支える家族への感謝のひとつとして、との企画趣旨で(企業名)Family Day と冠した職場見学会があった。

数年前にも一度、その時は妻にこどもらを連れてきてもらって家族で見学したことがあった。けれど今回は妻は時間の都合がつかずこどもたちだけで。電車の乗り継ぎの時間だとかも自分たちで調べてちゃんと品川駅までやってきた。(ほんと成長したものだなあ)

僕のオフィスは違うのだけれど、たまたま引き当てた工作イベントがヘッドオフィスでの開催ということもあって、そちらに移動。ふだんは閑散としているだだっ広い一階の吹き抜けエントランス兼展示コーナーは、今日はそういう日だということもあってごった返していた。
イベント会場の二階にエスカレーター(!)で登り吹き抜けを見下ろしたら、なんというか場違いなところで働いているものだな…… という感覚に襲われた。
ふだん打ち合わせだとかイベントだとかでは、しごく当たり前に使っている場所だったのだけれど、こどもらを連れていると景色がまったく違って見えた。

エントランスで「お父ちゃんは今、なにをつくっているの?」と聞かれたので、スマホを取り出し App Store で検索して、これ、こういうの、と見せた。
今回の仕事が一番、こどもらにとって身近に感じられるものだという気がする。
いろんなソフトウェアに関わってきたけれど、実際に世にでるプロダクトのプロダクションコードに責任を持っているというのは、ふりかえって随分と恵まれた仕事をしているようにおもう。(僕の名前は表には出ないけれど)

僕の立場で言うプロダクションコードに対する責任というのは、ビルド環境を整え、設計方針を打ち立て、コードを書き、レビューしレビューされ、報告されたバグを修正して、 ……というもの。入社以来続けてきたこと。これからも、叶うなら死の間際までずっとコードを書き続けたい。

* * *

工作イベントは某会場で行われているものと同じものを期待していたのだけれど、短縮版だったため工程途中でおしまい。
進行役のお兄さんの「どこまでできるかな〜?」ということばに「一番で進めようね!」と張り切っていたこどもたちを見ていただけに、部品も足りず組み上がりもしないというのは、途中手持ち無沙汰の待ち時間がたびたび発生したこともあって残念だった。

ほかにもイベントをしていたのだけれど、ちみっこたちに混じるのはちょっと…… というので諦めた。

* * *

御殿山を抜けて僕の席があるオフィスへ。(ここ数年で進んだ再開発のため、いっとうみすぼらしさが際立つ感じがする)

二階の休憩コーナーで人事のお姉さんたちがこどもらを歓待してくれた。変な言いかただけれど、こぢんまりしていて、家庭的な雰囲気がある、……気がする。大企業グループの端に名を連ねる子会社にしては。

三階に行き、席にいたプロジェクトのメンバーそれぞれに挨拶してまわる。
仕事時間中に構ってくれてありがとう!

「こんな大きなお子さんがいるんですね!」という声が聞かれたけれど、そう、そうなんですよ。いつの間にかこんなにも大きくなって……。
「お父さんにプログラム教えてもらった?」「いや、教えてくれるはずだったんですけれど……」「お父さん、教えるの上手だよ!」 フォロー、ありがとう。

僕の席にあるパソコンを見てのこどもらの感想は、自社製品じゃないんだ? ってことと iMac のホイールなし Magic Mouse のデザインの鮮烈さ。しきりとかっこいいと言っていた。(そうだよね、インパクトあるよね……)

* * *

ここ数日やっている画面まわりの設計書とコードをチラと見せて、こんなことをしているんだよと軽く説明。「毎日、こういう仕事、楽しい?」と聞かれ、おもわず言い淀んでしまったのは反省している。そこは「めっちゃ楽しい!」と即答したかった。

めっちゃ楽しいことは、ある。
とくに、しっちゃかめっちゃかなコードに構造が見えてきて、抜き出して形を与え固定できたときなんかは踊り出したいくらいの感激がある。

ただ、そういう感動の瞬間はなかなか訪れるものでなくて。腰を据えて粘り強く諦めずにゴリゴリと身を削るような作業を続けるものだし、それを続けるからこそ光る瞬間が手に入るのだともおもう。
だからと言ってずっとゴリゴリやっていられるかというとそんなことはなくて、打ち合わせやら何やら、たびたび中断も入る。

だから。
仕事には楽しい「瞬間」がある、というのが僕のいまの答え。
ただ身を浸している時間が長くなるほど、瞬間の回数は多くなる。
そしてコードの中から得られる発見の喜びは強烈な快感を伴う。僕にとっては。

* * *

帰り道、渋谷のタワレコで Splatoon 展を見に寄ろうと計画していたのだけれど、甘かった。
平日も整理券なんだ……?

* * *

何を食べよう? と、不案内なものだからものすごく迷い挙句決めきらず、フラフラ迷って「元気寿司」を見つけて入った。

回転寿司と言い条なにも回転しておらずタッチパネルで注文するとレーンの上に皿を乗せたトレーが走り出してくる方式。(「お客さんの回転は早かったよ?」とはこどもの言。ちょ、おま、誰がうまいこと言えと)

たまたま空いていたので二手に分かれて案内してもらう。まわりは恐ろしいほど外国人ばかり。英語仏語にイタリア語。たぶん中国語もあった。(店員さんの中華率が高め?)
店を出たとき、行列がわーっとできていたけれど、とにかくすべて外国人。

あと、ぜんぶサビ抜き。
(最後に気づいた。
 最後まで気がつかなかった、とも。
 味気ないとおもったんだよ…… ← 負け惜しみ)

ニンジャスレイヤーのスシカウンターを想像せずには居れなかった。
タッチパネルで注文! キャバーン! シュゴー! ゴウランガ! 飛び出してくるスシトレー! スシをつまむ。ショーユの小皿に浸し口に運ぶ。モッチャム! スシをつまむ。ショーユの小皿に浸し口に運ぶ。モッチャム! 続けて注文! キャバーン!! シュゴー、スシトレー!! おお、なんたる退廃的マッポー的アトモスフィアか!

元気寿司、圧倒的アウェイ感でございました。

まあ言ったら、渋谷という街全体が僕にとっては異世界すぎる。

渋谷スクランブルのそこかしこでセルフィーに興じる外国人、
目まぐるしく切り替わるオーロラビジョン、
街のあちこちを隙間なく埋め尽くす「音」。

いや、怖い怖い。

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