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霧ヶ峰

8月12日日曜日、晴れ

「ああっ! そんなに距離を詰めないで〜!」
「うわ〜! 踏んでも全然スピードが上がらない〜!」
僕はみっともなく悲鳴を上げながらレンタカーのアクセルを踏みつけて霧ヶ峰ヴィーナスライン目指してつづら折りを登っていた。

いや、怖いですね!

どちら向きから考えても怖い。
つまり。
あがれー!! と祈りつつ慣れないレンタカーのアクセル踏んで車間距離を詰められながら急カーブ、ヘアピンが連続するつづら折りを攻略するのは正直とても怖いし(主観の怖さ)、他方で年に一度実家に帰省したときにちょろっと運転するようなペーパードライバーが山道を走っているという事実は、ふだん運転に慣れている皆様からすると恐怖以外のなにものでもないだろう(客観の怖さ)。

* * *

それにしても上まで来ると本当に涼しい。昨日、天気アプリを見たとき上諏訪の気温は28度と、東京ほかと比べて6度から8度低かったけれど、霧ヶ峰高原はたぶん10度台だったんじゃないかな。
日が照ると直射でジリジリ炙られる感じはするけれど、幸い(あいにく?)の天気で降りそうなくらい曇っていたのでフライパンの上の目玉焼き気分はさほど味わうことなく済んだ。

とはいえ山道をとぼとぼ歩いているとじんわり汗は浮いてくる。暑くはないのだけれど。

もう少し登って、向こうにヴィーナスラインが見えているけれど、丘の上から見下ろす高原。
写真は撮っていないけれど、この曇り空のなか悠々とグライダーを飛ばしている人がいた。気持ち良さそう。いつか乗ってみたい、気がする。(でもそのための訓練とか、面倒なんでしょう?)
ところで高原でグライダーを飛ばすのって、どこから飛び立ち、どこに下ろすんだろう? 下手すると高低差が軽く数百メートルという落差を(飛ばすためにあたう限り軽く作られているだろうとはいえ)重い機体をえっちらおっちら担いで(いや、トラックで牽引するんだよね)登るのは絶望的な気持ちになるんじゃないかなあ。

下から見上げたときは何なのかわからず、ガスではなかろうし給水タンク? などと妄想していたこの球体はレーダー観測所、だそう。長野気象庁の持ち物。天候の観測などに大きく貢献しているそうです。

レーダー観測所の裏手には車山神社。神社と言い条、その辺りの道端にあるお地蔵さんくらい、一抱えほどの可愛らしいおやしろ。(写真の外、右手あたりに、きちんと鳥居がある)
ここでも四方を囲む御柱(おんばしら)。これも7年に一度、立て替えるのかねえ?

昨日調べた神社参拝の礼法に則り、賽銭、二礼、二拍手、一礼。
(賽銭の後に鈴とあったけれど、諏訪の神様はどこも鈴をさげていなかった。参拝者が多いから、いいよいいよわかったよ、うるさいからね、くらいのお気持ちなのかもしれない)
たぶんそうなのだろうと勝手に解釈して、礼は気をつけの姿勢から上体を倒すようにして、拍手は柏手。両方からバチンバチンと打ち鳴らすアレ。手を合わせて拝むのは、無しにした。

光を浴びる車山湿原。湿原では枯れた植物が腐植せず堆積し、その上に別の植生が代を重ね ……しているらしいです。レーダー観測所脇の立て看板にあったけれど、メモをとっていないのでうろ覚え。
分解して栄養に返すような虫や微生物が、少ないのでしょうかね?

季節外れなのか、それともここ高山では季節なのか、ウグイスが歌っていた。

* * *

カバーの写真は高原から見下ろす諏訪湖。

昨晩、妻から聞いたのだけれど映画『君の名は。』の糸森湖のモデルなんだとか?(調べていない)
これまた妻から聞いたのだけれど、どこぞにそのように見えるスポットがあって巡礼用の聖地になっているのだとかなんとか。

聞かれていないけれど。
なにがそんなに僕の心を打ったのか、『君の名は。』はほんとうに大好きな作品で。上映期間中に五回映画館に足を運び、その度に涙を流し、そのために Blu-ray プレイヤーも購入してディスクを買って2度、視聴した。

諏訪大社の御朱印スタンプラリーのついでに『君の名は。』聖地巡礼とあわせて、うん、それならレンタカーを借りてもう一度というのも言い訳が立つ、気がする。(いいえ、それは一般の感覚ではありません!)

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