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フィルムについて現時点で思うこと

「富士フイルム、一部の写真フィルムを一時受注停止。原材料の調達不足で」

SNSで富士フィルムのニュースを知った。原材料不足によりフィルムの一部の受注を一時停止するという。フィルムの一部となっているが主力製品のほとんどだ。ほかに大判フィルムなどがあるが、それらはそんなに売れるものではないので在庫があるということだろう。

私に関係があるのはフジクローム PROVIA 100Fの135と120だ。最も中庸なリバーサルフィルムのシリーズであり、ずっと使ってきた。デジタル登場以前はフィルム1本800円程度で現像も800円弱。計1,600円程度の印象が強い。それがどんどん値上がりし、現在はフィルム1本2,160円で現像1,793円。なんと計4,000円ほどである。(フィルムはヨドバシカメラ、現像はプロラボクリエイトの価格)

1本3,000円程度までは時々使ってきたが、それ以上になった時から撮っていない。だから今回の発表に文句を言える立場ではない。しかし好きなフィルムカメラで潔く決め打ちをして、思い通りに撮れていた時の喜びはデジタルでは味わえない。何よりも強い写真が撮れるのだ。

主なフィルムの種類には大きく分けて3つある。カラーリバーサル、カラーネガ、モノクロネガである。今までの自分の使い分けと現在の考え方を書いておこう。

まずカラーリバーサル。これは仕事ではカラーの印刷原稿用であり、私事では撮った時点で完結するカラー作品だった。それと露出がシビアなので中古のカメラを買った時のテストにも使った。仕事も私事もデジタルに置き換わった。前述したようにこの価格ではもう撮れない。たまに撮りたいけどなあ。

次にカラーネガ。仕事では、印刷はモノクロでも時間がない時の現場渡しフィルムとして使った。私事では日常記録用として長く使った。近所のミニラボは私の好みの調子を把握してくれていた。オートボーイなど普通のコンパクトで撮った写真でもクォリティが高かった。1990年代はそれが普通だと思っていた。「ミニラボ」って検索してもほとんど出てこないな!

しかしアナログのプリンターが衰退してデジタル処理になり、髪の毛が針金のように見える酷い仕上がりを目にして使うことは一切しなくなった。アナログ処理の店もあるがプリントの機械は新規に作っておらず先がない。カラーネガは自分でスキャンするのも難易度が高く、業者のフォトCDなども今風の気の抜けたような調子で気に入らなかった。もう用はない。

そもそも最近の「フィルムらしい写り」とか言ってるのは、ほとんど失敗作にしか見えない。流行りなだけで断じて「フィルムらしく」はない。昔のカメラやレンズの設計者や、フィルムの技術者が可哀想に思えてくる。

おっと不平不満ばかりになってしまった。妙にハイキー調でカラーバランスが崩れた写真の数々も、簡単に綺麗に写ってしまうデジタルへのアンチテーゼとして考えれば良いのかもしれない。流行りがフォロワーを産んで増殖しているのだろう。

最後にモノクロネガ。これは仕事では印刷物のモノクロページ。私事では暗室での作品制作だ。これがメインであり14歳で写真クラブに入ってから、暗室を諦めての一時的な中断はあったが現像とスキャンという形で続いている。しかし最後の砦であるイルフォードも最近値上がりして将来に不安を感じ始めた。そしてペンタックスのモノクロ専用機を検討していることは、前回と前々回の投稿に詳しく書いた。

早くそのPENTAX K-3 Mark III Monochromeが発表されてほしい。仕事や用事はニコンのデジタル一眼レフ。日常のメモや記録はiPad mini。モノクロ制作はこのK-3 Mark III Monochromeとライカやニコンなどのフィルムカメラ。そういう布陣になる。そしてリバーサルが再販になったら、天気の良い日に泣きながら1本だけ撮ろう。

フィルムは製造にしても現像にしても、ラインを動かしていないとシステムの維持が出来ないと思う。ともあれ衰退しているのは間違いない。期待せずに待とう。そして私事撮影にデジタルを取り入れても、フィルムと同じような撮り方をしたい。


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