ペットと暮らす人の話_03
私の友人に最近、飼い猫をなくした人がいる。仮に名前をMとしよう。彼女はマンションで一人暮らし。服飾関係の仕事をしている。店をやっていた時代に1匹のオス猫がちょこちょこと入ってきた。そして店のマスコットのようになった。その後、Mはフリーになり自宅が仕事場となる。その猫ちゃんもそこに移り住み1人と1匹の生活が続いた。時おりInstagramで見る写真は微笑ましいものだった。
元々野良猫なので年齢は推定だが19歳になった。元気にしていたが、あるときのこと。8キロほどあったその身体が痩せているのにMが気がついた。食欲もない。かかりつけの病院に急行する。すると既に病気が進んでいて、先が長くないことを告げられた。
Mは仕事も順調で多忙な身である。Mは後悔した。「ちゃんと見てなくてゴメンね」しかし猫は頑張った。医者の想定よりも長く生きた。しかし間もなく命は途絶えた。
Mの部屋はハイセンスで清潔。猫は充分に幸せだったはずだ。しかしMは繰り返し自問自答していた。野良猫で外を走り回っていたのに、私がその自由を奪ってしまったのではないかと。命のカウントダウンが始まる。Mはその猫を連れて、マンションの階段を降りた。久しぶりの外の世界にビクビクする猫。「自己満足なのは分かっているけど、どうしても外を見せたかった」と彼女は書いた。
野良のままで自由に生きるのか。マンションの中だけで飼うのか。
寿命が尽きるまで生かすのか。安楽死させるのか。はっきりしているのは、幸せの形はさまざまであり、そこに上下はないという事だけだ。
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