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経理のおばちゃんのスーパー処理能力に頼るのはもうやめよう

こちらの記事を読んで、とても他人事とは思えなくなり、衝動的に書きました。

当社もこの令和の時代に紙とFAXで事業を回している身ですので、この記事の描写に高速で頷きながら一気に読んでしまいました。

社会人経験もなく、Excelも学生以来触っていなかった自分でしたが、入社してまずおかしいと思ったのは、紙のタイムカード・紙の給与明細・ボーナス現金払いという労務管理でした。

どうなってるんだろうと本社を見てみると、50社の売掛・200社の買掛・50人の労務・4事業所の経費精算・ボーナスの現金勘定と小切手の管理まで、経理のおばちゃんが30年間一人でこなしていました。

現場ハンズオンで通した創業社長とは対照的に、二代目は現場に一切口出しせずオートメーションさせるというスタイル。しかし資金繰りが悪いと機嫌が悪くなるので、おばちゃんは自主的に支払サイトの調整までやっていたようです。

スーパー経理おばちゃんの世界

そんなスーパーおばちゃんが定年を迎えるので、新人に引き継ぎを試みましたがことごとく失敗。3人目が辞めた時点で自分がアサインせざるを得ない状況になりました。

蓋を開けてみると全てがおばちゃんの世界。謎ルールの仕訳、バラバラの支払日、日付のないエクセル表、独自規則でファイルされたバインダー、来たまんま棚にぶっこまれた郵便物の山。。。

会計ソフトは勘定奉行で、使えないcsvしか吐き出せない上、生産管理の基幹ソフトも独特な仕様で、固定IP振ってイントラネット構築しているにも関わらず、締日ごとに手書きメモ付きFAXが事業所から送られてきて、それを手打ちでエクセルに入力し、それを更に手打ちでネットバンキングと勘定奉行に入力していました。

かくして2代目社長のオートメーション戦略は、30年もの間実にうまくいっていました。それはおばちゃんのスーパー事務処理能力を顕現させた一方、30年間一切掃除をしないごみ屋敷のような澱の堆積を生んでいたのです。

やっててよかったアカウンティング

完全にどこから手をつければいいかわからない状況を前に、MBAでちょろっと仕込んだファイナンス・アカウンティングと、バンド時代に嗜んでいたHTMLの素養で立ち向かう必要がありました。

目標は「派遣でもできる経理事務」で、可能な限り例外を排除した標準化です。結果としてやったことは以下の通り。

①勤怠管理のクラウド化

②帳票類のカテゴリ整理

③入金・支払管理の一元化

以下一つずつ説明していきます。

①勤怠管理のクラウド化

そもそも残業時間を記録していないのが法令違反だとして、労基から是正勧告が入っていました。紙のタイムカードなので誰も集計できなかったのです。

そこで色々とツールを試し、最終的にRecoruというサービスを入れました。スマホ持ってない社員もいたので、事務所にタブレットを置いて出退勤を登録。シンプルなUXで現場向き、月¥100/人でリーズナブルなのが良いです。固定残業+シフト制を反映させるのにかなり苦労しましたが、現在は色々機能も拡張され重宝しています。

次に給与計算ですが、これは顧問税理士に委託しています。この方も30年来の付き合いのおじいちゃんなんですが、紙で出てくる給与明細を半年頼み込んでエクセル提出にしてもらいました。

このおかげで、紙の給与明細を廃止できるSmartHRの導入が可能となりました。現在はマネーフォワード給与もトライアル導入しており、こちらで源泉徴収票から年末調整、給与支払総括表まで作成可能なので、いずれ税理士からMF人事管理への移行を検討しています。給与明細PDF化によって、毎月人数分明細を封筒に詰める作業がなくなり、それ専用の封筒も必要なくなりました。

一方でSmartHRもUXがグイグイ向上しており、MFの開発具合を注視しながら併用していきます。高いけど。労務関連は社員が50人いて業種柄労災事故もあるため、そこは労務士に頼っています。将来的には内製化したいですが。

当然、ボーナス現金払いもやめました。それまで1,000万近くの現金を事前に銀行に紙幣・硬貨の枚数まで指定して用意してもらい、徒歩で持ち歩いた上で10キロ以上ある50人分を袋詰めする悪夢のような作業が発生していましたが、一切必要なくなりました。

中には「やりがいがなくなる」等の声もありましたが、「一切の例外を排除する」固い意志をもって断行し、結果的に全員受け入れてくれました。後述する取引先都合による例外の排除が難しいので、せめて社内は断行しないと話になりません。

②帳票類のカテゴリ整理

次に、乱雑に積み上がった帳票書類と、無秩序に作成された大量のエクセルファイルの整理が必要でした。

元々紙ベースの帳票が多いのに加え、4ヶ所の事業所からそれぞれ経費や買掛の請求書がまずFAXで本社に来て、それで支払処理した後、月末に原本が事業所から送られてくるので、それをFAXと差し替えという無駄に難易度の高い業務が存在していました。

ただでさえ同じ取引先で経費・買掛・売掛が存在したりと分かりづらいのに、同じ書類のコピーと原本が混在するので、当然新人は処理済かどうかわからず二重払いが多発。

→原本は事業所保管にし、FAXのみにしました。

また、紙の帳票は取引先ごとにファイルされてまず探せない状態だったので、「売掛金」「買掛金」「経費」 の3つにカテゴライズした上で、時系列で整理することにしました。いらない書類は徹底的に捨てました。

大量のエクセルはどうしようもないので廃棄しました。売掛金の内訳とか借入の内訳などの表が作ってありましたが、どれも年月日が入っておらず本当に使い物にならず。表には必ず日付を入れてほしい。


長くなったので続きます。

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